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 北京五輪ボート代表選手 記者会見 6月25日 リーガロイヤルホテル東京 



 【特集】ボート日本代表 岩本亜希子×熊倉美咲

 本校漕艇部OGの岩本亜希子(平13教卒)、熊倉美咲(平18人卒)が、北京オリンピックの女子軽量級ダブルスカル代表に選出され、6月25日、リーガロイヤルホテル東京にて記者会見が開催された。在学中に、岩本は全日本選手権女子シングルスカル優勝、熊倉も全日本大学選手権シングルスカルで三連覇を果たすなど、大学時代にも輝かしい実績を刻んできた。なかでも岩本は、シドニー、アテネと2度のオリンピックを経験。実力豊富な2人が北京へ向けての抱負を語ってくれた。


取材後には2人でガッツポーズ! 岩本 先週末ポーランドでワールドカップが行われまして、そこではコンディションが非常に良かったのもあるのですが、過去最高のタイムを出すことができました。7分台を切り、6分台の数字を出せたのですが、これは日本の女子の中でも一応初めてだと聞いております。その前にギリシャで5週間の合宿があったのですが、そこでも手ごたえは感じております。過去2大会のシドニーとアテネでは、意気込んでいったものの結果がついてこず、非常に悔しい思いをして帰ってきました。北京ではようやく世界と肩を並べてレースができるようになりましたので、「出し切った、やり切れた」と思えるようなレースをして、いい結果というお土産を日本に持って帰って来られたらと思います。

熊倉 私にとっては今回が初めてのオリンピックの挑戦ということで、まだ本当に未知の世界なんですが、岩本先輩がもう過去2大会出場されているということで、その経験で得られた感覚などを、私にすごく伝えてくださっているので、オリンピックというのはやはり別格で厳しい世界だということを、練習を積み重ねるごとに感じています。技術的な面で、まだまだたくさん課題が残っているのが現状で、今までだとパワーで漕いできているという面があるのですが、でもそれだけでは世界のトップレベルで戦うっていうのは全然足りなくて、ここからは技術を上げていくことだと思っております。岩本さんもおっしゃるように、ポーランドの合宿では世界のトップクルーと肩を並べて練習するくらいのレベルは上がってきているんですが、まだ一歩及ばない感じです。その一歩というのが、本番では明暗を分けるところになってくると思うので、あと1カ月半、技術面を上げられるように一回一回集中して、北京では準決勝に残るという目標を達成できるように頑張ります。

――社会人になってからの練習時間の確保は

岩本 9時の出社前に朝トレーニングをし、15時に退社してから、またトレーニングをしています。なので、大体1日2回ですね。

熊倉 基本的には仕事に行く前の朝5時から7時までと、午後は定時に上がれれば、18時くらいからです。仕事は他の方々と一緒の要領でやっているので、当番制の早番とか遅番があって、時間のやりくりは大変になってきてしまいますが、基本的には朝と夕方の2度練習しています。

――岩本さんへ質問で「いい結果」を持って帰りたいとおっしゃっていましたが、具体的な目標は

岩本 先ほど熊倉さんも言ったんですが、決勝進出がやはり大きな目標です。決勝は6艇で争われるんですがそこに残れるようにまずは頑張りたいと思います。

岩本 ――オリンピックに出るにあたって、お2人の心の支えとか絆、また個々でこのオリンピックに出るにあたって支えてくれた人がいましたら教えてください。

岩本 練習中にここがいけないとか言葉をかけ合うことはあるのですが、レースになるとほとんど言葉はいらないかんじですね。ここでいこうというところを事前に打ち合わせていますので。主に熊倉さんがレース中に「最後」とか「ゴー」とか声をかけてくれるので、それ一つで「今はここを集中しよう」とか「ここでスパートをかけよう」っていうのが分かって、今はもう私たちの間では特に言葉とかはなく、とにかく自分のすべきことをするっていう感じです。個人的には、私はやはり応援してくださったみなさんと一番身近な家族が支えですね。10年前に私は、初めて世界選手権に出で、その時家族も見に来てくれたんですが、世界との差を見せ付けるような非常に恥ずかしいレースをしてしまって。それでも家族は「よく頑張った」と声をかけてくれました。だから今回は、10年経って自分はこれだけ成長したんだっていうところを見せられるようなレースをしたいです。

熊倉 正面を見ると(艇に乗っていて)いつも岩本さんがいるという状態なんですが、絶対的な信頼のある方が前にいるという感じなんで。岩本さんもおっしゃったとおり、「言葉」ではなく「信頼感」で。特にレース中とかは「ここが勝負どころだ」っていうところとかが伝わってきてわかるので、やっぱりそういうところでつながってるんだと思います。個人的な心の支えということですが、今までを振り返れば支えになってくれた方はほんとにきりがないくらいです。特に両親が本当に喜んでくれてるのはうれしいですし、大学の同期もすごく応援してくれていて、しょっちゅう連絡もくれるし、色んな人のところに走って書いてもらった色紙とかをプレゼントしてくれました。同期はやっぱりつらいことも楽しかったことも共に経験した仲間なので、いろんなことを分かってくれて、大きな支えになっています。

――メダルに向けての自信の程とそれを達成するための具体的なことは

岩本 先日のワールドカップでは、やはり10秒弱の差がありますので、冷静に分析をすれば、現時点ではメダル獲得は難しいと思います。しかしプラスの要因としまして、私たちはスタートが遅くて中盤まで差をつけられたままゴールするという状態ですが、そういったスプリントの部分での要素はこれからの短期間で十分伸びると思います。なので、まずはスタートの500メートルの回転、あとはラストスパートの部分で、熊倉選手が「ゴー」と声をかけるんですが、その最初の一本がまだ合ってないことが多いんで、その一本から艇をもう一段階早くすることができたらかなり戦えるのではないかと先日のワールドカップでは感じました。

熊倉 熊倉 岩本さんが今おっしゃられたとおり、スタートとラストスパートで離されてしまうことが多いんで、そこでレートを上げて回転させていきたいっていうところです。あとは、調子の波でいい時と悪いときの差というかコンディションに左右されてしまいがちなので、そういうところをもっと安定して強い力を出し続けて練習していけたらいいと思います。去年は、決勝に進む、Aファイナルに進むってゆうのは夢だったのですが、いざやってみたら「いけるんじゃないか」っていう手ごたえはあったので、今年は現実的な目標になりました。メダルもそんなに夢の夢じゃないと思って意識していけば大丈夫だと思います。

――岩本さんは、長野を離れてからしばたく経つと思いますが、初めてボートに触れたのも長野であり、やはり原点である場所ですか。また、今でもたまに長野に帰ることはありますか。

岩本 初めてボートに乗ったのは長野県の諏訪湖ですが、やはり原点はそこにあると思っています。大体冬は埼玉県の戸田で練習をしているんですが、体力的にも精神的にも疲労がたまってきますと、日帰りで、特急のあずさに乗って諏訪に帰って、夜中にまた東京に戻ってくるということもあります。移動だけで4時間もかかってしまうので、オフのほとんどを使ってしまうのですが、諏訪に帰ると自分がリセットできるといいますか。移動で疲れてしまったとしても、やはり気持ちを支えている部分がないと次の練習に向かえないので、そういう意味でも諏訪は原点であり、心のリフレッシュができる場所です。

――岩本選手は、諏訪に帰ったときのわずかな時間をどのように過ごしているのでしょうか。また、岩本選手、熊倉選手ともに、相手のことを何と呼んでいますか。それからお互いに尊敬しているところはどんなところですか。

岩本 私はうなぎが大好きなので、諏訪に帰るとまずうなぎかお蕎麦を食べて、あとは温泉に入ります。それから母が畑をやっているので、母が育てた野菜を食べたりして、お昼、夕飯の2食を済ませてから帰ります。熊倉さんのことは「くま」って呼んでいます。彼女の尊敬できる部分は、すごくタフなところですね。体調が一番いいときの熊倉選手の(陸上のトレーニングでの)エルゴメーターはかなわないです。私は陸上のトレーニングのときはかなり気合を入れて、熊倉選手の隣でやっています。そういう陸トレでも私が100パーセントの力を出さなければ、船に乗ったときに相手に不信感を与えてしまうと思うんで、特に陸トレのときには熊倉選手を意識してやっています。あと、熊倉選手は非常にマイペースと言いますか、いい意味で(笑)。自分でペースを崩してしまうことがあったとしても、周りの刺激でペースを乱すっていうことがないので、そういう部分ではすごく信頼をおいています。それから本番に非常に強いということです。練習で苦しんでるかと思っていても、実際のレースになって一緒に船を漕いでいますと、トレーニングよりも非常に良かったりすることが多いので。普段少し体調を崩していることがあったとしても、レースでは大丈夫というふうにそこは信頼しています。

熊倉 私は岩本さんのことは「岩本さん」と呼んでいます。私は大学に入るまでシングルスカルを漕いだことがなくて。高校時代はずっとスイープだけだったんで、初めて大学でスカルを漕ぎました。そのとき、当時の監督さんが、大学院生だった岩本さんに「一緒に乗って漕いでくれ」ということで、突然岩本さんにお願いをして乗ってもらったことがあるんですが、その時、本当にものすごい水中の強さというか艇の進め方に感動しました。これが世界のレベルなんだなって感じて、それ以来、目標であり尊敬する先輩です。岩本さんとはずっと同じクルーで練習するようになってから、ただすごいっていうだけじゃなくて、すごいのにさらに本当に努力家で自分に厳しくて、どんなにつらくてもコツコツとやっているその姿から本当に刺激を受けています。自分よりすごい人がこんなにやっているんだから、自分ももっとやらなきゃだめだって思わせてもらえるので、そういう部分も本当に尊敬しています。

(取材・編集 峰村晴香、小早川啓介) 


◆岩本亜希子(いわもと・あきこ)
 1978年(昭53)9月25日生まれ。
平成13年早稲田大学教育学部を卒業後、日本体育大学大学院修了。現在アイリスオーヤマに所属。長野県出身。

◆熊倉美咲(くまくら・みさき)
 1983年(昭58)3月29日生まれ。
平成18年早稲田大学人間科学部卒業。現在、戸田中央総合病院に所属。埼玉県出身。

【北京オリンピック・競技日程】
 軽量級ダブルスカル 8月9〜17日




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