|
|



新人パレード号 アウトライン

この大学で迎える三回目の春となるが、私は校歌を歌えない。と言っても音痴だからではない。「ワセダ」という巨大なアイデンティティーに飲み込まれそうで怖いからだ。
拳を振り上げ、肩を抱き合い、都の西北、紺碧の空を熱唱する。サークルの特性上そんな場面に幾度となく遭遇したが、どうしても歌えない。確固たる自分がないことがその理由だと考えている。。
幼いころから日本各地を転々としてきた。郷愁を覚える場所もなければ、多くを理解してくれる人もいない。さまざまなことに首を突っ込み、様々な人と出会ったが、どこにいても何をしていても、「ここじゃない」という感覚にさいなまれる。勉強も遊びも、人間関係も人格形成も、どれも中途半端に年月が過ぎた。打ち込める何かが見つからなかった。
そして高校3年時の夏、運命的な出会い。それがバスケットボールだった。瞬く間に魅力にとりつかれ、バスケを取材したい一心で早スポに入った。足しげくアリーナに通い、時には空も飛ぶ。いつの間にか気味が悪いほど知識が増え、同じ夢を志す仲間ができた。
話が前後したが、最近生まれた私の夢はバスケの聖地・代々木第二体育館が毎試合満員になること。そしてそのためにわたしがすることは、ペンの力でアリーナに響く息遣いを伝えることだ。考古学者、DJ、ジャズピアニスト、吟遊詩人(?)。いくつもの夢が安い音を立てて壊れたが、残念ながらこの夢だけは消えそうもない。なんて言ったって適当に生きてきたこのわたしが遂に本気だからだ!
21歳になる今年、ようやく己の中に確かなものが芽生えた。もう何にも流されない。都の西北になんて負けない。きっと、勝ってみせる
(青木美帆)

|

| 
|