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早慶野球(春)号 アウトライン

わたしには空を見上げてため息をつく癖がある。授業の合間や大学から自宅の最寄り駅に帰り着いた時。自分自身にいたわりの思いを込めて大きく息をはき出す。すると知らず知らずのうちに感じていた緊張から解放されるような気がする。
自分としては深呼吸のような感覚だが、友人に心配されることがあるので、人前ではこの癖を極力出さない。そんなわたしが思い切りため息をつける場所。それが神宮球場だ。
野球取材の時、ほかの部員は2階席で観戦するが、カメラを担当するわたしの活動範囲はもっぱら1階。この春もカメラマン席横のいつもの場所に陣取り、独りシャッターを切り続けた。
1日に撮るのは2試合分。約6時間はファインダーをのぞき続ける計算になるが、そんなに長い間集中は続くわけもない。そこで気分転換に空を見上げてはため息をつく。その音は応援の声にかき消され、自分の耳に入るだけ。普段は周囲の目を気にする自分の癖も存分にできる。
フェンス越しに見上げる青空は時間の経過とともに西日を受けて白みを帯びてゆく。試合終了後、これから日が暮れようとする神宮で最後にまたため息。妙な達成感と心地よい疲れとで、わたしは決まって幸せな気持ちに包まれる。
こうして神宮でため息をつけるのもあと少し。今年の早慶戦は両校が27年ぶりに完全優勝を目指して戦う歴史的な一戦だ。四半世紀に一度しかない最高の環境で、ワセダの勝利とともに今までで一番幸せなため息をつきたい。今密かにそう思っている。
(小室洋平)

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