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サッカー特集
ア式蹴球部女子、インカレ優勝インタビュー(1)
予選リーグ敗退に終わった昨年のインカレから1年。ア式蹴球部女子は今シーズン「大学日本一」に向かって走り続け、見事インカレ初優勝を果たした。優勝チームへと躍進したその強さはどこにあったのか、そして大学王者となった今、監督、そして選手は何を思うのか―。
■全日本インカレ決勝戦詳細記事へ
〜監督編〜
今シーズン監督に就任し、優勝へと導いた堀飯豊監督(平15年人卒)。チームのOGでもある監督にとっての1年と、チームへの想いを語っていただいた。
――はじめに、今年日本一になったということに関して、キーパーソンを挙げるとしたら誰ですか
当然ユニバの4人(河田優、渡辺夏奈、佐藤衣里子、岸星美)っていうのがあがると思うんですけど。ピッチ上においてはやはりユニバに出た4人、それとキャプテンの近藤(絵梨佳=教4)っていう4年生が挙げられると思います。あとはマネージメントのほうでも非常に充実してました。練習試合を組むことをはじめとして、グラウンドの確保、遠征の準備っていうのを滞りなく全部裏でやってくれた副務の江崎(康子=社3)とか、コーチングスタッフのほうで支えてくれた学生トレーナーの岩田(恵梨子=スポ3)っていうのもいましたので。ピッチ上では試合に出て活躍してるユニバの4人、でもその他でも充実してきたマネージメントのほうで江崎と岩田と。各部門によってキーパーソンっていうのはいたと思います。
――今年1年間っていうのはやはり日本一に向けてやってきたのですか
やっぱり大学日本一っていうのが目標にあったんですけれど、サッカーの面では大学日本一と、それからLリーグのチームを撃破するっていうのと、あとは代表選手を輩出するっていう3つがありました。代表選手輩出っていうのはカテゴリー別ではありましたけどユニバに4人選ばれましたし、あとLリーグ撃破っていうのは、今年は成し遂げることができなかった、っていう結果になりました。
――そのLリーグについて伺いたいのですが、全日本選手権で日テレベレーザと対戦してみてチームとして見習いたいと思ったことはありましたか
やっぱり個の力が全然違いますので、個人で対応したときにはもうそこで負けてしまうっていう、ただそれだけだと思いますね。だから個のレベルが負けてる以上はいくら組織でしっかり守っていっても点は入らないでしょうし、サッカーは運があるのでそれが味方してくれたらもしかしたら勝てるかもしれないし、点は入るかもしれない。でも個のレベルが負けてる限りはやっぱり勝つことは難しいかな、と思います。
――以前選手に取材したときに「今年は連係プレーを重視してきた」というコメントがあったのですが、チームとしては今年は連係プレーを重視してきたんですか
チームとしてって言うよりは周りの人とのコミュニケーションは重視してきました。
――「個の力」ということに関してですが、代表選手輩出っていうこととも絡めて、ユニバに出場した選手はむこうで自分達が経験してきたことをチームに還元したいと言っていましたが、そういうことはチーム全体のモチベーションや底上げにつながりましたか
結果的にはその子達の力があったからチームがここまで来たっていうのが大きいですが、ユニバの代表が抜けたときっていうのは練習試合に負けたり、選手達の練習に対するモチベーションが下がったりとか、そういう日もありました。総合的に見れば結果的に良かったけれど、良くも悪くもその時は動いていたような気がしますね。選手達のモチベーションが「あー、やっぱりだめだったのか」とか「私たちじゃだめなのか」とか、そういうのもあったと思います。(ユニバ代表が)帰ってきた途端にレギュラーを外れる選手っていうのもいますので。今まで出てたけど…って、そういう子のモチベーションが下がったりとか、でもそういう選手にはかなわないから、っていう子も実際はいたと思うので、チームが最後優勝して終わりよければ全てよし、みたいにはなっちゃいましたけど、その過程ではすごく複雑な気持ちを抱えていた選手も多いことは事実だと思いますね。
――コミュニケーションを大事にしていたということですが、チームや選手に求めていたことっていうのはありますか
サッカーにおいてはどういうプレーをするっていう明確なものは出していたんですけれど、あとはどこに行っても通用する選手っていうのを育てたいっていうのは思ってました。ワセダのサッカーの基本になっているのは日本のサッカー界が目指していくサッカーだったりとか、合理的であったりとか。選手がどこに行っても通用する、例えば個の強さって言ったらコンタクトだけじゃなくてポジショニング一つにしても、キックの精度、シュートの精度、決定力、パスの精度にしても、やっぱりそういうのにこだわってこの力を伸ばすっていうことを重視してきましたね。だからフォワードだからディフェンスができないって言うんじゃなくて、フォワードはフォワードなりにディフェンスしに行くこともありますし、サイドバックだって攻撃力はないといけないですし。そういった面では誰がどこのポジションになっても理解して、それで基本的な個の力が伸びるような形で指導はしてきました。
――では、特別な指導方法などで自分なりに工夫したことはありますか
工夫って言うのか分からないけど、とにかくあまりパターンは変えずに同じような練習を繰り返して選手の技術だとかプレーの優先順位っていうのもあるんですけど、そういったものが定着するような形でトレーニングは進めてきましたね。新しいことっていうのは特に入れずに、まぁ選手は嫌がりましたけど(笑)同じ練習を繰り返して、っていうのはあります。
――堀監督もア女出身ということですが、監督がいた当時と現在のア女で変わった点っていうのはありますか
私が1年生の時はまだスポーツ推薦で入った人がいなかった。私の代まではいなくて、その時は堀野前監督が就任した年だったので、そこからリクルートし始めて、次の年から聖和学園から一人自己推薦で入って。で、そこから「早稲田」っていう名前もあると思うんですけど、それを見た子達が一人か二人ずつか自己推薦で入ってくるようになって。で、その子達が増えていって今になってると思うんですよね。トレーニング環境とかは見ての通り人工芝になったりするのもありますし、女子部が使わせてもらえる時間も増えてきてるんですけれども、そういったことでは環境自体が変わってきてるんだと思います。やってるサッカーも変わってきてますけど、それは選手の質に合わせたことであって。ただ、規則だとか部が目指す方針だとかは変わってないですね。
――監督は関東リーグ終了時に体力づくりとサブの選手の底上げが課題とおっしゃっていましたが、インカレまでの期間に男子のチームと練習試合を行っていますが、そのことはインカレ優勝につながったと思いますか
男子チームとの練習はかなり強化につながったと思います。やっぱりスピードとフィジカルでは絶対にかなわないので、そのスピードに慣れておくだけでも全然違うので。でもやっぱりサッカーを知っている人だと結構言われますね、「男子との試合が良かったんじゃないの?」って。だからやっぱりそれは大きいと思います、かなり。
――1年生には大学からサッカーを始めた選手が何人かいますが、そういった選手のモチベーションを上げるといったところで大変だったっていうことはありましたか
正直、去年の段階では私一人では手に負えなかったのでその子達には申し訳なかったです。出来る限り卒業生が来たら見てもらったりとか、OBもそうですし、来てくれた方に見てもらったり、私も練習が終わったら見たりっていうことはしてたんですが、絶対本人達は満足してないですし、そのへんでは申し訳なかったなぁと思っていて。でもモチベーションっていう面ではチームが勝っていればそれなりには保てるかな、と思いますね。これで結果が出てなかったらちょっと本当に気の毒なことになってしまいますけど。そういった面では初心者を受け入れると言った以上はこれからの課題になってくるんじゃないかな、と個人的には思っています。
――インカレの決勝戦の相手が東女体大だったことや、延長戦までもつれ込んだことは選手は予想していなかったと言っていましたが、監督自身は想定していた内容の試合でしたか
もっと早い段階では決まると思ったんですけど、最悪の場合っていうのは選手のスタッフも考えてはいますので。まぁ延長になってもPKになっても…っていう準備は出来ていて、あとは(控えの)選手も残ってますので、どういったふうに選手を使っていくのかとか、PKの順番とかっていうのは時間を決めて、スタッフの仕事は延長になってもならなくてもしているんですけれど。ただ、東京女子っていうのは本当に予想外だったんで、東女のほうがよく頑張ったなっていう感じですね。そこはやっぱり選手と同じで予想外でした。決勝(リーグ)に残った時点では大阪(体育大)か(東女体大か)どちらかだったので(当たる確率は)半分半分ですけど、その前の段階で(東女体大が決勝リーグまで)来るとは思ってなかったので。
――では、先制された時もこれから取り戻せるという自信はあったんですか
そうですね、それは関東リーグの時も同じだったので先制されても大丈夫だろうっていう。そのあとすぐ入ったんで。でもそこからが予想外でしたね、もうちょっと…そこからが入るかなと思ったら入らなかった。先制と同点までは予想通りっていうか大丈夫って言う範囲でしたね。
――延長戦に入る前に選手達に特別に声を掛けたりはしましたか
延長戦を特に意識させてなかったのでとりあえずルールを確認して(笑)。10分経ってもVゴールでも終わらないぞっていうのを確認して、あとはああいう時はもう監督とかスタッフとかが言っても何もかも聞かないので(笑)あとはもう選手たちだけでモチベーションは上がると思ってましたね、あそこまで行ったら。
――今年初めて決勝が国立で男女同日開催だったということについてはどう思われますか
やっぱり女子っていうのは国立でやる機会が全日本選手権の決勝しかないので、そういう面ではいい機会ですし、目標になると思うんですよね。大学にいる選手はもちろんですけど国立でサッカーが出来るっていう。やっぱり国立っていうと西が丘とか他のスタジアムに比べてもサッカー選手としては一番思い入れが強いんじゃないかなぁと思うんです。そういった場所でやらせていただけるのであれば大学選手はもちろんですけれど、大学サッカーを目指したい選手にとっても目標になるんじゃないかな、と思うので。こんないい機会を与えていただけるのであればすごく光栄なことだと思っています。
――監督に就任されて1年で日本一になったという達成感はありますか
日本一になったのは環境も整ってますし、ユニバの選手4人っていうのもありましたけれど、そういったことをはじめとして選手のレベルが他の大学よりは高いっていうのも正直あります。それから今までのチームの土台っていうのもあるので、もしかしたら達成感っていうのはないことはないですけど、その結果としては当たり前なのかなっていうのは思うんですよね。例えば日体大が決勝に来てたらまた違ったと思うんですけど。でも日体大は負けちゃって、で日体大にはうちは関東予選の時に勝ってますので。だからやっぱりここまでは当然の結果としてあったのかなとは思うんですよね。環境を見ても選手を見ても。試合運びっていうのも予選リーグは苦労してないですし、そうなると当然コンディションも崩れない、メンタルもばらつきがないですし。組み合わせも恵まれましたし。なるべくしてこの時を逃しちゃいけない!っていうのはあったような気はします。だから本当にとんとん拍子で進んできたようなイメージはあって、苦労して苦労してっていうよりは流れていくなかでいい準備をしてきたら結果がついてきたっていう感じですね、私の中では。
――今のチームは4年生も少なくて若いチームですが、これからに期待は
これからも期待は当然出来るとは思いますけど、他のチームに終われる立場っていうのはまた別だと思うので。そのへんのプレッシャーが克服できれば負けないんじゃないかと思うんです。ただ、日体大は何連覇もしてるのと、うちは初優勝したっていうのでは全然重みも違うので。今後当然期待されてプレッシャーもかかるっていう中で本当に強いチームだったら勝ち続けることができるけれども、そこで崩れないようなチームが必要なんじゃないかなと思います。
――来シーズンは監督が代わるそうですが、チームへ望むこととかはありますか
当然連覇っていうのもありますし、今年叶えられなかったLリーグ撃破、それから選手個人については今年U-20の年代別があって岸が選ばれてるので、ぜひその予選で勝って本戦に行って一人でもなでしこジャパンに入れる選手が増えてくれれば、っていうのを個人的には思ってます。あとはア女っていうのは歴史は短いんだけれども築いてきた人達がいるので、そういった人達だとかア式の大榎さんだとかスタッフの人とか、そういう人達に感謝の気持ちを忘れないで、サッカー選手として、人間として成長して欲しいと思っています。やっぱり女子サッカー界をリードできる人間になって欲しいっていうのを思うんですけれど、それはサッカーが出来るだけじゃなくて人間性の部分も関わってくると思いますので。サッカー界をリードしていける、または別の社会に出ても一人の人間として周りから必要とされる人間になって欲しいと思っています。
――ア女を応援してくれている方々へメッセージをお願いします
本当に心から感謝しているんですけれど、なかなか何も返すことが出来ませんので、プレーで良いプレーを見せることで、今後も応援して選手の力になって欲しいと心から思っています。やっぱりア女がここまで来れたのは応援してくれたりだとか、OB会の支えだとか、ア女のホームページをチェックして見てくれる方もいますし、選手達の活動を理解してくれる親御さんもいますし、そういった方々には心からお礼を言って、あとはもう選手達のことを温かく見守ってくださいっていうことをお願いしたいと思ってます。
(取材・編集 松浦詩織、菊地梨絵子、大倉麻美)
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