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趙学来密着取材(1)
世界を知る男が、「日本一」を目指す
2007年7月14日。この日、W杯川崎大会にて韓国代表が初勝利を収め、歴史的な一歩が韓国フットボールに刻まれた瞬間、そのフィールドに趙学来はいた。今年の1月から韓国代表候補選手として招集され、様々な困難を乗り越えながらつかんだ母国の代表のロースター。そこまでの道程は決して楽なものではなかったと言う。
「まずは韓国フットボールのレベルに驚きましたね。韓国にフットボールが普及していないというのが大きかったです」。代表招集当初の韓国では、社会人チームでも大学のレベルでも週に2日から4日程度の練習しかせず、また指導者も少なかったこともあり、日常、日本でプレーする趙にとって、満足のいく環境ではなかったという。「僕の他にも日本でやっている選手が招集されて行ったのですが、その選手達も日本一を目指してやっている選手達だったので、その雰囲気を見て現地の選手達と衝突したことが1番イヤでした」。また、コミュニケーションに対する不安や国を背負うことへのプレッシャーもあった。何から何まですべてが初めての経験。しかしその経験を通して、趙はフットボーラーとしてたくましくなっていった。そして迎えたW杯川崎大会。初戦のドイツ、第2戦のアメリカと敗戦を喫するも、趙の中では手応えをつかんでいたと言う。「日本対フランスとスウェーデン対フランスの試合を、自分達の試合後に見ていたのですが、その試合を見て、韓国チームもある程度まとまってきていて、みんなの取り組み方が全く変わってきて、顔つきもみんな変わってきた。すごく良いチームに仕上がっていたので、これなら勝てると思いました」。
そしてそれは現実のものとして趙の前にやってきた――韓国代表W杯初勝利。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、趙はこんなことを思ったと言う。「もう、ホントに嬉しかったですね。韓国のフットボールの歴史は長いのですが、その貴重な1勝をつかみ取ったという気持ちでいっぱいでした。この勝利までの半年間、いろいろな苦労もあって、その中でみんな、特に日本から派遣された選手達は全員泣いていましたし、国の代表として、韓国でも出来るんだぞということを証明できたことが嬉しかったです」。
世界を相手にした趙が、今度目指すものは「日本一」だ。大学での練習と韓国代表の練習とで多忙を極めながらも、この春のシーズンを通して安定したパフォーマンスが出来たと趙は語る。そして迎えた夏合宿でもその好調は維持された。合宿中に一度もケガをすることもなく、すべての練習メニューをこなせたことは大きな自信となり、秋に繋がると確信を深めたようだ。しかし、それ以上に自信となったのはやはりW杯での様々な経験なのだろう。「今回のW杯に参加して、1番の経験は、アメリカとドイツと対戦できたことだと思います。自分が今まで経験してきたフットボール人生の中で1番強い、ダントツに強いディフェンスラインの人たちと当たれたので。僕が今までで1番強いと思ったのが、日本代表の主将の脇坂さん(DL脇坂康生=松下電工)だと思っていたのですが、その人を超える強さの人と当たれたことはすごく良い経験になりました」と語るように、世界レベルのフットボールを体感し、その経験は趙自身の成長を促してくれたはずだ。
世界のフットボールを知っている趙が、ワセダを「日本一」へ導く。その第一歩が、今、刻まれた。
(濱中征司)
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