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早慶レガッタ号 アウトライン

中学生のころからの約束だった。2006年6月、W杯観戦のために学校を2週間休んで友人とドイツに渡った。サポーターの熱気に包まれたスタジアム、ドイツ―フランスと国境を越えてはぐれたこと、タダで泊めてくれた現地の人の優しさ。何もかもが初めてのことで、すべてが新鮮だった。駅の時刻表を見ただけで心踊り、道に迷うことすら楽しんだ。
今年の2月、わたしはまた旅に出た。初めての一人旅に昨年の旅行と同様の感動を期待して――でも違った。ベルギーの街を自転車で駆け抜けても、ベオグラードで発炎筒立ち込めるダービーマッチを見ても、あのときの興奮は味わえなかった。
W杯のようなイベントがなかったせいなのか、一人だったからなのか。理由は分からないが、どんな景色を見ても、それらが自分のなかに鮮やかな印象を残さなくなったことに寂しさのようなものを感じた。
人生も同じなのだろうか。人は昔感じていたのと同じようには物事を捉えられなくなるのかもしれない。それは別に悲観するようなことではないのだろう。同じように感じられなくなっても、そのときの感じ方が今より劣っているわけではないし、その逆でもない。もう二度とない刹那(せつな)だからこそ、わたしはそのとき、その瞬間の感情を大事にしたい。忘れたくない。
きょう味わう感動も昨年の早慶レガッタで感じたものとは少し違うだろう。きっと昨年以上。ワセダの2年連続完全優勝が、それをかなえてくれる。
(大倉麻美)

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