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【特集】リベンジの号砲 第8回 8区 志方文典

8区に起用されたのは、これまで故障に悩まされ続けてきた志方文典(スポ2=兵庫・西脇工)。1年時には出雲全日本選抜駅伝、全日本駅伝対校選手権で快走を見せチームの優勝に大きく貢献。だが、昨年の箱根はケガにより直前でメンバーから外れた。その志方がことしの箱根で8区区間2位と好走。大きな挫折を乗り越えたいま、志方は何を語るのか――。
※この取材は1月24日に行ったものです。
「自分の力で優勝に貢献できるように」
――箱根が終わってから都道府県対抗駅伝までの期間はどのように過ごしましたか
箱根が終わってから1週間は実家に帰って、高校の同期や中学、高校の先生に会ったり成人式に出たりしました。休養のために帰ったつもりがあまり休む間もなくほぼ毎日誰かに会いに行っていました。
――箱根について周りの人からはどのように言われましたか
もうちょっと走れたんじゃないかと言われましたね。
――都道府県対抗駅伝はどのような位置付けだったのですか
箱根は20キロという長丁場なんですけど、打って変わって都道府県対抗駅伝は10キロに満たない距離だったので、どれくらい切り替えが出来るかということと、都道府県対抗駅伝は実業団の選手も含めた区間なのでどれくらいの力があるのかを確かめたかったです。
――兵庫県代表は優勝されました
そうですね。本当に周りの選手に助けられての優勝だったので、駅伝本来の勝ち方ではありますけど、自分個人としてはチームの足を引っ張る走りしか出来なかったので、嬉しいというよりはイライラして自分に怒りを覚えました。
――悔しさの方が大きかったということですね
そうですね。
――足の調子は影響無かったのですか
そうですね。足の影響は無かったです。
――このレースの収穫は
ある程度突っ込めたというのが唯一の収穫ですかね。
――そこからなかなか粘れなかったようでしたが
首位でタスキをもらって最初1人で走っていたのですが、1キロ過ぎで後ろの選手に追い付かれて、付いて行こうとしても動きが違いすぎて付いて行けなかったという感じです。
――付いて行かなかったのではなく付いて行けなかったのですか
そうですね、付いて行けなかったです。箱根はなんとか故障あがりでもごまかしが効きましたが、やはりああいう本物の力が出るようなレースになるとちょっとボロが出ちゃったなという感じです。
――中学、高校、大学それぞれで志方選手自身は都道府県対抗駅伝優勝を経験することになりました
どのレースでも周りの選手に助けられての優勝だなという印象です。常に竹澤さん(健介、平21スポ卒=現エスビー食品)と同じチームだったので、竹澤さんに優勝させていただいた感じです。そろそろもうちょっと自分の力で優勝に貢献できるようにしたいです。
「走り切れたことが大きかった」
――箱根の話に移りますが、初めて走った箱根の率直な感想は
何もなかったですね。
――8区を走るのはいつ頃決まったのですか
1年生の頃から練習が良く出来ていれば2区、普通の状態だったら8区だと言われていたので、ことしもずっと練習が出来ていれば違う区間もあったんでしょうけど、故障もあったのでできるだけ負担の少ない8区に決まったんだと思います。
――レースプランは
本当はもっと突っ込んで行きたかったんですけど、自分の感覚がかなりずれていて、20キロ通して理想としている走りとかけ離れたものとなってしまいました。
――目標タイムは設定していましたか
64分台を目安にしていました。
――前の選手が見えず、後ろから僅差で追われる状況での走り出しとなりましたが
前は全く別のレースとして考えて、後ろもだいぶ詰まって来ていたので詰めて来るなら早く追い付いてきて欲しいなと思っていました。
――結果的に追い付かれませんでしたが、志方選手自身のペースは
自分のペースは全く変えて無かったですね。ただ後ろが勝手に離れていっただけです。
――渡辺監督(康幸、平8人卒=千葉・市船橋)から何か指示はありましたか
走る前から、最初入り過ぎないようにして5キロを14分50秒くらいで入って10キロを29分45秒くらい、という指示があったのでその通りに走りました。
――8区は終盤、遊行寺の坂がありますが何か対策はされましたか
特にはしてなかったですね。
――終盤に訪れる坂をどのように感じましたか
走る前は坂自体あまりきついと思ってなかったんですけど、レースペースで走っていたので、15キロ過ぎてから上ると考えたらやはりきつい坂だなと感じました。
――海からの風は気になりましたか
今回の8区はそんなに風が無かったので影響はなかったです。
――箱根は沿道の応援がすごいですが
沿道はほとんど人が途切れることなく、自分の呼吸が聞こえないくらい応援がすごかったです。
――具体的に何を言っているのかは聞こえるのですか
無茶言ってる人とかいましたね(笑)。東洋に追い付けるとか。あとは後ろ迫ってるとか言ってる声も聞こえました。
――沿道の方からの情報は信じるのですか
まあ適当に流してましたね。
――走り終えての手応えは
走る前の自分としては、まず最低限走り切るというのが頭にあったので、とりあえず走り切れたことは良かったです。
――最低限というのは
疲労骨折してからずっと状態が良くなかったので、走り切れたことが大きかったです。
――では走る前は多少なりとも不安があった
下手したらシード権争いまで落ちるのではないかという不安もありましたし、途中棄権してしまうのではという不安もありました。
――走り終えた後、その不安は
完全に消えたというわけではないんですけど、ある程度走り切れたのでホッとしています。
――1時間5分23秒で区間2位という結果については
区間1位と離され過ぎてて、区間3位との差がほとんど無いので…。
――後続との差をもっと広げたかったのでしょうか
そうですね。後々の9、10区の展開を見てみると、もう10秒くらい速く走っていれば4位に落ちなかったかなと思います。
――ゴールはどこでご覧になりましたか
大手町のゴールで見ていました。
――東洋大が圧倒的強さを見せつけましたが、東洋大の走りを見てどう感じましたか
別次元でしたね。自分たちのチームと違って、去年いた選手が一回りも二回りも強くなって箱根に帰ってきていたので尊敬しています。
――箱根後の自身の心境に変化はありましたか
2年生のシーズンは全くダメだったので、箱根後とかではなく常に思うことなのですが、来季こそは良いシーズンを送れるようにしたいです。
「自分の走りと自信を取り戻す」
――この1年を振り返っていかがですか
一言で言うと、冬眠ですかね。
――冬眠というのは
良い意味で冬眠と捉えたいですね。力を蓄える時期だということで。一昨年の疲労骨折から、ケガが治っても自分の思い通りの走りが一度と言っていいほど無くて、本当に散々なシーズン、ひどいシーズンでした。
――挫折と言っていいシーズンだったと
そうですね。自分の可能性を見失っちゃった感じです。
――いまはその可能性は
まだ見えないですね。
――焦りはありますか
最初はあったんですけど、もうあまりにも走れなさすぎて焦りを通り越して、のんびりやっていましたね。
――昨年11月の日体大記録会で久々のレース復帰となりましたが
3000メートルまでは良かったんですけど、3000メートルでいきなり足のリズムが合わなくなって一気にガクッて来たんです。その感覚がシーズンを通してあったので、また来たかという感じでした。それが来るともうペースを落とすしか無いのでそれを改善しないことには難しいですね。
――箱根ではその感覚を感じたのですか
3キロで感じたんですけど、なんとかペースを落としたりしてひどくならないようにしていました。
――集中練習はメニューをこなせましたか
最初は故障あがりだったのでちょっと削ったりしてたんですけど、途中からは同じメニューで出来ました。
――箱根の映像は見ましたか
見てないです。見る暇が無かったっていうのと、基本自分が良くなかった試合は見ないですね。
――来年はどこを走りたいというのはありますか
5、6、8区以外ならどこでもいいです。
――山は嫌なのですか
山は無理です。
――同じ2年生の大迫選手(傑、スポ2=長野・佐久長聖)は意識しますか
意識してましたけど、もはやいまのところ手の届かない存在になっているので、意識しちゃうと自分のリズムが狂ってしまいますし別として見ています。
――今後のレースの予定は
2月に地元の姫路城ロードレース大会に出ます。
――距離は
10マイル、16キロです。
――ハーフマラソンの予定はありますか
ハーフマラソンはいまのところないです。
――来季のチーム目標は
優勝云々とかではなくて、みんなが走れるようにしたいです。今季は最初からみんな調子があんまり良くないままずっと来たので、来季はみんな良い状態でシーズンを送りたいです。
――それでは最後に、来季の個人としての抱負をお聞かせください
まず、自分の走りと自信を取り戻すことです。これは来季の目標というより課題ですかね。とりあえず1〜3月で故障しないように練習を積んで、来季こそは故障せずに自分の力を常に出せる状態にしたいです。
――トラックでの目標は
とりあえず5000メートル、1万メートルで自己ベストを出すことですね。
――ありがとうございました!
(取材・編集 福地恒太)
◆志方文典(しかた・ふみのり)
1991年(平3)7月14日生まれのO型。164センチ、50キロ。兵庫・西脇工高出身。スポーツ科学部スポーツ科学科2年。自己記録:五千メートル14分04秒77。一万メートル28分38秒46。ハーフマラソン1時間3分20秒。2012年箱根駅伝8区1時間05分23秒(区間2位)。

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