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ワセダで見せる世界規格 徳永

別格。観客がどよめきたつ。そのなかを圧倒的なスピードで駆け上がり、クロスを上げる。相手DFの寄せをものともしない。守れば強じんなフィジカルを生かし敵のドリブルを止める。1対1で絶大な強さを発揮する。今季幾度も見せられた光景だ。徳永悠平(人4)。今年のア式蹴球部を束ねる男はピッチ上の誰よりも存在感を放っていた。好調のチームを率いて今日、伝統の早慶戦に挑む。
名門、長崎・国見高から輝かしい実績を引っ提げて入学し、当初から実力の高さを見せた。翌年には初のJFA・特別強化指定選手に認定され、Jリーグの舞台で戦った。さらに、日本だけにとどまらず世界でも数多くプレーをしている。ベスト8を果たしたUAEワールドユース。この大会では全試合フル出場し、チームの躍進に貢献した。その対人プレーの強さを買われ昨年のアテネ五輪代表にも選出。世界の強豪を相手に、Jリーグの選手とともにピッチを駆けた。「試合だけでなく合宿もあっていろいろ経験ができた。選手として伸びた」と五輪代表として過ごした時期を振り返る。
一方で、環境や選手のレベルでは劣る大学。「1、2年の時はやる気がなかった。サッカー部を辞めることばかり考えていた」と当時の心境を打ち明ける。代表の合宿やJリーグ出場により早大での試合出場は少なかった。そう考えてしまうのも当然かもしれない。しかし、今季は主将に立候補し、大学のサッカーに専念する道を選んだ。何が徳永を変えたのだろうか。ここでも「人として成長できた」という五輪代表での経験が生きている。世界で戦ううちに大学でも同様にプレーしなければと思うようになった。再び早大に戻ると、「同じ4年が頑張っているのを見て、これでは駄目だ」と意識が変わった。
今年から所属する関東大学リーグ2部は所属チームが増えた。それに伴い試合数は前期だけで11に。ほぼ毎週戦う厳しい日程となった。時には10日間で3試合という過密スケジュールをこなすことさえあった。そのなかで早大は最多得点、最少失点で首位を独走。そこには全試合先発出場し、攻守においてチームを引っ張る徳永の姿があった。まとめ役として「コミュニケーションを取りながら、良い雰囲気で試合していけるようにしている」。これまでチームに多く関われなかったからこそ、信頼関係を大切にしている。決して、声を張り上げ仲間をグイグイと引っ張るタイプではない。それでもまとまりがあるのはプレーで語ることができるからだ。
そして今日、迎えるは自身にとって最後となる早慶戦。リーグ戦でまさかの敗北を喫し、苦汁をなめさせられた相手だ。2度負けるわけにはいかない。「キャプテンとして出るので、チームのことを考えながら勝ちたい」と意気込みを語る。本気になった瞳に今映っているのは、プロでも世界でもなくワセダ。この男がピッチにいる限り、今年のア式蹴球部は強い。
(都丸幸彦)

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