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番外編 細川明彦コーチ×三井大祐

もう一年ラグビーを続ける事を選び、今季不動のSHとなった三井大祐(教4)と、同じく卒業後もBKコーチとして残り、早大を陰から支える細川明彦(平19社卒)。
昨季の苦い敗戦を知る、同期であるお二人に、今季のチームの状況そしてそれぞれの思いを語っていただいた。
中竹体制二年目の今季
――今のチーム状況を教えてください
細川 対抗戦まではすごく積み上げていって、最後に帝京大、慶大、メイジと強い三つにすごくいい戦い方で勝って。特に慶大とメイジはやることきっちりやって、こっちがやろうとしていた事も出来て、その二つの試合をあわせて相手に一本しかとられてないし、内容的にもよく出来てチームとして凄い伸びたんやけど、そのあとの大学選手権はちょっと言い方悪いんやけど、格下というかそういう相手の時に、みんなのモチベーションが切れて、やっぱり抜けたっていうか…そういうので今チームがちょっと、まぁそこまで深く考えんでもいいんやけど、ちょっとこう、調子が落ちたっていうか、もう一回立て直しという時期ですかね。
三井 対抗戦を良い形で終えて大学選手権に入って、一・二回戦と自分たちのやりたい事っていうか、やろうとしている事が出来なかったので…そのチームの中で自分たちが春からずっと芯にしてきたディフェンスの部分で、もう一回立ち返ろうという事で、今はディフェンスを中心に練習していて、まぁその次の帝京大戦に向けていい風に準備は出来てきているんですけど…ちょっとケガ人が多いのが心配です。
――ご自身のコンディションはいかがですか
三井 僕は、そうですね、あと準決・決勝と二試合しかないので、それに向けて良い感じに上がってきていると思います。
――今年のチームの特徴というのはなんだと思いますか
三井 チームの特徴…去年何で負けたかって考えた時に、最後に自分たちがほんとにピンチになった時に立ち返る強みっていうのがなかって、能力はあるし強かったんですけど、ほんとに追い込まれた時に、ぶれないとか、これをすれば絶対いけるんだっていう強みがなかったので…。今年のチームは春のチームが始まるときに、何が自分たちの強みになるのか、自信を作りたいという事で、FWのモールとチームのディフェンス力っていうのでスタートしてきた…すいません、質問なんでしたっけ?(笑)
――今年のチームの特徴は…
三井 特徴…で、チームがうまくいかなくなった時でも、ブレない強みがあるっていうのが特徴かなと。
細川 FWがやっぱり強いので、去年経験してた奴とかが結構残ってて、去年はチームが安定してなかった一番の原因っていうのは、FWが最後怪我で抜けたりとかでメンバーもころころ変わって、大事な選手が抜けたりして、ラインアウトが崩壊してしまった事とかがあったので。それに比べると、今年は動きの中でもセットプレーでもFWだけの勝負を見てて、勝ったり負けたりはしてるんですけど、負けた時もそんなに大崩れしてないし、今三井が言ったように、全体を通して安定しているのが今年の特徴ですね。多分。
―――チーム内のコミュニケーション面はいかがですか。コーチであれば指導していて、三井さんであればやっていて。
三井 チーム内かぁ…まぁ最初は五郎丸一人でずっとやってて、五郎丸の負担も大きいからっていう感じで…ちょっとこう、いい意味でのコミュニケーションはとれてなかった。やろうとしてる事は、五郎丸に伝えられてみんなやってるって感じやったんやけど、まぁここ最近見ると、若い子もしっかり意見出しながら最終的に五郎丸とかがまとめていっている感じで。やっぱチームとしてそういう所はコミュニケーションとれるようになってきてるかなって、コーチの目からは見れます。
細川 キャプテンと副キャプテンがしっかりしていて、その権丈・五郎丸・畠山って三人いる中で凄いバランスとれてると思うんですけど…。特にBKとかは一二年生が多くて、その凄い可能性を持っている選手が多いので、そういう選手が萎縮せずに自分たちのやりたいことをのびのびやってほしいというか、そういうのが出来るような環境を作ろうと思ってますけど。
――今、若い子という話が出ましたが、特に今年1年生の躍進が目立ったという事で、見ていてどうですか。山中選手ですとか…。
三井 まぁ、もっている能力は高いんですけど、その要求された事を一生懸命やろうという姿勢とかが、うまくいっている理由かなと思うし、その言われたことに対してしっかり人の話を聞けるし、言われたことを出来るっていうのは今年の1年生には多いので、それに能力もついてきてるので、チームにフィットしてると思うし。凄いです。
細川 しかも、山中くんとか中濱くんとかも、あの辺はやっぱ凄い能力高いけど、自由にやりすぎる部分もタイプ的にはあるんやけど、その中を三井・五郎が…なんつったらいいんやろ、先生っつーか、それはやっちゃいかんとか、これはやっていいよとか、っていうのをある程度縛りすぎず、今のはやっちゃいかんよとか、良い感じで教えられてるから、で、その本人たちも今三井が言ったように、ちょっとでも吸収しようっていう姿勢があるから、ワセダはこういう事をするんだっていうのを、迷わんくなってきて、こういうのをしておけばチームとしてまとまっていくんだっていうのを示してくれてるので、まぁそういう結果1年生もわからんなりにすごくのびのびやっていて、いい戦力になってんのかなっていうのはあるし、うまく噛み合っていると思います。
――そういう1年生に刺激される部分はあるのですか
三井 刺激…
細川 ポジションが違うから…うーん、刺激っていうよりあれやな、のびのびやってほしい…
三井 そうそう、そういう感じですね。
――見守る感じですか
細川 普通になんか、戦力って考えてるから、いかにこいつらを…
三井 なんかあんま、1年生っていう風に見てない。
細川 そうそう、あんま学年っていうのを意識してない。ちょっとでもうまくいくように、じゃあ自分らはどういう役割するか、みたいな感じは見てとれるし。どう噛み合っていくか、みたいな。そういう調整かな。
――では今季、中竹監督になって二年目ですが
三井 僕が感じるのは、去年に比べると…去年は中竹さんも一年目で探り探りやってるように感じだんですけど、今年はある程度自分がこれだと思ったら、自信を持ってこれって言うっていうか、まぁ、段々わかってきて自信を持ってるなっていうのと、中竹さんの良い所は、部員とコミュニケーションとれる所が良いと思いますね。
細川 去年とかはやっぱり選手にも学生にも遠慮するっていうか、それこそ探ってて、どこまでやっていいとかどこまで言っていいとか、多分選手のキャラも掴みきれてなくて、っていう部分がすごく目立ったのもあって、それでまた結果も負けたっていうのがあって、余計本人もすごく反省…多分したらしくて。去年のいつも最後に卒業していく四年生と監督が一つの部屋で最後に意見交換みたいのをした時に、結構僕らの代から出たのが、もっと中竹さんの色を出してほしいっていうのが結構多くて。やっぱそれを今年は実践してて、やっぱ自分のやり方で、迷わず。ま、本人が一番迷わずやってる部分で、それが学生にも伝わってて、それこそブレないっていうのにも繋がってるのかなって感じで。中竹さん自身がもう、こう!っていうようなプランをしっかり持ってる。後は結果がついてくるみたいな感じでやってるのが選手に伝わっているのかなと。そこが大きく変わった所ですね。
――どういう面で自信がついてきたなと感じますか
細川 うーん…自信がついたっていうかやっぱり、一つ一つの試合のプランでもよく学生のプランを聞いてた姿が見られたけど、今年は逆に自分である程度、こういう結果やったからこういう風なプランでいくよっていうのをやって。そのプランは中竹さんが決めて、その中のじゃあ、どういうサインプレーをやるとか、プレー選択を選手から聞いたりとかってレベルはあっても、どういう戦い方するとかそこまではやっぱ、去年までは求めてて、今年は求めなくなってるとか。確実に、今年はディフェンスだけやるよとか、これだけって絞ってる。はっきりと出来る所と出来ひん所を言ってるあたりはやっぱり、自分もこうすれば勝てるっていう、自信の表れかな。
――毎試合、試合のテーマがあるようですが、あれは中竹監督自身が出してるのですか
細川 そうですね、大体毎週試合のすぐ後にコーチミーティングってやっているんですが、週末なのでそのポジションとかのコーチも全員集まって一試合分ビデオで見て、その週の課題と修正していく点っていうのを出したうえで、次のチームはどういうチームだからどー戦おうかっていう中で、まずこういう事だけすればこういうチームには勝てる、っていうような部分を出してその中で、そういうプレーを一番わかりやすくする為の言葉を、ああいう横文字でスローガンを出してるっていう感じで。例えばケイオーだったら、相手に良いBKがいるので各ポイントでFWがプレッシャーをかければそういうのもうまくいかないよっていう事でそこにプレッシャーをかける意味で去年の清宮さん(清宮克幸前監督=平2人卒)の時に出てた、『ULTIMATE CRUSH』っていうのをあえて使って、そこを徹底的にやっちゃおうと。それ以外のは後からついてくるからって。そういう感じで一個一個スローガンを作っていって。中竹さんが考えてるんですけど。
――選手の方としてはそういうスローガンが毎試合出ていると、やりやすい?
三井 そうですね。そのそれを提示してくれると、選手としてはそれを一生懸命やろうという風になりますね。そういう風にバシッって決めてくれたら、これをやればいいんだって思えるんで、やりやすいです。
―――スローガンを提示されるのはどのようなタイミングなのですか
三井 試合の前日にユニフォームを配る儀式みたいのがあるんですけど、その時に配られる前にミーティングして、明日はこういうスローガンだってユニットごとにテーマが言われるんですよ。その時に、マッチスローガンを言われます。
――中竹監督は普段どのような方ですか
細川 どんな…普通の人やな、良い意味で(笑)
三井 中竹さん、まぁグラウンドから出たら、普通にコミュニケーションとるし、話やすいし…
細川 良い先輩くらい?(笑)清宮さんとかっていうと、ほんとボスって言われてて、絶対的な存在やけど、中竹さんはほんまにワセダの先輩っていうか、いいアニキっていうか。
三井 卒業しても付き合っていきたいなって思える人。
細川 そうそう。清宮さん…
三井 も、そうですけど…(笑)いい人っていうのがにじみ出てる。親しみやすい感じ。
コーチとしてのポリシーは「諦めない」(細川)
――細川さんは去年は選手で今年はコーチという事で、コーチをやろうと思った経緯は
細川 えーと、結構早い段階から、将来は高校でラグビーの顧問やりたいなって思ってて、まぁ社学に入ったので教員免許は社会科しか取れなくて、社会科の先生でラグビーを教えるのはしんどいなって思って、体育の教員免許を取ろうと思ってて…そのためにはプラス一年、日体大とか体育大で体育の教員免許取りにいかんと思ってたので。その一年をどう過ごすかということで、やっぱりラグビーのコーチ経験をそこでも同時に詰めたら一番良いなと思ってて。さらにワセダだったら一番良いなと思ってたので、結構早い段階で中竹さんになってからそういう話は色々してて。で途中から中竹さんも是非という事を言ってくれてて。基本的に、このフルタイムで平日からずっと来るコーチってやっぱ少ないので。そこはやっぱり出来るだけいた方が良いって事で。まぁ何となく自分でも現役の時から、自分だったらこうやってるなっていう目線で見てた事も結構あったので、練習とかチームの方針とか、自分がコーチだったらって考えるのが多かったので。じゃあほんまにワセダでコーチやってみたいなと思ってて。でお願いしてやらしてもらった、という所ですかね。
――三井さんは細川さんがコーチとなると聞いた時は、どう思いましたか
三井 まぁそのさっき細川が言ってた、将来ラグビー部の監督になりたいっていうのは前から聞いてたので、それでほんとにワセダでコーチやるって聞いた時は…っていうか、コーチやるって話を聞いてたので、したらこいつの性格やったら合うやろなっていう風に思ってたので。それに僕としては、同じ同期がいるというのは心強い事で、嬉しいです。
――では実際コーチをやられてみていかがですか
細川 いや、全然想像してたよりうまくいかなくて。っていうのもやっぱり、ほんと教えるだけがコーチじゃなくて、選手をいかにやる気にさせるかとか。どうしても4年生で、特にC・Dチームの担当なんですけど、この時の特にC・Dチームってやっぱり正直、今からAチームになれるかって言ったらやっぱり、ちょっと苦しい部分があって、そういう中で4年生はすごく精神的に難しい所で戦ってて、でもその中でもC・Dチームで若い1・2年生もいるから、ワセダの基礎っていうのは一年間通して教え続けないといけなくて。その為にはどうしてもきつい練習とかがあったりするけど、やっぱり4年生はもう切れちゃう部分があったり。それでその時に4年生から1年生の一人一人のケアをどうするかとかっていう部分が一番難しくて。技術の部分で言えば、夏合宿とか段階を踏んで教えていくと、自分の思った通りに成長してくれるんですけど。精神面の方がやっぱり難しいです。精神面がそうやって落ちちゃうと、伸びもしなくなるし。4年生のそういう空気っていうのは下級生にも伝わるから…良い時はいいけど、悪い時にどうするかっていう部分が思ったようになかなか。こうやったら4年生はやる気を取り戻すんじゃないかと思った策が、実は全然効かなかったり、っていうのが一年通して難しかったなって。
――例えばどういう風に伝えたら、やる気を出してくれましたか
細川 やっぱり自分の4年の経験っていうのを一番ベストにしてて、自分が4年の時も一番良くてBチームまでしかいかなくて、Aチームにはほとんど絡めないっていうので、今の4年生の気持ちが分かるつもりでいたから。だからこういう時期もこういう気持ちでやってたし、それこそAチーム目指すのにきつくなった所で諦めたら何にも残らへんし。そういう考え方が出来るし、今の4年生も出来ると思ってたら、やっぱり出来ない人もいて。自分はもうそうじゃないっていう考え方の人もいて。やっぱ人って考え方が違うから、自分は逆にそういう、アカクロ着れないっていう厳しい状態になったら後輩指導に全力注ぐっていう子もいれば、残り時間は楽しくラグビーして楽しい思い出作りたいってやつもいて。そういう所で、自分がそういう考えを持ってなかった分どうしようみたいな感じで。それを修正出来なかったりっていうのが、今すごく分かりますね。そこが難しかったです。自分の考えがみんな分かると思ったら、分からないので。
――そういって指導していく中で、自分の指導ポリシーはありますか
細川 こっちが諦めない、ですね。出来るだけ、全てが選手の為にっていうか、選手の為になる事だけ言おうかなと。チームの方針こうだから、お前こうなれよっていうんじゃなくて、こういうスキルがあった方が絶対プレーの幅も広がるんやから、その分ラグビーも楽しくなるっしょ、みたいな。まずそういう感じで、こうやれっていうより、こういう風になった方がもっと良くなるよっていうような感じで、そう人をどうするか。っていうのと、相手がうまくいかなかったり、なかなかお前に言われてもっていうような態度とられても、諦めずにやって良い事と悪い事は徹底的に。後は、基本技術の部分で言ったら、下のチームなので、基本の部分ですね。自分がミスしたら、自分でボール押さえてセービングとかしてピンチを拡大させないとか。常に一番に体を張るとか。そういう声を出すとか、誰でも出来るような部分を一番大事にっていうのは教えてますね、下のチームに。
――C・Dのコーチをされてるという事で、そこからBへ上がった選手もいると思いますが、今回のジュニア選手権の優勝は大きかったですか
細川 そうですね、去年勝てなかった部分もあるので、あれは一番大きなターゲットだったんで。特にあの時、掛井(雄馬=人4)ってSOが出てたんですけど、現役の学生の頃も自分とよく、その子が今でいう三井と同じポジションだったので、一緒に9・10番組む事が多かったので。しかも一番下のコルツって所でよくやってたので、あいつの苦労もよく見てたし。それで今シーズンもずっと下のチームで山中・宮澤がSOやるなかで、一番下のチームで、どうやったら這い上がれるんですかって聞きながらもずっとやってたんで。そいつが最後ジュニア選手権でAチームじゃないにしろ試合に出て、まぁパフォーマンスはどうあれ、きっちり優勝して。まぁ喜んでる姿とか見ると、そこはほっとしたっていうか、一つ良かったなって思いましたね。
――三井さんにお伺いします。コーチとしての細川さんは見ていてどうですか
三井 練習を一緒にする事はないので、あんまり直接的にはわかんないんですけど…でも、こいつの考えてる事とかやろうとしている事とかは凄い伝わってくるし。普通にご飯食べに行った時でも、コーチどう?みたいな。…頑張ってます。(笑)むいてると思います。まぁでも、ちょっと頑固なんですよね。
細川 そうそう。
三井 柔軟性がないんですよね。だから僕がアドバイスしてるんですけどね。(笑)
細川 わかってるんだけどもっていうか。学生とかに言われて、わかってるんだけども、そこ譲っていいのかみたいな。っていうのを相談すると、いや譲るべきだって。(笑)わかりながらでも、俺は今までこうやって積み重ねてきたつって…なかなか曲げられないですね。

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