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 蹴魂(9) 



 伸び続けるダイナモ・金田隼輔

 足が速いわけではない。テクニックで敵や観衆の舌を巻くわけではない。それでも、今の早大に金田隼輔(スポ3)を欠かすことはできない。「このポジションがあったからサッカーを続けられた」と言うボランチで、3年目にして不動の地位を手にしている。

 ポルトガル語で『舵取り』を意味するボランチ。求められる働きは決して華やかではないのに、「ゲームを左右する責任あるポジション」(金田)。攻守の切り替えがプレーヤーに委ねられる競技において、相手の攻撃の芽を摘むことは味方の攻撃の糸口を得ることと等しい。攻守が切り替わりチャンスを得る、その瞬間を多く創り出すのがこのポジションだ。オフザボールでの仕事も多く、中盤を駆け回る無尽蔵のスタミナが要求されることから、選手は『ダイナモ』や『仕事人』などと称されることもある。類に違わず、早大のダイナモも90分間足を止めることのない豊富な運動量と的確な読みで相手を削る。「金田が効いている」。そう言われることが最大の賛辞だ。

 自分のプレーに対する評価は常に控えめ。し烈なポジション争いを勝ち抜いての定位置確保も、自らが優っているのは「気持ちのみ」だと言う。気持ちのない選手などいない。その一点に関しては、選手を比較することはご法度だろう。ただ流れを失いかけたとき、チームが苦しい時間帯、真っ先に声を上げるのはこの男だ。その他大部分の時間帯にも、FWからDFまでさまざまなポジションの経験を生かし、ピッチのバランスに気を配り絶えずコーチングしている。バランサーとしての役割も大きい。

 3年目の今季は攻撃への意欲が明確に表面化し、ゴールへの意識も高くなった。代表を見ても海外リーグを見ても、「ボランチが点を取れるチームは強い」(金田)。前線に堅い守備を敷かれたとき、城塞を切り崩す取っておきの一枚となるからだ。しかしチーム事情より何より、身体を前へ向かわせるのは「自分のプレーの幅を狭くしたくない」という一心。「今上手くなくても、上手くなりたいし、気持ちをもっと出せる」。ダイナモの最大の怖さは、サッカーを始めたばかりの子どもと変わらない、あまりに純粋な向上心かもしれない。
(青崎未来) 








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