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  卒業記念特集? 比嘉寿光 

 未完の大器、花開く時を信じて

  比嘉の打球が高くそして、遠くまで伸びていく――。そんな光景を秋は最後まで見ることができなかった。主将として、早大野球部を引っ 張ってきた比嘉寿光(社)。そのキャプテンシーの素晴らしさが語られることは多い。だが、4番・比嘉の魅力が語られることはあまりない。 卒業を前に、比嘉の打者としての魅力に迫りたい。

 2連覇を成し遂げた一昨年秋の祝勝会での比嘉のコメントが忘れられない。4番として、結果を出せないながらも使ってくれた監督や4年生 への感謝、そしてそれを糧に来年は必ず結果を出すというものだった。歓喜に沸く選手たち。その中で比嘉の目には涙が見えた。

 冬が明け、春を迎えると、主将・4番として長い1年が幕を上げた。春は、打率・380と好調を維持。中でも圧巻だったのは、天王山と なった明大戦だ。1回戦、第一打席。比嘉の打球は大きな放物線を描き、レフトスタンドへ。第1号本塁打はチームに勢いを与え、早大は圧 勝。そして3回戦、第4打席。暗雲振り払う、比嘉の思いこもった一撃は本塁打となり、勝負を決めた。3連覇のカギは比嘉の2本の本塁打に あったと言っても過言ではないだろう。

 夏が過ぎ、早大至上初の4連覇を目指す秋が訪れる。だが、チームの勝ち星の数に反比例するかのように、積み上げられる三振の数。比嘉の 調子は上がらない。だが、比嘉の三振は、自分のフォームで振り抜いた三振だ。自分の打撃スタイルを信じて疑わない。だからこそ、ここ一番 の勝負所で力が出せるのだ。そして、秋も天王山と言われた明大戦。2回戦で、比嘉は4番としての強さを見せつけた。第1打席、センター前 ヒットから出塁、自らも生還し先制。第2打席、3ベースヒットでランナー2人を帰し、比嘉も8点目のベースを踏んだ。その後も、第3打席 の三振以外は安打と安定、なおかつ力強い打撃で比嘉はチームを引っ張る。この日チームは優勝に大手を掛けた。

 「未完の大器」いつからそう呼ばれているのか、果たしてその言葉が適切かどうかもわからない。だが、「悔しい打席もあった」(比嘉)、 4番という重責に苦しんだこともあった。それを感じた野村徹監督(昭36政経卒)は、比嘉を呼んで、「4番を外してやろうか」と聞いたこ とがあるという。だが、その時比嘉は答えた。「外さないで下さい。4番で頑張る。逃げないで戦いたい」と。その強く、熱い思いこそが比嘉の原 動力になっていたに違いない。比嘉は最後の一年、チームの勝利に貢献する不動の4番であった。しかし、まだまだ、比嘉が「未完の大器」と 言われる所以たる、本来の力は眠っている気がしてならない。

 戦いの舞台はプロへと変わった。これまでは神宮球場や東伏見に行けば、その活躍を目のあたりにできた。しかし、注目を浴びる鳥谷敬 (人)とは違って、今の比嘉の戦いぶりを見ることは難しい。だが、いつか比嘉が本物の大器となる日がくるだろう。その瞬間を見逃さないよ うに、信じて、私は、比嘉を応援し続けたい。
(鈴木昌恵) 
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