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北京五輪特集
【特集】競泳日本代表・北川麻美インタビュー/after Olympic Games
北川麻美(スポ3)が北京で大輪の花を咲かせた。100メートル平泳ぎで決勝進出を果たすと、スイムオフを制した200メートル個人メドレーでは泳ぐ度に日本記録を更新して6位入賞。初の大舞台に臆することなく、これまで培ってきた経験を存分に生かし切っての功績を挙げた。北川の魅力と真価が十二分に発揮された「すごく内容の濃い9日間」。その時々に感じていた思いとは――。 (※取材は8月31日に行いました)
――北京オリンピック本当にお疲れ様でした。ゆっくり休む間もなく、インカレに向けての練習中ですか
はい。そうですね。
――疲労は抜けましたか
(五輪が)終わった後、3、4日休んで練習始めて、その時点で疲れは取れてたかなと思います。
――調子はどうですか
まあまあですね(笑)。そこまで絶好調というわけではないですけれど、調子はキープできてるんじゃないかと思います。
――今はワセダで練習しているんですよね
はい。インカレまでの間は大学でやるっていう形で。
――やはりスウィン(所属クラブ)での練習と違う部分もありますか
そうですね。まあ1番の違いは長水路(50メートルプール)で練習できるっていうところと、あとは同世代の子たちと一緒に雰囲気を楽しみながら泳げて、自分にもプラスになります。
――インカレも5日後に迫りましたが、チームの雰囲気はどうですか
いいんじゃないかなーと思います(笑)。まあ私は最初からいたわけではないのでよくわからないですけど。
――オリンピックが終わって10日ほど経ちましたが、もう結構前のことという感じですか。それとも、つい昨日のことのように感じますか
そうですね。もう結構前に終わってる感じがしますね。
――帰国後の周囲の反応はいかがでしたか
やっぱりメディアとか日本全体の目からすると、メダリストとそうでない人とで分けられてしまうんですけど、地元の方とか、すごい応援してくださった方は、「決勝残れてよかったねー!おめでとう!」と温かく迎えてくれて、それは本当に、自分でも頑張ってよかったなと思いました。
――ではそのオリンピックに関して時系列に沿ってお伺いします。まず6月のジャパンオープン。50・100メートル自由形に出場されて、試合後に「得意種目に出ておけばよかった」ともおっしゃっていましたが、振り返っていかがですか
そうですね。あの場所でやっぱり自分の種目を出なかったことに関しては、後悔した部分もあったんですけど、逆にあそこでフリーに出ておいて、あまり調子が良くなかった中でベストが出たことは自信にもなったので、今考えれば、あの時はあの種目に出ておいてよかったんじゃないかなと思います。
――周りの選手が新記録ラッシュなどで、北京へ向けて自信をつけていく中で、焦りや不安というのはなかったですか
なかったですね。
――その後、フラッグスタッフへ3週間ほど合宿に行かれたんですよね。やはり高地での練習は平地よりきつかったですか
きついはすごくきついんですけど、私は練習のタイムを見ても、高地と平地とあまり変わらないタイプで、まあでも高地の方がいい練習はできてたんじゃないかなと思います。すごい手ごたえも感じていて、絶対ベストが出せるっていう自信がついた合宿だったので、よかったんじゃないかなと思います。
――その合宿での目標設定などはありましたか
そうですね。いろんな取材をされる中で、タイム的には(200メートル個人メドレーで)2分11秒台を出したいって言っていて、その時はちょっと大きく出すぎていたかなって思ったんですけど、結果的に2分11秒台が出たので、フラッグでの自分の感覚っていうのは間違っていなかったんだなっていうのは思いましたね。
――その合宿では藤井(拓郎=平20スポ卒=現・KONAMI)選手とともに、奥野(景介=昭63教卒)監督の下で練習されたんですよね
そうです。(メニューは)ちょくちょく私の方が少なくて(笑)違ってたんですけど、まあ大雑把に言えば一緒の練習をやっていましたね。
――普段とは違うコーチからご指導を受けることで、違った部分とか刺激を受けたこともありますか
そうですね。違うコーチでやるっていう上で、不安とか出てくるのかなって自分でも思ったんですけど、やっぱり高地と平地って場所が違うってことで、気持ちを新たに合宿に挑むことができたっていうのもあって、また今のコーチとは違う新しいメニューのやり方でメリハリがついた練習ができたので、自分の中ではすごいプラスになったんじゃないかなって思います。
――その合宿の時点で、五輪で100メートル平泳ぎに出場できるのは決まっていたんですか
合宿が終わるぐらいに聞かされたのかな?はっきりはまだ知らなかったと思います。
――では個人メドレーを中心にした練習をしていたんですか
はい。
――特に重点的に練習したことや種目はありましたか
そうですね。前半からいくと、ラストのフリー(自由形)が疲れちゃうのでそこの持久力と、あとはバック(背泳ぎ)の強化を。特にバックだけっていうわけじゃないんですけど、いろんな4種目の練習をする中で、自分の中ではバックを意識してやっていました。
――その合宿から午前中の決勝というのを意識した練習はありましたか
いや、その合宿ではなかったですし、朝、決勝10時から、日本で言うと11時からなので、朝に決勝って言ってもそこまで早い時間ではなかったので、私的にはあまり気にはしてなかったですね。
――帰国直後の記録会で100メートル平泳ぎで自己ベストを更新(1分8秒13)。合宿の成果を感じましたか
そうですね。まあ平泳ぎでは多少泳ぎを変えて、あんなタイム出ると思ってなかったので、自分でもビックリしたんですけど、力はついてるなっていうのは実感できましたね。
――五輪に向けてやるべきことはやったという感じでしたか
そうですね、はい。
――最初、会場のプールで泳いだ感覚はどうでしたか
全然、違和感はなくて、泳ぎやすいっていう感じはありました。
――アテネだったら屋外でしたが、屋内でよかったですか
いや、どっちかって言うと外の方がよかったんですけど、自然の中で泳ぐ方が私的にはよかったと思うんですけど、まあ中でも外でもいいプールはいいプールなので、あの北京のプールも、私の中ではすごい良いプールでしたね。
――開会式には出てないですよね
出てないですね。
――競泳1日目前夜でしたが、テレビでも見てないですか
いや、日本選手が紹介される時はみんなで見てました。
――緊張はしていましたか
いや。最初がリレーっていうのもあったので。
――やはり1種目目がリレーでよかったですか
そうですね。個人種目の前に何か1つ泳げたっていうのは気持ちの面でちょっとはラクになれたんじゃないかなと思います。
――1種目目の400メートルフリーリレーでは、日本チームとしては予選9位で惜しかったですが、北川選手は54秒47の好タイム。最初から調子はよかったですか
そうですね。上手くいけば4秒(54秒)台で引き継げるって言われていて、実際4秒台で引き継いで、まあ自分のタイムを知ったのがちょっと遅かったんですけど、全体の3分39秒っていうタイムにも、自分としてはよかったんじゃないかなって思います。
――翌日は100メートル平泳ぎの予選でしたが、この種目に関してタイムや順位の具体的な目標はありましたか
やっぱりベストを出さないと、準決勝にも決勝にも残れないと思っていたので、自分のベストを出すように心がけていましたね。
――予選は1分8秒36、15位で準決勝進出でしたが
そうですね。ギリギリのところで進めて、1ブレ(100メートル平泳ぎ)で(1分)8秒3っていうタイムで残れるって思っていなかったので、まあラッキーだなっていうのはありましたね。
――決勝に進めた時も「このタイムで決勝にいけるとは思ってなかった」とおっしゃってました
この大会、本当にツイてるなっていうのは思いましたね。このチャンスを絶対に逃したくないなって。まあ(決勝で)タイムは落としちゃったんですけど、決勝は何も気負うことなく泳げました。
――準決勝の前には北島康介(日本コカ・コーラ)選手が金メダル獲得。北川選手のレースの直前でしたよね
はい、私の前でした。
――召集所でレースを見てましたか
召集所で見てたんですけど、やっぱり周りにだれも日本人がいなくて、1人ですっごい喜んじゃって(笑)ちょっと恥ずかしかったんですけど、でもすっごい感動しましたね。
――そこで良い刺激を受けましたか
このいい波を作って、絶対この波に乗らなきゃっていうのはありましたね。
――やはり日本チームの波っていうのはありますか
そうですね。やっぱりみんなが頑張ってるから自分もっていうのは思いましたね。
――召集所で海外の選手と話すことはあるんですか
いやー個人は…リレーも喋ってないですね。
――オリンピックの召集所の雰囲気は違いましたか
んーそんなに、うわーこの空気やだなって思う感じはしなかったですし、まあ私の中で気持ちがすごい前向きになってたので、そんな細かい部分までは気にならなかったですね。
――では200メートル個人メドレー。予選でいきなり日本新記録でしたが、やっと切れたという感じでしたか
最初タイムを忘れていて(笑)、なんかその時だけタイムが頭から抜けちゃっていて、(2分)12秒4っていうのがごく普通のタイムに見えて、言われるまで(日本新だと)気付かなかったんですけど、でもやっと切ったっていうよりかはもうちょっといけるんじゃないかなっていう気持ちの方が、たぶんあったと思いますね。
――先ほどおっしゃっていたように目標は11秒台だったと
そうですね。でも海外の大会でベストが出たっていうのは結構久しぶりだったので、やっとベスト出ない記録が止まったっていうのは、本当に嬉しかったですし、ただ自分の中でもうちょっといけるんじゃないかっていうのもあったので、そんなに、切れてよかったーっていう感じじゃなかったですね。
――予選は準決、決勝を見据えてのレースではなかったですか
いや、決勝なんて考えてると落ちちゃうので、予選から100%の力でいきました。まず予選からタイムを上げることが大前提とされると思ったので、0.1秒でも速く泳いで、予選が9位だったので決勝には残りたいなって思いましたね。
――準決勝でハンガリーの選手と同タイムで8位。「あと0.01秒速ければ…」ともおっしゃっていましたが、結果を見たときのお気持ちは
そうですね。でも今考えると、あの時はあれがマックスで、あのタイムで同着になれたわけですから、0.01秒速ければあんな対戦をしなくて済んだかもしれないですけど、でもあのスイムオフがなかったら、決勝で11秒が出てたかもわからないですし、どっかで気持ちが抑えられていれば、あのスイムオフまでもいけてなかったと思うので、本当にきつかったですけど、あれはあれでよかったんじゃないかなと思います。
――準決勝とスイムオフの間は30分ぐらいしかなかったですよね
そうですね。「何時からですか?」って聞いたら、「あと20分後」って言われて、えっ!?って感じで(笑)。
――そのスイムオフまでの時間には流す以外に、コーチと話す時間などはありましたか
はい。奥野さんには長めに流してって言われたんですけど、本当に水に入るのもきつかったんで、さらっと流して、あとはいろんな人にマッサージをしてもらって、声もかけてもらって。準決勝でスイムオフが決まった瞬間は、本当にきつくて、もう無理だなー、もうこれ以上泳げないなーって思ってしまったんですけど、控えに戻った時の日本チームの「あともう1本で今日終わるから」っていう応援とか、あと(藤井)拓郎さんの、よくわからないんですけど(笑)「ここまで予定通りだ」っていう何気ない一言で、みんなが見ててくれてるからもう1本頑張んなきゃ、みんなが応援してるからもう1本頑張ろうって気持ちを切り換えることができましたね。
――相手の選手の分析とかレース展開を知って臨む時間はなかったですか
いや、私がマッサージしてもらってる時に、相手は前半速いから焦らないで後半勝負に持っていけって言われてたんで。
――バッタで前に出て、バックで追いつかれて、得意のブレストから差を広げた展開になりました
本当はブレストから仕掛けるつもりで、バッタ、バックはついていこうと思っていたんですけど、あまりにも向こうがバッタが遅くて、スタートで自分が先に出たのがわかったので、バッタからいっちゃいました(笑)。作戦無視して、前半からいっちゃいましたね(笑)。
――ブレストで勝利は確信しましたか
んーまあ大丈夫だろうなっていうのはあったんですけど、フリーが強いって言ってたんで、気を抜いたらどうなるかわからないと思って、最後まで頑張りましたね。
――「今までの人生で1番きついレース」ともおっしゃってました
きつかったですね…2個メ(200メートル個人メドレー)を続けて泳いだことがなかったので、しかも、1本1本がマックス、自分の100%の力を出して泳ぐ大会で思いがけない1レースだったので、精神的にも肉体的にもきつかったですね。
――スイムオフ自体も初めてだったんですよね
初めてです。初めてのスイムオフがオリンピックで(笑)。
――スイムオフを泳ぐとは想定外でしたよね
2個メでスイムオフは全然考えてなかったですね。どっちかって言ったら1ブレ(100メートル平泳ぎ)の方が…まあスイムオフなんて考えてなかったんで、何とも言えないですけど(笑)。2個メをもう1本泳ぐとは思ってなかったですね。
――普通にそのまま準決勝、決勝と泳ぐのではなく、準決勝、スイムオフを経て、決勝に進んだわけですが、あの1本というのは大きかったですか
そうですね。やっぱりスイムオフで0.1秒ですけどタイムを縮められたことで、明日は絶対に11秒って目標が明確に出てきましたし、たぶん、あのまま8番で、スイムオフを泳がずにすんなりと決勝に行けてれば、もうあとは決勝泳ぐだけだって思っちゃってたかもしれないので、スイムオフっていうその1レースだけで、自分の気持ちも変わりましたし、自分で言うのも何なんですけど、見てくれている人にも何か伝わったんじゃないかなって。実際、高桑(健=自衛隊体校)さんにも「麻美さんみたいに頑張ります!」って言ってもらえて、私のあのスイムオフを見てくれてて、無駄にはならなかったんだなっていうのはすごく感じて、それは嬉しかったです。
――その高桑選手も北川選手と同じように日本記録連続更新していましたね
そうですね。すごいですね。
――決勝の2分11秒56っていうタイムはどう思われましたか
そうですね。ラップ(50メートル毎のタイム)を見ると、もうちょっと出たのかなっていう感じはしないでもないんですけど、これは家族にも言われたことなんですけど、「スイムオフの時点で気持ちが切れてると思った」って言われて、そう周りが思う中で、自分は気持ちを切らさずにもう1回ベストを更新できたっていうのは、今まで1回1回のレースで気持ちが切れてた自分にとっては、予選、準決、スイムオフ、決勝と泳ぐ中で自分が成長してきた部分なんじゃないかなと思います。
――ブレストの速さはやはり有利に生かしたいところですか
そうですね。相手がどんなに速くても、自分が得意とする場所では絶対負けたくないと思っていたので、前半差が開きすぎて、追いつくまでいかなかったんですけど、まあ自分の泳ぎができたんじゃないかなと思います。
――バックには苦手意識はありますか
そこまで、前みたいにバックは全然だめだっていう気持ちは今はもうないんですけど、やっぱり世界と比べてしまうと、全然まだまだ、あのラップタイムじゃだめなのかなって。今回の2個メ、どのレースでもビリでターンしてるんで、それを見ても、バッタであれだけ前に出てるのにバックでかわされるっていうのは、みんなから劣っている部分なのかなって思います。
――2分8秒台で泳ぐ世界のトップとの差を埋めるには、その辺りが課題にもなりますか
そうですね。あとやっぱり2個メを泳いでる人は、200のフリーとか、スピード持久力系が強いので、自分に足りないところもそこなんじゃないかなと思います。
――先ほど、スイムオフ前の応援が力になったともおっしゃっていましたが、今回、ここまで日本記録を連続更新できた1番の要因はご自身ではどう思われますか
そうですね。今おっしゃったように応援もありますし、いろんな練習で自分に自信を持てたっていうのもありますし、たぶん1番大きいのが2個メのレースの前にリレー、平泳ぎ、平泳ぎに関しては3回泳げたってことで、レース数をこなしていく中でオリンピックっていう場に慣れていって、その中で自分のパフォーマンスが100%できたんじゃないかなって思います。
――慣れという部分で、世界水泳などと違うところはありましたか
んーあまり感じはしなかったですけど…。
――メダルなどを期待される中で、五輪の雰囲気に飲まれてしまう選手もいたと思いますが
まあ私の場合はあまり期待されてなかったので、逆に見てろみたいな感じで(笑)私もここまでできるんだぞっていうのを見せたかったっていうのもありますし、わざわざ北京まで応援に来てくれているコーチとか家族とかもいたので、チケット代とかもハンパじゃないんで、無駄にさせたくなかったので。
――今回の北川選手のレースを見た方は、タフな選手という印象も持ったのではないかと思います
タフなレースをするっていうのが私の持ち味でもあるんで。それまでも1日何レースもこなすっていうのを繰り返してきたっていうのもあるので、そういう積み重ねが今回、すごい自分にとって自信にもなったんじゃないかなって。スイムオフの時もやっぱり、どうしようっていう風に思ったんですけど、みんなが応援してくれてるっていうこともありますけど…負けるかもっていう思いはなかったし、絶対に勝つっていう気持ちしかなかったんで、その時に負けるかもとか負けたらどうしようかもっていう気持ちがあったら、勝てたかもわからないし、ベストが出てたかもわからないので、今までに経験してきたタフなレースが、今回すごい自分にとって役に立ったんじゃないかなって思います。
――選考会となった日本選手権もハードスケジュールでしたね
そうですね。
――あの時は「手足が震えるほど緊張した」とおっしゃっていましたがオリンピックではどうでしたか
いやー…
――選考会の時の方が緊張しましたか
はい、緊張しましたね。
――個人で2種目とも決勝進出でしたが、今後、どちらかで勝負したいっていうより、並行して両方やっていきたいという感じですか
うーん、そうですね。今はどっちかって絞ることはできないですし、どっちかに絞る気も今はないので、できる限り、自分がやりたい種目をやりたいなっていうのはありますね。
――個人2種目の結果には満足していますか
うーん…すべてにおいて満足とは…平泳ぎでベスト出なかったですし、すべてにおいて満足とは言えませんけど、今まで経験してきた世界大会の中では頑張った方じゃないかなって思います。
――他に満足いかなかったことは
んーやっぱり個人メドレーでもタイム的にはすごい満足してるんですけど、終わった後の気持ちが全部出し切ったっていう感じじゃなくて、もうちょっといけるって。それを思ったのはタッチの差でオーストラリアの選手に負けたっていうのもあると思うんですけど、(コースが離れていて)全然見えないところだったので。でももうちょっと粘れば勝てたんじゃないかとか、もうちょっと頑張ればもう1つ順位上がったんじゃないかなとか、そういう欲が出ちゃったらキリがないんですけど、そういう部分とか、あとは、やっぱりメダル取った人と取ってない人で、全く違ったので、メダル取れたら取りたかったなーとか、悔しいなーっていうのはあるので。まあ初めてのオリンピックでメダルなんて期待してないですけど、やっぱり帰ってきて、メダル欲しかったなってっていうのはすごく思いましたね。
――そういう思いからロンドン五輪は目標として見えてきましたか
正直、今は考えてないですね。まあまだ4年後っていうのは考えてないですね。本当にこのオリンピックで自分の納得いく結果が出たら、この夏で辞めようって思ってたんですけど、でもその気持ちはなくなって、納得し切れない部分もあったし、逆に11秒を出せたことで、少しは世界と近づけた部分が見えてきたので、もう1年、来年のインカレが終わるまでもう1回頑張ってみて、そこでもう3年続けるか、そこで辞めるかっていうのは来年に決めたいなと。今はまだ答えを出しても、まだ早いと思うので。やっぱりこれから4年続けていくのだと、再来年には社会人になりますし、やっぱり学生と社会人で続けていくのは全然違うと思うので、学生は練習する場所があるけど、社会人は自分で求めていかなかったらだめなので、だからロンドンを目指すときには、しっかりと自分の意志でもう一度狙いたいっていう気持ちが100%ないと絶対に続かないと思うし、やるからにはしっかり狙いたいので、まだ今は結論は出してないです。
――ではリレー種目について。フリーリレー、個人2種目を終えて400メートルメドレーリレーに出場されましたが、疲労は大丈夫でしたか
いや、私リレー女なので(笑)そういうお祭り系は大好きなので、リレーは個人とは別で4人で戦いますし、1人で全部泳ぐわけじゃないので、全然緊張とかはしなかったですし、不安とか疲れとかは全くなかったです。1日空きましたし。
――1分7秒04は引き継ぎを考慮しても、好タイムでしたね
そうですね。でも(1分)6秒台を目指してやっていたので、引き継ぎがちょっと遅かったんですけど、(1分)7秒0っていう個人のタイムを見るとまあまあだったんじゃないかなと思います。
――日本代表としてリレーに2種目出れたことはやはり嬉しかったですか
そうですね。メドレーリレーに関しては、世界水泳で出場権を獲得した時に自分が出ていたので、オリンピックでは自分が泳ぎたいって思っていて、今回、派遣(標準記録)を切れずに1ブレに出て、それでリレーに選ばれたので、種田(恵=神大4)さんの場合には派遣を切って出てるのにリレーに出れなかったということで、絶対に情けないタイムで泳げないって思ってたので、メドレーリレーで泳げたっていうことはすごい嬉しいことですし、フリーリレーに関しても、まさか自分がオリンピックのリレーメンバーに入れるとは思ってもいなかったので、貴重な経験をさせていただいたんじゃないかなと思います。
――1ブレの結果などを考慮してメドレーリレーのメンバーに選ばれた形だったんですか
そうですね。
――では同じ日本チームでも1ブレでは種田選手とはライバルでしたか
そうですね。負けていたら出れていなかったので。リレーっていうのは国で4人しか選ばれなくて、みんなが出たいと思うので、やっぱりそこは競わなきゃいけないとこだと思うんですけど、出れたことに関しては幸せに思いますね。
――日本チームとしてのメドレーリレーでの目標は
やっぱりメダル取りたいねって言ってたんですけど、自分たちが予想した以上にレベルが高すぎて。でも4分切って日本記録だったので、まだこれからなんじゃないかなって思います。
――全体として、日本チームで感化されたとか影響を受けた選手はいますか
やっぱり北島さんの2冠っていうのも影響されましたし、松田(丈志=ミズノ)さんの驚異的なタイムにも驚かされましたし、結果で見るとその2人とかなんですけど、(中村)礼子(=東京SC)さんの2回連続でメダルを取ったっていうのもありますし、他の選手もタイム1秒1秒とか、いろんな行動1つ1つに、いろんなところで刺激は受けましたね。
――チーム全体としても、他の大会と比べて雰囲気は違いましたか
そうですね。しかも今回、すごいチームが盛り上がってた気がするので、自分としてはその方がやりやすいので、楽しかったかなと思います。
――選手村での生活はどうでしたか
JOC派遣の時は選手村を使うので、初めてではなくて、2、3回目だったんですけど、過ごしやすかったと思います。
――北京の空気は大丈夫でしたか
私は全然大丈夫でしたね。ただ、すごい薄暗い日と、めちゃめちゃ雨降った次の日はすんごい晴れたりとか、天気はいろいろでしたけど、あまり自分に影響はなかったですね。
――大会中、体調もずっと維持できましたか
はい。
――大会中にも「笑顔で突き進むのみです」とおっしゃっていましたが、笑顔というのはこれからも北川選手がモットーですか
そうですね。今回はたまたま結果がよかったから、ずっと笑顔でいれたと思うんですけど、やっぱり調子が悪くても、どこか自分のいいところを見つけて、それを信じてやっていかない限り、絶対どんどん落ちていくばっかだと思うんですよ。なので、調子悪い時でも良い時でも、どこか自分のいいところを見つけてやっていかなきゃいけないですね。
――笑顔を大切にしたいって思うようになったきっかけとかはあるんですか
泣いてばっかだったからじゃないですかね。きっかけっていうのはよく覚えてないですけど、笑ってる時の方が私らしい、笑った顔の方がいい、ってそれはもちろん誰でもそうだと思うんですけど、笑ってると自分もリラックスできますし、見てる方も泣いてる顔を見るより気分がいいじゃないですか。なので、どんなに辛くても、今回もテレビのみなさんには笑顔を向けようと思って、今回は挑んでましたね。
――他に大切にしている言葉や座右の銘はありますか
んー今までは克己でしたけど、自分にどんどん勝っていければいいなと思います。
――ご家族も北京に行かれたんですよね。選考会の時はかなりアドバイスを受けたという話をされていましたが、今回はいかがでしたか
いや、今回は試合中は何も。むしろ家族の想像を超えるレースを私がしてしまったみたいで(笑)、何も言えなくなってしまったみたいです。2個メの時は「よく11秒台出たねー」とは言われましたね。
――ではオリンピックを総括して、この大会を通して成長したとご自身で感じますか
そうですね。自分で言うのもあれですけど、今回、何回も何回もレースをこなす中で、自分の中で何かが変わっていくのを感じましたし、緊張しなくなったっていうのもあるんですけど、自分が思ってるようにレースに挑めるようになったので、終わった後はやっと終わったって思ったんですけど、すごく内容の濃い9日間だったんじゃないかなと思います。
――アテネとかではなく、今回の北京大会のタイミングでオリンピックに出れたということに関してはどう思われますか
そうですね。アテネに出てても全然勝負にならなかったと思うので、アテネの1年間をきっかけに北京を目指そうと思ったので、この4年間があったからこの結果が出たんじゃないかなと思います。
――では最後にインカレについて。オリンピックという最高峰の大会の直後にインカレですが、モチベーション維持はできていますか
いや、全然自分の中でモチベーションは落ちてないと思いますね。元々オリンピックとインカレは全く別物で、インカレはチーム対抗になってくるので、またオリンピックとは違った意気込みがありますし、みんなで戦わなきゃいけないし。きょう誰か先輩にも「オリンピック疲れないのー?」って言われたんですけど、私の中ではオリンピックとインカレは全く別物なので、何を引きずるっていうこともないですし、新たな気持ちでインカレには臨むつもりです。
――2個メに関してはベストタイムだけを見れば、ぶっちぎりで優勝できるのではないかとも思いますが
まあ周りがどんな風にくるかも全然わからないですし、全然余裕だよっていう心の余裕が試合に出てしまうとあれなので、私は全然余裕で勝てるなんて思ってないですし、やっぱり勝負するからには、1かき1かきは絶対に無駄にしたくないので、自分が絶対に勝つって気持ちはなくしちゃいけないと思いますけど、勝てるからっていう気持ちはなしでいこうと思います。
――ブレストに関しては種田選手や、田村(菜々香=東海大4)選手がライバルになりますか
正直、今の状態では勝てるとは思いませんけど、オリンピックでメドレーリレーに出たっていうプライドじゃないですけど…メドレーリレーって日本の1番が出るじゃないですか。でも現時点で私は(自己ベストは)3番なので、メドレーリレーに出たからには1番になりたいっていう気持ちはすっごく強いですね。
――そうすると7秒台は狙っていきたいところですか
そうですね。田村さんの場合にはインカレにすべてを懸けてくると思うので、お互い真っ向勝負をする中で、相手の胸を借りるつもりで、私も一生懸命泳ぎたいと思います。
――オリンピックのファイナリストという目で見られるプレッシャーはありますか
全くないです。傍から見ればファイナリストですけど、知ってる人が見れば私はまだ日本の3番目ですから。コールされる時もたぶん言われると思うんですけど、私の中では1番だとは思っていないので、挑戦者だと思ってるので。これはIM(個人メドレー)もそうなんですけど、その試合で誰が1番かは泳いでみないとわからないので、そういうプレッシャーはないですね。
――では最後にインカレ、今後について目標と抱負をお願いします
まず今はインカレのことしか考えていないので、インカレでもう一度ベスト更新できるようにっていうのと、ワセダのチーム全体が総合で上位に食い込めるように、ワセダのために、自分のために頑張るだけです。100の平泳ぎは初日なので、まあ私が泳ぐ前に他の部員も泳ぐと思うんですけど、私のそのレースでチームに勢いをつけられればいいなと思います。
(取材・編集 菅田早希、岡野宏美)
◆北川麻美(きたがわ・あさみ)
1987年10月3日生まれ。
スポーツ科学部医科学科3年。埼玉・春日部共栄高出身。
【北京オリンピック成績】
400メートルリレー 予選9位(予選敗退)
100メートル平泳ぎ 8位
200メートル個人メドレー 6位
400メートルメドレーリレー 6位
【before Olympic Games編】
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