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 特集 



 【特集】朝倉孝雄監督インタビュー

朝倉監督  9月から始まった関東学生アメリカンフットボール秋季リーグ戦も残すところ1試合を残すのみとなった。今季は昨季以上に厳しい戦いが続く中、OL池野拓主将(スポ4)率いる早大BIG BEARSはここまで6戦全勝と首位を走っている。そして11月23日、昨季学生王者であり、ともにリーグ戦6戦全勝の法大TOMAHAWKSとブロック優勝をかけての大一番を迎える。近年法大のオレンジのカベを崩せずにいる早大は、今季から新たなフォーメーションの導入、練習方法の改革など、「打倒法大」の下、幾多の戦いを繰り広げてきた。そこで、今回は法大との大一番を前に、チームの指揮を執る「BIG BEARSの頭脳」、朝倉孝雄監督(平3商卒)にお話をうかがい、今季リーグ戦回顧、そして来るべき法大戦について語っていただいた。

 ――秋季リーグ戦開幕前、不安だったところはありましたか?
 新しくスターターになった選手が多かったことですね。特にディフェンスはDL以外のセカンダリー(LB、DB)がほとんど新しいメンバーだったので。それとオフェンスに関しては比較的ラインが去年から池野であったり原(史之=理工4)であったり主力が残っていたので、余裕を持って見られましたが、ディフェンスはかなり入れ替えがあったのでその不安はありましたね。点はある程度とってくれるとは思っていたので、あとは守備はどうかな…と思っていましたね。で、開幕戦は良い感じで守備ができたが、2戦目で若さが出てしまって…でも、そういう接戦をしっかりとアジャストしてモノに出来るようになったので、それは良かったですね。

 ――逆に開幕前、今の戦力でどれぐらい戦えると思われましたか?
 まぁ、春の段階だと法政はまだまだ相手にはならないな、と。良くて日体大ぐらいと良い試合が出来ればなぁ、という感じでしたね。春の段階では「打倒法政」というところまで全然いってなかったです。でも大きかったのは夏合宿でケガ人が少なく乗り切れて、そこで成長した選手が多かったので、それでだいぶ手応えが出てきたという感じですね。

 ――成長した選手は誰ですか?
 オフェンスだと、底上げという意味ではQBの芳賀(太郎=教1)であったり、WRの木村(洋=政経3)、それからあとはRBは元々それなりのレベルで、全体的に底上げできました。OLでセンターの渡辺(大=教3)という今年からスターターの選手がいるんですが、彼の成長なんかは大きかったですね。彼は合宿もケガなく乗り切ってくれたので、それでかなり自信を付けたのではないかと思いますね。で、ディフェンス陣に目をまわしてみると、LB陣ですかね。特に今年から守備コールを担当する2年の原(秀介=商2)や1年生の井田(將仁=商1)、あとはセカンダリーの面條(翔太=スポ2)、大久保(潤=商2)など、今年からのスターターがやっぱり合宿をケガなくしっかりと乗り切って だいぶ一皮向けたな、という印象がありますね。

 ――夏の合宿では「1対1」にこだわってやってきたようですが…
 そうですね。フットボールというのはシステマティックなスポーツなので、システムである程度出来る部分というのはあるのですが、ただシステムだけだとだましが聞かないんですね。強いチームになればなるほど個々のインディヴィジュアルといったファンダメンタルな部分がしっかり出来ていないと時に法政と勝負しても相手にならない。そういうのもあって敢えて夏はそういうシステムよりもインディヴィジュアルにこだわりました。

 ――リーグ戦が開幕して、初戦の武蔵工大戦の出来についてはどうでしたか?
 あの試合に関してはだいぶディフェンスも落ち着いて出来たのではないかと思います。あとはオフェンスに関しては芳賀をスターターに起用して、彼がきっちりとプレーして良い結果が出たんじゃないかなと思います。

 ――帝京大戦の出来に関して、選手達は出来が悪かったと言っていましたが、監督はどのように感じましたか?
 帝京大というのは昔からショットガンを使っているチームで、個々の能力が高いんですね。で、やっぱりその中でいくつかやってはいけないことがあって、それをやってしまって、前半ああいう形になってしまったんですね。ただ、ハーフタイムでしっかり修正して、きっちり選手達が理解して後半を戦ってくれたので勝てましたね。だから、そういった面が今季のチームの若さですね。別に後半の動きを最初から出来るわけであって、あの動きを最初からやっていればああいう結果にはならなかったかな、と思います。今季のチームはまだ若い。1つの諸刃の剣で勢いに乗ればとても良いプレーを見せるし、1つ間違えると接戦にしてしまう。それが如実に出た試合でしたね。

 ――一橋大戦に関しても同じようなことがありましたが、逆にそこで上手く逆転勝利に持っていけたということは、今季のチームが成長しているという1つの証なのでしょうか?
 あの接戦(一橋大戦)をモノに出来たというのは、逆転と接戦の2つを手に出来たという点で大きいですよね。そういった意味ではまぁ、今年のチームの1つの成長じゃないかな、とは思いますね。一橋大はやはり前節の法大戦を見て、かなり実力があったので、それこそウチのときは接戦での勝負になると言っていたんですね。第4クオーター勝負になって、最後の最後で勝負のタイミングが来るぞ、と言っていました。そこでちゃんと選手達がしっかり理解をして、モチベーションをアップして、気持ちを張って諦めずに試合に臨んでくれて、最後にああいう形に持ち込んでくれたというのは成長だと思います。

 ――この2戦での勝利を経て、監督が「第1の山」とおっしゃっていた専修大戦なんですが、監督はどのような気持ちでいましたか?
 あの時は雨が降っていて、雨が降った時点で、ウチの得意なパス、ラッシングオフェンスが少し力が半減するので、ある程度専修大もランプレー、ウチもランプレー中心のロースコアゲームになるんじゃないかとおもっていました。専修大は試合巧者で、キッキングであったり、ファンブルをしたときなどの相手のミスを突くのが上手いチーム。なのでそういう巧者に対して、力でどこまでねじ伏せられるか、というフィジカルとパワーがモノを言う、ライン戦を強調した試合だったので、そういう意味では、あの試合ではディフェンスがきっちり雨の中、カットしてくれました。あの試合から田中(秀=スポ3)もスタメンで戻ってきましたし、ベストメンバーで試合に臨めましたね。

 ――この試合からフォーメーションをDLを4枚にする4−3に変えましたが、守備のシステムを変更することに迷いとかはありませんでしたか?
 迷いとしては、対戦相手を見てライン戦で勝負に持ち込んで勝ちたいという気持ちもありましたし、DLも窪木をはじめとして1年生などが入ってきて層が厚くなってきたというものあったのでその部分では少し迷いました。でも、対戦相手を見ながらその時々の良い選手を使いたいというのがあったので、あの試合のときはあえて「もうラインで行くぞ」ということを言ってしっかりと専修大を相手に完封をしてくれたので、それが勝因につながったと思います。

 ――また今季からチームでショットガン・フォーメーションを使うようになりました。
 今季ショットガンを導入した理由の1つは、選手のほうから、特にQB井上(友綱=スポ4)からもパスを投げるときの選択肢を増やしたいという意向があったので、オフェンスコーチと相談してショットガンも混ぜながらオフェンスをやっていこうということで導入しました。ただ、ウチの場合だと前橋(直人=商3)、古川(大悟=商4)、藤堂(善生=政経2)をはじめとする良いRBが揃っているので、ショットガンと2バックを上手く組み合わせた形でやっていこうと。それで春はショットガンを中心に、そして秋から上手く混ぜながらやっているという感じですね。

 ――では、今季のショットガンの導入は監督の意図どおりになりましたか?
 そうですね。RBの良さも保ちながら、田谷野(亮=スポ3)や木村といった関東トップクラスのレシーバーがいるので、彼らの力を使いながら、という意味ではオフェンスは順調に仕上がってきているという気がしますね。

手振りを交えて話をする朝倉監督  ――日体大との戦いに関して、専大戦後、勝算はどれぐらいありましたか?
 五分五分でしたね。日体大に関しては守備がしっかりとしているチームでオフェンスにも良い選手が揃っていて、本当に五分五分といったところでしたね。最初、第1クオーターで2本TDをとられたときは「これは苦しい試合になるかな」と思いました。

 ――それでもモメンタムをつかんで勝ちに持っていけたポイントはどんなことでしたか?
 きっかけになったプレーは相手のミスでセーフティーの後、しっかりTDを取ってモメンタムをつかめたというのが大きかったですね。あのシリーズでは木村、加藤(翔大=商4)、藤堂といったこの試合でのキーになる選手がTDをとって、こちらが狙っていた通りのオフェンスを展開してくれたというのもあって、それが上手くかみ合って逆転してリードを保ち続けて勝てたと思います。選手達には試合の流れを見ながらモメンタムをつかむという力がついたと思います。

 ――一橋大についても終始リードされながらも、最終クオーターで劇的な逆転勝利をつかみました。
 一橋大にしても、日体大にしてもそうですが、守備が今年は若いので、そこら辺の若さが出た試合だったと思います。逆に一橋大のオフェンスメンバーは大学2年次から常時スターターとして出ている選手がほとんどで、また日体大もエースRBの選手は下級生のうちから試合に出場していたので、相手はベテランで巧いんですよね。で、こちらは今年からスターターの選手が多かったので、若さが出て、やっぱり流れを変え切れなかったというのはありますね。だから一橋大戦なんかでは最終クオーターが勝負になるということを言ってきたので、最後まで気持ちを落とさずに粘り強く闘争心を持って1プレー1プレーをしようということを言いましたね。プレーというよりも気持ちの面で負けてはいけないということを言ってきました。

 ――最終的にはその通り最終クオーター勝負になりました。それを監督はどのように見ていましたか?
 最終クオーターは、もうワンチャンスにかけようと思っていました。28−21となったところで試合の残り時間が5分30秒ぐらいだったんですね。そこで、ディフェンスを止めてオフェンスに渡して、オフェンスシリーズで同点にして、タイブレーク勝負に持ち込もうと思っていたんですね。それでディフェンスは少し出されてしまったけれど、なんとか止めて、オフェンスに渡して、そのシリーズで予想外に田谷野が一発でTDを取ってくれたので、そこまでは予想通りでした。でも、そのあとの杉本(勲央=スポ3)のインターセプト以降のプレーはもうおまけでしたね。杉本のインターセプトも木村のFGもあれは出来すぎですね。

 ――ではこの6連勝は予想通りというよりも、思っていた以上でしたか?
 そうですね。

 ――この6連勝の中でのターニングポイントはいつ頃だったと思われますか?
 おそらく専修大戦を乗り切ったことが個々までつながったんじゃないかなと思っています。あの試合は9−0だったんですけれど、とにかく1つのミスが勝敗を分けるような重要な試合だったんですね。その中で勝利して3連勝という形で乗り切れたということが大きかったと思います。

 ――この専修大戦での勝利によって、その次の日体大、一橋大に精神的に自信となって作用したという感じですか?
 そうですね。

 ――では開幕前と現在ではそのような部分が変化して強くなったと思われますか?
 メンタルですね。専修大戦もそうですし、一橋大戦もそうですが、気持ちを切らさずに最後までフットボールをするというところでは大きな成長だったかなと思います。

 ――そして、11月23日にブロック優勝をかけて昨季の学生王者・法大と対戦します。まず、法大の印象についておうかがいしたいのですが。
 ここ数年の中で学生界最強のチームだと思います。昨年も強かったですが、今年はそれ以上だと思いますね。選手層が厚くなりましたね。RBであれば溪本、原、WRなら戸倉、栗原がいて、その他にもごろごろと良い選手がいるんですね。しかもバランスよく攻撃を仕掛けてくるんですね。QBも今年は併用しているようですし、そういう意味で本当に強いチームだな、という印象ですね。

 ――その中で法大のキープレイヤーは誰だと考えておられますか?
 しっかりマークしなくてはいけないのはやっぱりQBの菅原君でしょうね。ディフェンスで言うとDBの樋田君ですね。この2人はエースですね。その他にもマークしなくてはならない選手がいるんですが、中でもその2人はチームの柱だと思うので。

 ――では逆に早大のキープレイヤーは誰だと思われていますか?
 オフェンスでいうと、やはりQBの井上、芳賀ですね。この2人には頑張ってもらいたいですね。

 ――今季、法大は完封3試合のあと、徐々に失点が多くなってきている印象があるのですで、早大が勝つためには早大のディフェンス陣が法大を止められれば勝機が見えてくるのではないかと思うのですが…
 まず、ポイントが2つあって、日体大、一橋大があそこまで良い試合をしたというのはライン戦できっちりと勝っていたからなんですね。で、今年の法大のディフェンスラインというのは比較的若いんですね。だから、ウチのOL陣が法大のディフェンスラインをしっかりと押し込んでライン戦で勝てるかどうかということが1つ。そしてもう1つは、ウチの守備陣がいかに我慢しながらも法大オフェンスにTDをさせないか、いかにゲインを刻ませて粘り強く守るかということですね。

 ――現段階で法大よりも早大が上回っていると思われる部分はありますか?
 準備と気持ちじゃないかと思います。選手達もずっと法大に負けて悔しい思いをしてきていると思いますし、やっぱり11月23日に法大に勝って超えたいですね。この日のためにやってきたということも少なからずありますから、何としても勝ちたいですね。

 ――現状での自信は?
 現段階では7:3ぐらいだと思いますね。

 ――その中で法大に付け入る隙というのはありますか?
 付け入る隙ですか…(しばし考えたあと)やはりオフェンスラインですね。ワセダのオフェンスラインと法大の若いディフェンスラインとの勝負じゃないですかね。池野、趙(学来=政経3)といったOLが中心となっていかにOL陣がいかにコンスタントにディフェンスラインを押さえてゲインが出せたら、少しずつそれが相手にプレッシャーになってくると思うので。

 ――最後に法大戦に向けての意気込みをお聞かせください。
 思うのは、法大は本当に巷からも雑誌からも世間からも「強いチーム」、「史上最強のチーム」と言われているんですね。で、今回のこの試合で証明したいのは、「強いチームが試合に勝つ」のではなくて、「試合に勝ったチームが強いんだ」ということを証明したいですね。観客のみなさんには、今度の試合は選手もコーチもスタッフもみんな去年の11月23日の敗戦から、1つ1つ積み上げてきたものが完成して、それをこの日にすべてを出し切ると思うので、この1年間のワセダの取り組みを、結果はどうなるかわからないけれど見ていただけたらなと思います。

(取材・編集 濱中征司、青木 現、今泉博敬) 


★関東大学リーグ戦・最終節
早稲田大学BIG BEARS VS. 法政大学TOMAHAWKS
日時:11月23日(金・祝)13:45キックオフ
会場:アミノバイタルフィールド(京王線飛田給駅下車徒歩5分)
チケット:前売券・1000円 当日券・1200円
(詳しくは関東学生アメリカンフットボール連盟ホームページを参照にして下さい)

★関東学生アメリカンフットボール連盟のHPはこちらから







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