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 第70回早慶定期戦 11月12日 早大空手道場



 伝統の早慶戦、雪辱果たせず…


優秀選手賞を受賞した森井
 今大会で70回目となる早慶定期戦。多くの試合で行われる5人制とは異なり、早慶戦は13人制組手で勝負に挑む。両校の応援部によるエール交換の後、熱き戦いが早大空手道場で繰り広げられた。昨季は5−8で慶大に敗北した早大。雪辱を果たしたかった早大だが、今季も健闘むなしく6−7で惜敗に終わった。

 今大会の早慶戦で大学最後の試合となった、尾山静(スポ4=埼玉栄)と森井美香(教4=東京・帝京)。早大女子組手は、先月の全日本学生選手権(全日本)出場がかかった関東大学学生選手権で慶大に敗れ、全日本の切符を惜しくも逃す。今大会は尾山と森井にとって慶大にリベンジを果たす試合でもあった。そんな特別な思いを抱き、挑んだ戦いは素晴らしいものだった。五鋒尾山は1−1で同点となった後、激しい攻防戦を展開する。「後ろに下がらないことだけを考えていた」(尾山)と語るように、攻めの姿勢を維持し続ける。尾山は高校生の時に空手を辞めようかと思った時期があった。しかし、続けようと決心したきっかけが早慶戦だった。尾山の早慶戦に対する思い入れは誰にも負けないほど強いのである。試合が刻々と終わりに近づく中、冷静だったのは尾山であった。尾山の渾身の拳が相手の隙に入り、2−1で見事勝利。尾山の強い思いが叶った瞬間であった。そして、十鋒森井は「意地でも勝つ」(森井)という気持ちで試合に臨んだ。有効打で先制した森井であったが、途中3−2とリードを許してしまい、慶大の歓声が沸きあがる。しかし、「心が折れそうになった。けど、絶対に勝たなきゃならない」(森井)と自分を奮い立たせ、相手に全ての力を出し切るかのように有効技の上段突きを連続で決め、4−3で森井に軍配が上がった。今大会の優秀選手賞にも輝いた森井は、満足した表情で勝利を噛み締めていた。両者とも空手道を極め、毎日努力し精進し続けたからこそ、最後に有終の美を飾ることができた。辛いときもあった。けれど、それ以上に空手が好きで、必死に練習をし続けた。両者の勇姿はエールとなって、後輩たちの胸にしっかりと伝わっていることだろう。

大将をつとめた増井主将
 一方、全日本前の最後の試合となる男子はチームとしては良い流れができていた。プレッシャーのかかる先鋒を任されたのは、丸山政宏(社2=東京・世田谷学園)。丸山は試合が始まるや否や次々と有効技の上段突きを決め、相手を圧倒する。「自分のやれることは勝つこと」(丸山)と6−1で先制し、好スタートで次鋒谷崎遼介(政経2=東福岡)に繋いだ。続く谷崎は気持ちだけが焦り、思うような動きができない。有効技を決めるも、「持ち味を出し切れなかった」(谷崎)とまさかの反則負けを喫し2−6で終えた。1年生ながら活躍を見せているのが、六鋒を任された、薬師寺拓哉(商1=東福岡)。得意の素早い動きで相手に攻めこむ。有効打で確実にポイントを取り続け、6−1で圧勝。試合後に「自分らしく戦いたい」(薬師寺)と全日本での飛躍に意欲を見せた。続く中堅には、圧倒的な強さを誇る、羽柴紘一(スポ3=東京・世田谷学園)。「狙っていた倒し技ができて良かった」(羽柴)と語るように、序盤に切れのある見事な中段蹴りを放ち、一気に3ポイントを獲得。その後、相手に少しの隙も入れさせず、有効技の上段突きを決める。堂々とした空手を見せ、4−0で快勝した。羽柴は試合中笑顔を見せていた。「試合を楽しんでやるほうなので」(羽柴)。戦うことを楽しむことが、どんな時にも動じない羽柴の強さになっているのが伺えた。羽柴と同じように、十一鋒小笠圭介(スポ3=東京・日大鶴ヶ丘)は団体戦には欠かせない存在だ。小笠は我々の期待を裏切らなかった。開始早々から有効技が決まり、果敢にポイントを取っていく。持ち味のスピードある多様な突きで相手を翻弄(ほんろう)。あっという間に、6−1で勝利を収めた。「みんなで盛り上げていくような練習がしたい」(小笠)。小笠同様、他の部員も全日本に向けて気合十分だ。今大会、一番の盛り上がりを見せたのは、6−6で早大と慶大が同点で迎えた、大将戦だ。この一戦で勝負が決まるとあって、周りの応援の歓声も一段と熱を上げる。大将を務めたのは増井裕太(先理4=新潟)。先制を相手に取られるものの、「気持ちで負けてはいけないと思った」(増井)と、前へ前へと粘り強く攻めていくが、次々と相手にポイントを許してしまう。それでも諦めずに攻め、技ありで2ポイント取るも一歩及ばず4−5で試合終了。慶大の喜びの声が道場に鳴り響いた。

 惜しくも負けてしまった早大空手部。今年で記念すべき80周年を迎えた節目であったこともあり、勝利したかった気持ちはひとしおである。しかし、目指すは今月の20日に控えた全日本の舞台で一戦一戦勝利を掴んで行くことだ。全日本に出場できない女子の悔しい思いも、男子の熱き戦いで晴らしてくれることだろう。全日本への調整をはかった試合とも言える、今回の早慶戦。課題点を見つめ直し、早大空手部の不屈の精神で「勝利」の拳をあげてほしい。

(記事 河合久美子、カメラ 大道瞳) 




◆結果
●早大6−7慶大


◆コメント
増井裕太主将(先理4=新潟)
――主将としての試合でした
伝統ある早慶戦の中で、ことしは80周年ということもあって、勝ちたかったです。 競っていいところまでいったのですが、負けてしまいました。来年も3年生以下いい選手がたくさんいるので、来年こそ早慶戦で勝ってほしいと思います。
――大将戦になりました
気持ちで負けてはいけないと思いました。前で前で勝負しようと心がけて戦いました。

羽柴紘一(スポ3=東京・世田谷学園)
――きょうの試合を振り返って
早慶戦ということで慶大も気合が入ってたのがわかったのですが、こちらも普段通り楽に行こうと思っていました。ですが、やはり慶大側の雰囲気にのまれてしまってました。自分はいつも通り楽にできたと思います。
――けがをされていますが
テーピングで巻いているので大丈夫です。来週に全日本があるので一応無理はしないように試合に臨みました。
――笑顔で試合されていました
負ける気はしなかったです。試合を楽しんでやるほうなので。
――序盤から攻めていましたが
最初から倒し技を狙っていたので、それができたのはよかったです。
――全日本まであと一週間ですが課題、調整などは
メンバーの選手はほとんど勝てていたのであとは個々に修正してチーム力をあげていきたいです。この早慶戦前にたくさん試合を行ったのできょう審判団の方も言われてましたが、基本的なことがまだできていないのでそこも修正しつつ、試合の練習も取り入れていきたいです。最後の試合になるのであと一週間頑張りたいと思います。

小笠圭介(スポ3=東京・日大鶴ヶ丘)
――きょうのご自身の試合を振り返って
最初ぐだぐだになってしまったんですけど、勝てて良かったです。
――早慶戦の位置づけは
来週の全日本などの方が個人的には大切ですけど、試合なので負けたくないですね。全日本の組み合わせがもう出たので、大会までの残り1週間頑張っていきたいと思います。
――ここからどのような練習・調整をされるのですか
3日間くらいはきつい練習になると思うんですけど、できるだけ自分を追い込んで、みんなで盛り上げていくような練習ができればいいなと思います。
――全日本の抱負をお願いします
頑張ります!

丸山政宏(社2=東京・世田谷学園)
――伝統ある早慶定期戦を振り返って
僕が入学してから一回も勝ったことがないので、すごく悔しいです。
――13人組手に関してはいかがでしたか
普段5人なので、それに比べると総力戦でしたね。3人勝っても勝負は決まらないということで、楽しい部分はあったんですけど、みんなもっと頑張らなければなと思わせる試合でした。
――来週のインカレは先鋒で臨まれますか
まだわからないです。
――先鋒はプレッシャーもだいぶあると思いますが、どうですか
自分のやれることは勝つことなので、負けられない戦いがそこにはありますね。ただ頑張るだけです。
――ご自身の調子はどうですか
絶好調なので自信はあります。
――インカレの目標は
空手家なので日本一と言いたいですけど、今の実力でいうとベスト8が目標です。

谷崎遼介(政経2=東福岡)
――今日の試合を振り返って
結果的に反則負けということで、気持ちの中では結構押してたんですけど負けは負けなので、全日本に繋がるような試合がしたかったので少し残念です。
――持ち味を出し切れなかった
そうですね。反則負けというのは、練習が足りないかなという感じがします。
――早慶戦というのは特別な雰囲気なのでしょうか
そうですね。一種独特ですね。
――早慶戦に思い入れは
いや、まだそういうのは感じないです。でも去年出させていただいて、0ー6で負けてしまったので、今年こそは勝ちたいかなと思いました。
――全日本に向けてどのような調整を
技を出すときに無駄な動きがあったり、力が入ってしまったりするので、そういったところをなくせるよう練習をしています。
――全日本へ向けて意気込みをお願いします
大学に入って初めての全国の舞台なので、緊張に負けないように頑張りたいと思います。

森井美香(教4=東京・帝京)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
4年でこれが最後ということで、意地でも勝とうと思っていたので本当に良かったです。
――後半巻き返した時の気持ちは
最初に点を取ってくれなくて、心が折れそうになったんですけど、絶対に勝たなきゃならないと思って、そこで取り返しました。
――早慶戦の雰囲気は特別ですか
すごい特別ですね。応援の盛り上がりが全然違うので、ここで負けられないと思って盛り上がりを高めようと思いました。
――満足のいく試合ができましたか
はい。4年最後の試合ということで満足のいく試合ができたと思います。
――4年間振り返っていかがですか
空手は4年間振り返ると辛い部分もあったんですけど、最後は本当に良い日で終われたので、楽しかったです。
――後輩へメッセージをお願いします
後輩達も同じように頑張ってくれると思うので、エールを送りたいと思います。

尾山静(スポ4=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返って
先月の全日本予選でわたしたちは慶應大学に負けて全日本への切符を逃したので、1勝を大事にしようと思っていました。相手が(攻めて)くるというのは分かっていたので、前も負けていましたし流れを変える試合ができればいいなと思って、後ろに下がらないことだけを考えていました。
――早慶戦が最後の試合となりましたが
高校生の時に空手をもう辞めようと思っていたんですけど、続けようと決心したきっかけが早慶戦で、それをきっかけにワセダへの入学を決めたんです。やはり早慶戦は自分の中でも1番心にある試合なので、それが最後の試合になったというのは良かったと思います。








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