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 早慶レガッタ号 



 早大エイト 猛進

一面  隅田川の決戦、早慶レガッタ。オールを手に取り水面(みなも)を切り進むサムライたちの戦いに、今年も新しいドラマが待っている。毎年、数ある早慶戦のなかで先陣を切って行われるため、両大学の誇りを懸けた真っ向勝負が展開される。昨年はきん差で勝利をものにした早大だが、大学創立125周年を迎える今大会も絶対に負けられない。宿敵慶應との今春最初の熱き戦い。いざ、尋常に勝負!

 気温10度に満たない雨の中、白い息を吐きながらひたすらに漕ぎ続けていた。9人の乗るボートは力強く、水中を切り開くようにして進む。それはまるで一つの生き物のように。厳しい冬に気の遠くなるような回数の反復動作を、部員一人一人が春を待つ桜のように積み重ねていった。すべてはあの舞台のために。

 「圧勝で行きたい」と高橋忠亮主将(スポ4)は力強く語った。190センチ87キロの恵まれた体格を生かし、チームを引っ張る大黒柱だ。クルーからは「人間としての器が大きい」(小林真=政経3)と絶大な信頼を得ている。

 4年生は高橋忠と日本代表経験を持つ諏訪倉一(スポ4)の2人だけだが、「8人でのレースは難しい。(人数が)多ければ多いほど難しい。引っ張ることはできないのでバックアップする」(諏訪)と下級生のサポート役に徹する姿勢を見せる。

 対校エイト経験者の少ないチームの鍵を握るのは、高木慎也(教3)。昨年の早慶レガッタ対校エイトに2年生で唯一出場した実力を持つ。前大会は4年生に助けられたが、今回は「自分たちが変えていかなければいけない」と語り、技術面だけではなく精神面でも大きな成長が見られた。2年生3人、3年生4人となったエイトの若返りについては「不安もあるが、勢いでいけるという面もある。勢いならワセダに分がある」と述べ「(チームに)可能性を感じる。まとめていきたい」と自らチームのまとめ役を買って出た。

 今年は練習時間を大きく変えた。毎日4時半に行っていた朝練をやめ、14時にメインメニューを組んだことでコンディションが整い、ベストなプレーができるようになった。エルゴメーターを使った練習でも、自己ベストが続々と出るなど効果は着実に表れている。

 早大、慶大ともに練習場は戸田ボートコースだが練習時間が異なるため、試合当日まで相手の情報はわからないという。宿舎も隣接しているだけに、近くて遠い存在の慶大クルーを「まとまりがあって不気味」(國宗洋=政経2)、「4年間で一番強いと思う」(高橋忠)と警戒する早大エイト。3千メートルの長く蛇行したコース、気まぐれな波風など、立ちはだかるカベは大きい。それでもひたむきに、チームは進む。過去に早慶レガッタで対校エイトを経験した諏訪は、その理由を次のように語る。「プレッシャーは大きいが、こんなに面白いものはない。苦しいときに勝った喜びは忘れられない」。自分を信じて、チームを信じて。遅咲きの桜の花が今、開かれる。すべては隅田川で――。

(松浦哲也) 






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