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2004年度卒業記念特集
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卒業記念特集(6) 杉山一介
チームを支えた最高のキャプテン
「いいチームにいい指導者。つらさも幸せだった」
4年間を振り返ってみてどうだったか?という問いに駅伝主将、杉山一介(人4)が答えた言葉だ。入学早々の5月、関東インカレ1500メートルで7位入賞。順調なスタートを切ったが、夏以降のケガにより箱根のメンバー入りはならなかった。同期の篠浦辰徳(人4)が最終エントリーに残り、同じく同期の空山隆児(人4)に至っては7区区間賞。チームの総合3位の喜びよりも、走れない悔しさがつのった。
2年目の春は5000メートル、10000メートルで共に自己ベストを更新し、関東インカレでも両種目にエントリーされた。だが試合を前にしておそった頚骨の疲労骨折。ケガをおして10000メートルには出場したものの痛みで全く走れず、5000メートルは出場を断念。その後、「痛みに負けているようじゃだめだ」という思いが皮肉にもケガを長引かせた。初出場となった念願の箱根では3区に起用されるも11月に起きた肉離れが響き、結果は区間18位。「先輩、4年生に申し訳なかった。継続した練習が大切だと改めて実感した」。
3年目は上級生としてチームを引っ張っていくことを念頭に置いた。ケガの回復につれ実力を発揮し、2月の青梅マラソンでは2位、日本インカレではハーフマラソンで7位入賞を果たした。春先にフォームを変えたことで大きなケガもなくなり、10月の箱根予選会では個人3位の見事な走りでチームを引っ張った。しかし12月、箱根を目前にした集中練習で急に原因不明の足の脱力感にみまわれる。抜群の安定感を見込まれ1区の大役を務めた箱根当日は、5キロ手前から足に力が入らなくなった。区間15位という結果に、期待に応えられなかった自分を責めた。
そして迎えた最後の年。それは杉山にとって陸上を初めて以来最もつらい一年となった。足が動かず、今まで楽につけていた練習にまったくついていけない。「きつくてもそれを表に出すわけにもいかない、きついときこそ周りをみていかなければ」。キャプテンでありながら走りでチームを引っ張ることのできない歯がゆさは、杉山自身が一番強く感じていた。チームのためにできることは何か、自身に問い続け、悩んだ。そんななか突き付けられた全日本大学駅伝予選会での惨敗というあまりにも厳しい現実。
失意のキャプテンは本当の意味でチームをひとつにしようと決意した。ミーティングでは学年関係なく話し合い、朝練習はフリーのジョグから集団走に切り替えた。チームの雰囲気は確実に変わった。杉山の試みは結果に現れ、箱根予選会は見事なトップ通過。自身はケガのため欠場したが、本戦には調整を間に合わせエントリー。目標は優勝、3位以内は射程距離に入ったと思われた。
しかし――。本戦を数日後に控えたポイント練習で左足に走った激痛、もはやジョグさえもできない状態だった。「お前しかいないから」監督の言葉が胸に刺さる。悔いは残したくなかった。痛み止めを飲んでの6区出場。走るだけでも限界を超えている体でありながら、ラスト1キロで大東大を抜いて順位を上げたのは、チームメートを思う気持ちからにほかならない。結果は区間16位。翌日の取材で足を引きずる痛々しい姿が、全てを出し切ったことを物語っていた。
入学以来ケガに苦しみ続け、最後は一年間もの長きにわたって治療生活を余儀なくされた杉山。それでも一度たりともあきらめることはなかった。キャプテンとして、一人の選手として、彼が早大に残したものは大きい。自らを「みんなに支えてもらっているキャプテン」と形容するように、彼の周りにはいつも自然と人が集まる。「チームのためなら何でもする」という熱い気持ちと、その篤厚な人柄がチームメイトはもちろん、多くのファンの心を惹きつけた。
杉山は卒業後、スズキ自動車に就職して競技を続ける。今後は国内にとどまらず、世界という大舞台でもその勇姿を見られるはずだ。長く苦しい時間を戦い抜き、それさえも幸せだったと微笑む最高のキャプテン。陸上人生の新たなスタートを切った杉山一介が、これからも数え切れない程の人々を魅了し続けてくれることを私はいま心から願う。
(萩原ちひろ)
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