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早慶レガッタ号
譲れない3連覇へと疾漕
春の風物詩、早慶レガッタ。両大学のすぐりし精鋭が繰り広げる一騎打ちで、今年も早慶戦が幕を開ける。昨年2年連続の勝利を挙げた早大は、その後全日本大学選手権3位、全日本新人選手権優勝と好成績を収めた。伝統の一戦はその年の弾みをつける上でも、負けられない戦いになる。昨年の勢いそのままに今年も慶大という名の波を乗り越えられるか。雌雄を決するときが来た!
「若さと勢い」。今年の対校エイトクルーについて、國宗洋(政経3)はこう述べた。4年生がわずか2人の若いメンバー構成は、時に感情的になってしまうなど、精神的にむらがある不安も残るが、新人戦時のクルーが6人入り実力は充実している。
「常に周りに気を配り、冷静に状況判断を下してくれる」。個性の強いクルーを支える福田哲也主将(スポ4)を清水大輔(スポ2)はこう評する。福田新体制の下、チームで新たに取り組んだことは、コーチ主導の練習から学生主導の練習への変化。試合中は監督やコーチの指示を仰ぐことはできないため、選手たちの精神力と判断力は勝敗に直結するほど重要な要素となる。自分たちでメニューを考え、行動に移すことは精神的な成長につながると部全体で決定した。
しかし実際に練習すると人数の多い部員間の意思統一や、学年ごとの意見の相違といった点など、さまざまな問題が生じる。「あれもこれも変えようとし過ぎた」と井出雅敏(スポ4)が振り返るように、試行錯誤が続いたつらい時期も、「自分たちで考える力がついて良い経験だった」と片町有佑(スポ3)は答えた。一冬を越え、選手たちは着実に成長を遂げる。
今年の対校エイトの秘密兵器は、アメリカ製の黒艇『SUMIDA』だ。隅田川は波のうねりが大きく、春風も吹きつける。さらに普段の大会では体験できない、三千メートルの長い距離に蛇行したコース。昨年のレースでは、早大が腹切り(オールが水中深くに入り、抜けなくなってしまうこと)を起こすアクシデントも発生した。そんな難コース対策のためにOBが寄贈してくれたのが、今回の艇だ。普段使う艇と並べて3、4キロ重いため、打ちつける波に強い構造になっている。漕手にとっては感覚の違いに戸惑う部分があるものの、アメリカから来た『黒船』が、隅田川の魔物にどのような働きを見せるかは大きなポイントになるだろう。
練習の厳しさから「毎日のように辞めたいと思う」と神田祐三(スポ3)は苦笑交じりに告白した。それでも選手たちはオールを手に取り、背中で風を切り続ける。わずか10分ほどの勝負。その一瞬に大学生活の大半を費やす選手がいて、はかなくも美しいドラマに魅了される観客がいる。そんな対校戦を昨年経験した井出は、早慶レガッタを「勝ち負けを超えたところを問われる場」と表現した。勝ち負けを超えた先に見えるもの――。答えはきっと、隅田川が教えてくれる。
(松浦哲也)
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