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早慶ラグビー号 アウトライン

6月2日、一人のおばちゃんが世間を沸かす『佑ちゃんフィーバー』の中枢に迷い込んだ。急用で早慶戦を見られなくなった息子から受け取ったチケットを持って。何を隠そう、そのおばちゃんこそわたしの母だ。
6月の上旬にしては、異常気象とも言える気候のなか、母は神宮の周りを奔走していた。どこに並べばいいか分からなかったらしい。とうとうしびれを切らしたか、電話で呼び出された。嫌々母と合流。わたしがいい加減な説明をした後、母は小走りで雑踏のなかに消えていった。その姿といったら、頑張って走っている子豚みたいで笑えた。だが、そのときわたしはまだ何も気づいていなかった。
試合が近づくにつれ、気温はさらに上がってきた。完全にキャパ越えした神宮の人口密度とコンクリートからの照り返し、そして学生の熱気によって、体感気温は真夏日のようだった。少し母が心配になってきた。立つ場所さえ確保しきれない満員の神宮外野席では座れるはずもない。干上がっていないだろうか。まあ、汗をかいて少しでもダイエットの足しにでもなればいいか。そんな最悪なことを考えていた。
試合が終わり、わたしも用事を終え帰途につき、電車のなかでふと、あることに気がついた。家に着くと、案の定、普段より少しだけ豪華な夕食が並べられていた。作ったのはまだ興奮気味の母。小金を稼ぐためチケット代を請求しようと思っていたが、やめておいた。たった500円の誕生日プレゼントってことで。
これまで母の観戦したワセダの試合は3勝2敗。とりあえず勝ち越してはいるが、何のジンクスも感じない、微妙なデータだ。さあ、きょうの早慶戦に母は来るのか!? そろそろ『勝利の女神』という肩書を得たいところだ。
(長田洋平)

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