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早大進撃
初の早慶戦、大谷の右腕がうなりを上げる! 101年の歴史を誇る華の早慶戦、第1戦の先発マウンドに登るのは、今季急成長を遂げた大谷智久(スポ2)だ。一昨年、高校の頂点を極めた男が、ノビのある直球とキレのあるスライダーを武器に、伝統の一戦に新たな歴史を刻む。不振を極めた打線も、1番を打つ主将・田中浩康(社4)を中心に調子は上向き。早慶戦10連勝と過去3年間圧倒的な強さを見せている早大。若き本格的右腕と頼れる切り込み隊長が、勝利を呼び込む!
延長12回、158球を投げ抜いたその先に、求め続けたものが待っていた。今季、先発として2試合目となった立大1回戦、大谷はマウンド上で躍動した。直球は12回に143?を計時。最後まで特有のノビがさえわたった。
選抜を制し、高校ナンバーワン投手として入学した昨年は、苦悩の日々が続いた。自信のあった制球力が影を潜める。入部直後の戸惑いに我を忘れ、体格差のある相手打者に圧倒された。春秋を通じ登板はわずか5試合、唯一先発した春の明大2回戦でも明大の声援にのまれ、打ち込まれた。
転機は2月。沖縄キャンプ直前、右肩に故障を負った。投げられない……。寮に残り、一人走り続けた。目指したのは下半身強化。先発で投げる、その思いが大谷の足を動かした。右肩痛が癒(い)えると、投球フォームの改良に取り組んだ。アピールの場、オープン戦も試行錯誤の場と割り切った。
リーグ戦第1週の東大戦は3戦すべてリリーフで無失点。結果を残した。続く法大戦、大谷は第1戦の先発マウンドにいた。吉報に「ビビった」と言う大谷だったが、見事1失点で完投勝利。“何か”が見えた。翌週の立大戦、再び第1戦に先発した大谷は投手戦に耐え抜き、わずか5安打1失点、無四球の投球を見せた。2完投を果たした立大戦4試合を終え、大谷の口からは「自信」の二文字が出てきた。「思い切り投げても制球が定まる」。下半身の安定が理想のフォームを生み、それが自信となった。試練を乗り越え、大谷は大きく成長を遂げた。
5連覇の夢ついえた早大だが、早慶戦は過去10連勝中だ。早慶戦通算打率.315と打ち込んでいる主将・田中浩は「早慶戦は観衆も多いし、燃えないはずがない。学生は勝つことでしか納得してくれないはず」と強気だ。リーグ戦序盤ではつながりに欠けた打線も、多くの試合を経験して現状なりの「点の取り方」を知ってきた。
迎える早慶戦。大谷は「今季これだけやれたんだから、楽しんで投げられる」と胸を張る。一方で、「まだ完全なエースとは思っていない」と、おごりはない。「真のエース」の称号を目指す怪物と、絶大なキャプテンシーを持った主将を中心に、早大は伝統の大舞台へと歩みを進める。
(佐藤峻一)
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