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早慶ラグビー号
3月のある日、二十歳の誕生日を数週間後に控えた私は突然一人旅に出ることに決めた。まず九州、それから西日本を気が済むまで周遊するつもりだった。しかし思わぬ形で、計画は瓦解。結局九州どころか広島止まりで帰ってきてしまった。
広島に着いた日の夕方から、私は名物のお好み焼きの店を一晩かけて何軒もハシゴして、翌朝起きたときには動くのもイヤなくらい胃がもたれてしまった。それにちょっと牡蠣にも当たったらしい。結局、予定を変えて東京に戻ることにし、10代最後の一人旅はたった3泊4日の小旅行になってしまった。「またか」。昔からいつもそうだった。後先を考えない刹那的な性分は数知れぬ後悔を私に残してきた。
だが、二十歳の誕生日に、たくさんの友達からの「おめでとう」をもらったとき、幸せな気分に包まれると同時に、何かがふっきれた気がした。それは、私が今、手にしているもの、そしてこの先私が手にするすべてのものを「背負って生きていこう」という覚悟であった。
人は生きていく中で数知れない取捨選択を迫られる。余分なものはもちろん、大切にしていたものすら手放して年を重ねていく。ちょうど、川の上流の石が磨かれながら下流に下っていくように。でも、たとえそれがどんなに不利な選択であっても、手放したくない。今、私を包むすべてがどんなに大切なものかわかったから。
我慢の人・徳川家康公は言った。「人の人生は重き荷を負うて遠き路を行くが如し。急ぐべからず」と。重い荷物を背負ってでもゆっくりと歩いて行こうと思う。そうでなければ見つからない花だってあると信じて。
(清水健夫)
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