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 早慶ラグビー号 



 強く!激しく!! 五郎丸

一面  ピッチ上で異彩を放つ圧倒的存在。ルーキー時から不動のFBとして君臨してきた五郎丸歩(スポ4)が、ついに最後のシーズンを迎えた。「4年生としてという意識が高い」今季は、チームのまとめ役として常に周囲を見渡し、全体の底上げに腐心。ここまで培った経験を、練習や試合を通じて若いBK陣へ余すことなく伝えた。手塩にかけたBK陣を率いて臨む早慶戦。自らのこだわりとして掲げる誰よりも『激』しいプレーで、勝利へ向かって突き進む。

 「これが悔しさなのか」。昨季の大学選手権決勝敗退後、五郎丸から絞り出された言葉だった。数多くのスタープレーヤーをそろえながら、「個々の能力に頼りすぎて、チームとして甘かった」昨季。4年生となった今季は、同じ轍(てつ)を踏まないため、また、「4年間出してもらった恩返し」のため、何よりも心掛けたのは「勝つためのチームづくり」だった。

 昨季から、今村雄太(平19スポ卒=現神戸製鋼)や曽我部佳憲(平19教卒=現サントリー)らの大駒が抜け、大幅に若返ったBK陣。春の段階で最も重きを置いたのは、後輩へ自らの経験を伝えることだった。「今年勝つことはもちろん、今いる下級生が4年になったときに勝てるように」と、先々のことすらも見つめた上での決断。チーム作りやゲームメイクのノウハウ、戦術など、1年時から蓄積した経験すべてを叩き込んだ。

 また、チーム全体にも目を配り、特にAチームとBチームの間にある大きな実力差を問題視した。Bチームで惨敗し、Aチームも勝利を得ながら、不甲斐ない内容に終わった春の明大戦。試合後、Bチーム以下の4年生に「危機感が欠けている。もっと下からの突き上げがほしい」と苦言を呈し、奮起を促した。

 そして夏合宿、対抗戦を経てチームは見違えるような変化を遂げた。「かなり頼もしくなった」というBK陣は、どうしても陥りがちだった『五郎丸頼み』のラグビーから脱却しつつある。練習の前後に積み重ねた小さなミーティングが実を結び、「ここに来てすごく伸びてきた」Bチーム。その存在は、「練習をしていると効果が全然違う」とAチームに好影響を与え、進化を後押ししている。

 「春の段階では後輩を伸ばすことに意識が行き過ぎた。自分が伸びないと下もついてこない」と感じ始めた夏合宿時からは、自らのパフォーマンスの向上にも力を注いだ。常々課題として挙げられるディフェンスは「ポジショニングはすごく良くなってきた」と手応えを得ている。また、正確かつ抜群の飛距離を誇るキックや、的確なゲームコントロール、最後方からの力強い突破は、もちろん今季も健在。五郎丸歩という選手としての軸は決してぶれることなく、さらなる成長の歩みは続いている。

 慶大に対しては、「BKのスキルは高い」と認めつつも「ラグビーはBKが強くても、FWが強くないと試合にならない」とも言い放つ。「もう二度とワセダとしたくないっていうくらい叩きのめす」。挑発的な物言いとは裏腹に、敗北の味を知る男の姿からは、一分のスキもうかがうことはできない。

(富永俊矢) 








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