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第72回全日本学生選手権
11月1〜4日 滋賀・琵琶湖
琵琶湖に悪戦苦闘…まさかの4位
風が吹いてくれない。艇が進まない。最後まで、琵琶湖の地に十分な風が吹くことなく全日本学生選手権(インカレ)は終わりを告げた。470級2位、スナイプ級6位の総合4位。昨季準優勝を果たした早大であったが、“微風の琵琶湖”を攻略することはできなかった。
今季の早大は「私が今まで手がけてきたなかで最強のチーム」。2年前早大に期間限定で就任し、日本屈指のヨットレーサーであった小松一憲コーチはこう言い放った。そのことは、レース結果からも見て取れる。
春に行われた関東学生選手権(関東インカレ)で早大史上、戦後初となる完全優勝(470級・スナイプ級、両クラスともに1位)の偉業を成し遂げ、先月の秋季関東インカレも最終日に見事な逆転劇をみせて2季連続の総合優勝。また、夏の全日本学生個人選手権においても、出場した6艇全てが安定した走りで上位にランクインを果たし、この大会が個人戦でなければ早大が圧倒的な点数で優勝していた。
「本当にいいチーム」(原田龍之介主将=スポ4)。実力的にも日本一と言われた。今大会、優勝だけを見据えていたのは言うまでもないだろう。「春よりもたくましくなり、絶対いけると思っていた」と塩尻卓也(政経4)も強くチームに手応えを感じていた。
だが、結果は総合4位。52年ぶりの悲願達成とはならなかった。なぜあれほどまでに無敵な力を誇っていた早大が悲惨な結果に終わってしまったのか。その正体は“琵琶湖の環境”にあった。
琵琶湖は十分に風を集められる地ではない。周りを建物に囲まれているため、風が遮られてしまうのだ。ヨットは風の力のみで動く。風が吹かなければもちろんセーリングができない。今大会は4日間で10レースを予定していたが、実際に消化できたのが2日間だけの計4レース。最終日もノーレースとなってしまった。全国大会で存分に実力が発揮できる場が用意されてなかったことに対して、小松コーチは「雪のないゲレンデでスキーをしているようなもの」と揶揄(やゆ)し、苦言を呈した。
早大はなんとかその環境に慣れようと、大会の1週間前から現地に乗り込んで練習してきたものの、優勝した京産大を始め上位3校が関西勢。昨季のインカレ王者・日大も5位に沈み、普段琵琶湖で練習を積んでいるチームが3位までを独占してしまうという皮肉な結果となってしまった。
「負けを知らないでここまで来た」(神谷航路=スポ3)。それだけに、今回の総合4位というには部員全員が「悔しい」と口を揃えた。畠山知己監督(平6人卒)は「ワセダのチームには満足しているが、結果には満足していない。全日本の大会がこれ(=風の吹かない琵琶湖開催)でいいのか」と疑問符を投げつけるなど、後味の悪い大会となってしまった。
(二敷晃成)
★原田主将が今大会3度目のMVP
関西勢以外みなが苦しめられた琵琶湖の特殊な環境。そんな中で、MVPを獲得したのはワセダの470艇、原田・稲村智彦(国教3)ペアだった。ノーレースや試合中断時間が長く、集中力を保つのが難しい状況で、4レース中2レースで1位を含む、計17点。インカレ3度目のMVP獲得にも「自分の成績よりチームのことし考えていなかった」(原田主将)。チーム優勝はならなかったものの最後のインカレでもその無類の強さを発揮した。
◆コメント
畠山監督
(大会を終えて感想は)ワセダのチームには満足しているが、結果には満足していない。風が吹かない環境で、レースをさせてもらえるフィールドがなかった。伝統的な部分もあるので変えられないが、全日本の大会がこれ(=風の吹かない琵琶湖開催)でいいのかと。学生が喜んで走れる環境を整えるのが私たち監督の役割でもあるので、今後ヨット部を越えて何かアクションを起こしたいと思います。(琵琶湖対策は)環境に慣れるため10月24日から現地入りしてみっちり練習を積んできました。また同志社戦や自主練などでも経験しています。(風による技術的な影響は)微風だとセールの作り方が変わります。(今大会は失格が多くありました)昨年から言っていることですが、選手たちのなかにどこか失格は他人事という思いがあり引っかかったんだと思いますね。(この1年を振り返って)満足しています。春、秋の関東インカレで優勝して、より選手が自ら行動するようになったと思います。(4年生について)素晴らしかった。お互いを尊重し合って信頼していました。原田は技術的にも人間的にも優れていました。(来年への課題は)個性的なメンバーをどうまとめるかですね。あとは、いかにリーダーシップを発揮するかです。いい方向にベクトルが向いてくれればなと思います。
小松コーチ
(総合4位という結果について)実力が発揮できるゲレンデが用意されている環境ではありませんでした。雪のないゲレンデでスキーをしているようなもの。無理矢理レースを成立させてしまった。残念ながら、ギャンブル性の高いゲレンデでやったのでは実力が出せない、というのが実感です。(ギャンブル性が高いといいますと)ヨットが走るのに不都合なくらいの藻が湖面に広がっていた。また、一定の風が吹いていないのに無視して成立させてしまうのは…。(選手たちの調子は)日に日に良くなってきていた。部内のムードも良く、日本一の同好会にしよう! と意気込んでいました。一人一人がアスリートの集団でこの3年間で改革された。しかしながら、最終的に完結しなかったのは残念です。強いチームではあったのですが…。ワセダに限らず、私が今まで手がけてきたなかで最強のチームです。(小松コーチは来年もワセダで指導なさるのですか)いや、元から3年という約束でありましたので、来年からはワセダを離れて他のところでやります。ですから、人一倍悔しさが残ります。一ヨット乗りとして、大学生にこういう場しか用意できなかったのは大人の責任です。(引退する4年生へ)ヨットの魅力を大学だけで終わらせて欲しくない。生涯スポーツとしてとても優れている面がありますので、これからもヨットに携わっていってほしい。原田に関しては、オリンピックを目指しますので、これから行われる最終選考に向けて気持ちを切り替えて、数段上のランクの人を打ち破り、精進してもらいたい。(3年生以下へ)細かいところでの工夫はありますが、アプローチの仕方は間違っていないと自負しています。
原田主将
(大会を終えて)もう悔しいの一言ですね。やるだけのことはやったけれど結果がついてきませんでした。みんな頑張ったし、僕自身としても1年間を通してみてやってきたことは間違っていなかったと思います。やるべきことは全部やってきました。(琵琶湖の風のなさは)予想通りでした。だからこそ1週間前から現地入りしてやってきたのですが、その1週間も風がなくあまりいい練習ができなくて、でもその中でもできる限りのことをして望みました。(3度目のMVPについて)4年となるともう自分の成績よりもチームだけです。気にしていなくてさっき自分がMVPだったのだと知りました。(最終日ノーレースになって)やってほしくはあったけれど琵琶湖だしこれもヨットレース。これがインカレだと思います。(チームに向けて)来年こそはという気持ちです。この1年やってきたことは間違いではなかったので今年の3年生で変えるところは変えてほしいです。うちは日大と比べると練習量が少ない。文武両道だが工夫してもうちょっと練習量を増やすことも大切だと思います。(主将として1年を振り返って)いいチームでした。春の段階ではただ速いチーム。秋は残り1レースで17点のビハインドを一気に逆転にぬかして、本当に強いチームになれたと思います。今回実は1年生が優勝したときのためにエンジの旗に優勝と1人ひとりの名前を書いた旗を用意してくれていて。優勝したらそれを掲げて帰ってくるつもりでした。1年生のためにも掲げて帰ってきたかったです。1〜4年生まで本当いいチームでした。
塩尻
(インカレを終えて)最後1レースができていれば。レースがあったらまだあれなんですけど。やっぱり悔しいです。(風のない中での苦しいレースでしたが)吹くときは吹くんですけど、風がない。ヨットレースをやるには難しいと思います。風が変わりやすく、読みにくかったです。(この1年を振り返って)みんないいチームになれたと思います。みんなが自主的に意見も言えるし行動も出来る。みんながのびのびとできる環境づくり。それが1年から4年まで出来ていて楽しかったです。今年は試合も出て結果も残せたし、今までやってきたことの方向性はまちがっていなかったと思います。(ヨットを始めたのは)大学に入ってからで、試合に初めてでたのが2年からでした。4年で初めて1年を通して出来ました。強い選手がたくさんいるからこそ危機感を持ちながら出来、結果がついてきたのだと思います。(春から比べると今のチームは)春は勢いで勝てた面がありました。秋以降は慎重さです。春はまだ疑心暗鬼だったのですが、春に優勝して自分たちが強くなったという自信が生まれました。そして春よりもたくましくなり、絶対いけると思っていたのが1番の違いですね。(笑進というスローガンについて)部活なので厳しいことは当たり前。それでも厳しい中で努力して進んでいくとみんなで最後には最高にハッピーになれるという思いをこめてこれだと4年生で話し合って決めました。(後輩へ)やっているのはヨットだけれど部活はいろいろな経験をするし、きついこともあるけれどそれは将来返ってくる。厳しいことがあっても将来の自分のために頑張ってほしい。
梅野任司(スポ4)
(今の気持ち)本当に悔しい。関東(学生選手権)で春、戦後初となる完全優勝をして、秋も総合優勝して、強いチームだったはずなんですけど…。(琵琶湖でのレースに関して)案の定の風。昔、何回かきてはいますが、やはり難しかったです。(今大会に照準を合わせてきたと思いますが、実際走ると違う)走りは問題なかったです。リコール(フライング)して、最後にツケが回ってきてしまいました。(自身の調子はいかがでしたか)1レース、ダントツのトップなど全日本スナイプ(選手権)からずっと調子は良かったです。(4年間振り返って)ぼくがジュニアのとき、大学生活があまり好きじゃなかったんですね。強い人は強いんですけど、弱い人もいて、それは大学1年のときも思っていて。けどなんで勝てないだろうって。翌年、知っていた後輩が入ってきてレベルも上がってきました。それから、470・スナイプで新たな発見もできて、この4年間でいい経験ができたと思います。(1番思い出に残ったレースは)良いところも悪いところもヨットにはあるので何とも言えません。けど、今回の全日本の1レース目が新しくて1番記憶に残るんじゃないかなと思います。(後輩へメッセージ)(インカレで)おととし3位、去年が2位で、今年優勝できなかった。来年、再来年はもっといいチーム、もっと強いチームを作って優勝して欲しいです。僕はOBになりますが、支援を惜しみなくするつもりです。
神谷
(大会を終えて感想は)琵琶湖に苦しめられました。10日前から現地で合宿しましたが、1から3位までを現地の学校が独占する形になってしまった。(琵琶湖の印象は)風が無風か微風だったり、藻がすごかったです。こっちに来てから練習で対策はしてきましたが、現地特有の風をつかむことができなかった。ワセダのスピードを生かすことができず、強さを発揮できなかったです。(この1年を振り返って)関カレでは春は完全優勝、秋も優勝、全日本個選(=全日本個人選手権)でも6艇が上位に入って、ワセダは圧倒的な強さで実力的に日本一になれるとされていましたが、そのなかで勝てなかったので悔しいです。今季負けを知らないでここまで来たけれど、最後に負けてしまった現実がある。今年精一杯頑張ってきた分、結果が出せなかったので悔しいです。(来年は主将ですが課題は)速いワセダを継承しつつ、風にも藻にもゴミにもどんなことがあっても負けないワセダにしたいです。ヨットはスピードだけじゃないことを部員にも教えて、1年間この悔しさを忘れないように、寒い冬もしっかり練習して1年後に笑えるようにしたいです。
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