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 第44回全国大学選手権準決勝 対帝京大 1月2日 国立競技場



 接戦制し決勝進出…雪辱の舞台へ

ノーサイドの瞬間、喜びをあらわにする権丈主将  2季ぶりの大学王座奪回を目指す早大は、新春の国立で帝京大を相手に12−5と辛くも勝利を収め、7季連続の決勝進出を決めた。大黒柱・五郎丸歩(スポ4)が左ひざのケガで今季初のメンバー外となったこの日、早大を決勝へと導いたのは、シーズン当初から掲げた2つの強みだった。

 五郎丸の不在は、やはりゲームに大きく影響した。これまでの試合、ゲームメークを一手に任されていた司令塔が欠場するという事態に、中竹竜二監督(平9人卒)が大役を任せたのはCTB田邊秀樹(スポ2)とSO山中亮平(スポ1)という若い選手だった。

 前半11分にロック橋本樹(スポ3)の好チャージからターンオーバーし、田邊が先制トライを奪うも、その後は風上というアドバンテージを生かせず。ハイパントなのか、陣地を取るのか「エリアマネジメントではどっちつかず」(SH三井大祐=教4)というキックで、狙いとする敵陣でのプレーができなかった。同28分に1トライを返されると、ゲームはこう着状態に。

 そして風下の後半。若いBKは「行ってはいけない場面でカウンターに行ってしまったり、蹴ってはいけない場面で蹴ってしまった部分があった」(中竹監督)。さらに帝京大の予想以上に強化されたブレイクダウンもあり、攻め手がないまま時間だけが刻々と過ぎていく。

幾度となく好タックルを見せた豊田  それでも昨季の雪辱のため、そしてなによりケガで準決勝に出られないメンバーを決勝へ導くため、早大フィフティーンは決してぶれることはなかった。BKが不調ならFWで――。「BKは若い選手が多いのでFWで圧倒すれば絶対勝てると思っていた」(ロック権丈太郎主将=スポ4)。

 後半17分、今季最大の得点源、モールから待望の追加点。「あの強いFW相手にモールでトライ取れたので、良かった」(フッカー臼井陽亮=スポ4)。春先から鍛えあげた『鉄ぺきのモール』は大一番でも健在。12−5とすると、7点差を守り切るため、今季2つ目の柱であるディフェンスが光った。素早い出足で前へ出て、帝京大にプレッシャーを与え続けた。大半の時間を自陣で、なおかつ相手ボールという劣勢だったが、「ディフェンスやっていてまったく取られる気もしなかったし、抜かれるところもなかった。まったく怖くなかった」(権丈)。耐えに耐えてノーサイド、強敵・帝京大を退けた。

 「一番大きなカベ」(中竹監督)を一丸となって超えた早大。ついに決勝の舞台への切符をもぎ取った。「すべてのことを経験したと思っている。もう何が起こっても怖くないという心境。あとは暴れて圧倒するだけ」。チームを引っ張り続けた権丈は自信に満ちた表情でこう語る。権丈組の集大成は1・12、国立で。2季ぶりの『荒ぶる』まであと一つ。

(本間裕二)


★決勝戦の相手は慶大
 この日の第一試合でもうひとつの準決勝・慶大対明大戦が行われた。主将・金井をケガで欠く慶大が明大の強力スクラムに苦しめられたが、決定力抜群のBK陣がチームをリード。WTB山田の巧みなステップが明大ディフェンスを混乱させ、前半に4トライを奪うなど、一度も明大にリードを奪われることなく34−27で勝ち、決勝へ駒を進めた。

 これにより1月12日に行われる決勝戦は、39季ぶりの早慶対決となった。1968年度の対決では14−14の引き分けで両校優勝となっている。

早大出場メンバー
背番号名前ポジション学部・学年
瀧澤  直プロップ理工3
臼井 陽亮フッカースポ4
畠山 健介プロップスポ4
権丈 太郎ロックスポ4
橋本  樹ロックスポ3
松田 純平フランカー政経4
19上田 一貴→前41分入替教3
覺來  弦フランカースポ4
豊田 将万NO・8スポ3
三井 大祐SH教4
10山中 亮平SOスポ1
11田中 渉太WTBスポ3
12宮澤 正利CTBスポ1
13田邊 秀樹CTBスポ2
14早田 健二WTBスポ2
15中濱 寛造FB教1
早 大   帝京大
前半 後半 得点 前半 後半
12 合計
【得点】▽トライ 田邊、臼井 ▽ゴール 三井
※得点は早大のみ


◆コメント
中竹監督
きょうの試合は権丈たちの代になってから、一番大事な試合というか、一番大きなカベになるだろうなと思っていた。実際にスローガンに掲げたことも『責任』ということで、とにかくAチームとしての責任を果たす。すなわち勝つこと。今回リーダーが不在で、春からAで頑張ってきた選手もいない中、この試合を乗り越えてさらに進化していきたいという思いを持っていて、それで選手を送り出した。帝京さんもお互いに徹底してゲームマネジメントもしっかりし、近場でワセダを苦しめた。こちらとしてはなかなか点が取れず、初めてのロースコアになってしまった。原因としては取りきれるところで取りきれないイージーミスがあった。繋がなくていいところで、繋いでしまったり、ディフェンスで前に出る意識はあったが、タックルで飛び込んでしまったりしたところがあった。帝京さんがやりたい地域で試合をしてしまったところかなと。おそらく、いろいろな試合を戦ってきた中で、次の試合へ向けてこういう経験をできたことは逆に非常に良かったと思って前向きに捉えている。(五郎丸の不在について)ケガについては実は最初から本人も出たいということだったので、準決勝に向けて準備はさせていたが、五郎丸に限らず長尾も有田(幸平)もメディカル陣からはOKは出ていたが、あえて22人を選ぶ段階で、万全で勢いのある人間を使うということにした。決勝には戻って来られるだろう。五郎丸がいなかったことで、やはりエリアを考えて、どこでどういうことをやるか基本的に決めていたのは、ずっと五郎丸。点差が開いていれば誰でもできることだが、競った試合で緊迫した中で、自信を持って決断することが今までなかったので、そういった意味では、選手自身も辛かっただろうし、乗り越えなくてはいけなかった。ずっと、こういうことが起こるだろうと思って、シーズンの最初から五郎丸を前半で下げ、田邊や山中にやらせていたが、実際点差ついたあとのゲームだとあまり勉強にならないので、今回は非常に反省になるものと自信になるものがあったと思う。(自信になるところとは)後半、思い切ってタッチを蹴りだしにいくかハイパントを蹴るのか。ここの判断の中で、途中FWが走れなくなるとチェイスがいなくなってダメになる。こういうことも感じながら、そういったことを感じながら、どこかで勝負かけることが必要。そういう意味ではきょうは行ってはいけない場面でカウンターに行ってしまったり、蹴ってはいけない場面で蹴ってしまった部分があった。ここは、彼ら自身、全体を見通して判断を下すことを反省してもらいたい。ただ、自信になるという意味では、(判断が)正しい正しくない関係なく、決めたことに対して責任を持ってプレーする。例えば「カウンターでいくと決めたならば、絶対にボールを出すという気持ちでやったと思うので、ここは評価したい。まったく同じ行為であっても、責任を持つという話はしていた。思い切ったプレーもあったので、ここはしっかり褒めてあげたい。(決勝は慶大と対戦)慶大、メイジ、帝京は対抗戦の時は本気でワセダに勝ちにきて点差で言うと完敗だった。そこからどのチームも目の色を変えて、今回準決勝に残ったチームは相当な成長を見せていると思う。その中でも慶大も戦い方をガラッと変え、本来の慶大らしさが戻って勢いのあるチームになっている。まだ分析はしていないが、我々としては相手に合わせることなく、これまで通り、当初掲げたプラン通り戦っていくだけ。

権丈主将
きょうの試合に入るにあたって、リーダーがいなく、ケガ人も多く日頃やっているフルメンバーとは程遠いメンバーでの試合だったが、出るメンバーには「おれたちがワセダだ」、「出ているメンバーがやるしかない、ひとりひとりが責任を果たそう」と、そこだけを問いただして、試合に臨んだ。BKは若い選手が多いのでFWで圧倒すれば絶対勝てると思っていた。前半ブレイクダウンも終始、こちらが優勢にいけたと思っていたが、取りきれるモールのところで取れなかったことが、リズムに乗り切れなかったところだと思う。あとは自陣での戦いが多くなってしまったこと。これがこのスコアの原因。でも、ディフェンスやっていてまったく取られる気もしなかったし、抜かれるところもなかった。まったく怖くなかった。(五郎丸不在の影響はグラウンドレベルでは?)いつもは五郎丸がサイン出したり、「この時間帯はこうしよう」と彼がすべてだしてくれているが、司令塔がいなくなったことで、今回、田邊や三井さんにそういうことは任せてゲームに臨んだが、ミスチョイスをしたり、五郎丸がいたらゲイン出来ていたところで、出来ない。前半は特に前進できる機会がなくて、いつもと違う試合展開になってしまった。それ以上に精神的柱というか、「五郎丸がいるから蹴られても大丈夫」、「やつが立て直してくれる」というのがない分、きょうは試合前からプレッシャーは感じていた。それもあってみんないつも以上の力は出せなかったが、これを乗り切って次は戦える。(決勝は慶大と対戦)やっとここまで来られたという感じ。去年の負けからこの一戦のためだけに戦ってきて、色々なプレッシャーもある中ここまで来て、思い切り試合をやるだけ。すべてのことを経験したと思っている。もう何が起こっても怖くないという心境。あとは暴れて圧倒するだけ。

畠山
五郎丸がピッチレベルにでもいると安心感はある。ワセダを象徴するプレーヤーなので。五郎丸を決勝に立たせるのが責任。若いBKなのでBKがミスしてもFWがカバーするという気持ちでやった。だが、きょうはあまりできたとは言えない。自陣でプレーする時間が長く、ミスが続いたことでそのままずるずるいってしまった。

五郎丸
決勝戦はフルでいける。1週間ずっと別メニューだったのできょうは微妙かなと思っていた。状態としてはベスト。(見ていてどうだったか)冷や冷やした。BKの若さが出た。FWは良かった。接戦だったのでそこで勝てたのはうれしいし、大きい。決勝はベストを尽くせば負けるチームじゃない。激しいプレーでチームを引っ張りたい。

臼井
きょうはタイトな試合で疲れた。もともとタイトな試合になるのは分かっていたので心の準備はできていた。(帝京大のブレイクダウンは)どこのチームよりもこだわっていたし、前半はそこで少し劣勢になってしまって、自分たちのテンポにならなかった。(きょうのセットプレーは)レフリングの兼ね合いもあるが、前半、自分のスローイングミスで何本かミスが出てしまって、うまくリズムに乗れなくて、マイボールの時間が少なくてワセダのテンポが出なかった。後半は修正できたが、前半から100%でいけるようにまた、意識して練習していきたい。(そのなかモールでトライを取れたのは収穫?)そうですね。あの強いFW相手にモールでトライ取れたので、良かった。また、あと3本くらいは取れたかなと思うので、まだまだ自分らが甘いということを痛感させられた。そこが来週も課題になると思う。(決勝戦へ向けて)去年の負けがあって今があると思うで、自分らがどこまで成長できたのか、来週証明できると思う。相手は自分たちが想像していた相手ではないが、やることは全然変わらない。(ラインアウトに注目が集まると思うが)去年の負けがラインアウトだと思うが、そこでプレッシャーには感じずに気持ちよくプレーしていきたい。

松田
(今季初先発だったが)最後まで出られれば良かったのですが。選んでもらったのに申し訳ない。(きょうのテーマは『責任』)負けられない。負けることは怖いなと感じた。それを一番感じた。負けたら終わりという怖さですね。(いよいよ決勝戦だが)今年一年は『荒ぶる』を取れればどうだっていいと思う。出られたらタックルで貢献したい。

三井
相手のブレイクダウンが強かったので、大外で勝負しようと思った。ただワセダは、五郎丸がいない分、大外のブレイクダウンが弱かった。今週、五郎丸が出ないと分かってから、出来るのは選ばれたメンバーしかいないので、しっかり切り替えて、若いメンバーが多い中、監督も強気でいけ、と言ってくれた。中浜にも五郎丸の代わりというより、自分のできることを精一杯やれと。エリアマネジメントやゲームメークという面では、五郎丸がいないことは大きいなと感じた。ただ、試合中は混乱しなかった。帝京さんのブレイクダウンが強いなというのは感じたことで、継続したかったが、空いているところで崩して取るというよりは、ブレイクダウンを重ねて、最後空いているところでフィニッシュしたかった。いつも五郎丸が後ろからコントロールしている中、山中に任せた。冷静にしっかりと自分のやるべきことをやっていたので頼もしかった。チームとしてうまくいかなかったが、うちは最後はFWなのでFWに拘って、トライを取れたのはチームとして収穫だと思う。決勝でケガしているメンバーとやろうと約束していたので、その約束を守ることを意識した。(接線で学んだことは)権丈組が始まって一番の接戦だったが、エリアマネジメントの重要性を感じたし、自分たちの強みで戦うことの大事さも感じた。FWがワセダの強みなので、FWで負けたら負けだと腹くくっていたところがあった。帝京さんもFWで拘ってきたが、ワセダの方が我慢できたかなと。帝京さんの方がボールを持っている時間は長かったと思う。そこで抑えたので、FW戦でワセダが勝ったと思う。前回もブレイクダウンの強さは感じたが、今回はさらに強くなっていた。(ハイパントについて)敵陣に行きたかったが、帝京もキックゲームが得意なので高く蹴って、チェイスして、前で止めて自分たちの得意なディフェンスでプレッシャーをかけていこうと。きょうはエリアマネジメントではどっちつかず。基本的にはノータッチでという考えだった。

山中
きょうは自陣からキックで攻めて敵陣でゲームをしたかった。ハイパントは(帝京大が)まぶしくて取りにくいだろうと思っていたので、意識した。あと意識したのはノータッチのキック。田邊さんや三井さんが引っ張ってくれたので、自分にとって五郎丸さんがいない影響はそこまでなかった。(帝京大は)ディフェンスが激しくて、接点は予想以上だった。裏に出てつないでいくところでミスが出てしまった。(決勝について)去年TVで見ていて、あの舞台に立ちたいと思っていた。ワセダの代表として頑張りたい。

田中
相手も本気を出せば、これだけ競るのだなと。五郎丸さんがいない状況で、あの人はワセダの芯だったので、若い面子でどれだけできるかというのが課題だった。競って自分たちのテンポでできなくなってしまった。「強くいこう」とみんなで話していたが、ポンポン(ボールを)放してしまって、そこで相手に取られてつなげなくて、やりたいことができなかった。(帝京大の印象は)対抗戦の時とは違った。こちらのFWがセットプレーで安定していなくて、最初モールで押し切れなくて、そこでリズムに乗れなかったなと。(サイン出しは田邊選手)サイン出しは完ぺきにできているので、そこでは別にやりにくさはなかった。(BKでの課題は)もっとコールをしっかりやらなくてはいけない。自分自身、出しているつもりだが、届いていないということはまだ足りないということだと思う。コミュニケーションですね。(決勝戦へ向けて)『荒ぶる』を歌うだけ。優勝したい。(11番へのこだわりは)強いです。対面も意識しています。

田邊
きょうの試合はだいぶしんどかった。お互いに陣地を取ろうと思ってキックを蹴り合ったのでこういう(ロースコアの)ゲームになってしまった。ワセダとしては、敵陣で試合をやりたかったので。あとはキックの使い方ですね。(五郎丸が不在)いつもよりやることが多くて、しかもBKも若いし、そういう意味ではしんどかった。(きょう自信になるのは)五郎丸さんがいないなかで勝てたというのもあるし、BKがダメでもFWがなんとかしてくれた。BKは若いので思いっきりやるだけ。(決勝への意気込みを)去年、負けてから、次の試合勝つために1年間やってきたので、すべてを出して優勝したい。

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