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【特集】リベンジの号砲 第1回 1区 大迫傑

2012年、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)。連覇を目指して挑んだワセダだったが、結果は総合4位に終わった。そんな中、昨年と同じくチームで唯一の区間賞に輝いたのが、大迫傑(スポ2=長野・佐久長聖)だ。1年間で大きく成長を遂げたワセダの若きエースは、今回の結果をどのように受け止めているのだろうか。心境を伺った。
※この取材は1月21日に行ったものです。
「自分のやるべきことは、みんな分かっていた」
――きょうは雨ですが、練習はあったのですか
はい。雨とか関係なく、いつも通りです。
――現在はどのような調整段階ですか
いまは普通に練習しています。しっかり練習を積む時期なので。
――箱根が終わって少し休めましたか
そうですね。しっかり休めたので、リフレッシュした状態でスタートできています。
――新チームの印象はいかがですか
現段階では特別な変化は感じていないんですけど、ここからどう変わっていくんだろうというところですね。
――いまはちょうど試験期間前で試験勉強やレポートが忙しい時期だと思いますがいかがですか
溜めちゃっているので、きょう、あすくらいにやらないとなと思っています。
――箱根直前の『WASAEDA WEEKLY』の評価では、『知力』の欄が5点中3点になっていました
そうなんですよね、3って!誰が点数つけたんだか分からないんですけど、最低でも4点くらいほしいですよね(笑)。
――山本選手(修平、スポ1=愛知・時習館)が4点、市川選手(宗一朗、スポ3=愛知・岡崎)が5点ですもんね
ちょっとイメージ悪いんで、頑張ります(笑)。
――では箱根の話に移りたいと思います。大会後、当日の映像はご覧になりましたか
はい、見ました。まぁ自分の走りを見返した程度ではあったので、こんな雰囲気だったんだなぁと。
――1区へのエントリーが告げられたのはいつでしたか
12月28か29日くらいだったと思います。けっこうギリギリで、1週間は切ってましたね。
――1区エントリーを告げられた時の思いは
2区か3区を想定していたのでちょっとびっくりはしたんですけど、去年も同じような感じだったので、同じように臨めば問題ないかなと思いました。
――一般メディアでも2区へのエントリー予想が多くなされていましたが、ご自身でも2区、3区へのイメージというのが具体的にあったのでしょうか
そうですね。僕の中では2区か3区を走るのかなという気持ちがありました。やはり2区のイメージは具体的にしていましたけど、どこを走るかという違いかなと。
――ご自身の直前の調子は
はい、しっかり合わせてきていたので、仕上げてこられているなという手応えはありました。
――当日も万全の状態でしたか
そうですね、いつもと同じ状態でした。
――調子の合わせ方を学んできた今シーズンの成果でもありますか
自分のリズムができてきたというのがあったので、いつもと変わらずに同じようなことをしようと思っていました。
――前日にエントリー変更があったりと、チーム状況が気になっていたのですが、チームの状況はいかがでしたか
決して良い状況ではなかったとは思うんですけど、八木さん(勇樹、スポ4=兵庫・西脇工)と三田さん(裕介、スポ4=愛知・豊川工)が走れなくなったことで影響を受けた人は少なかったんじゃないかなと思います。自分のやるべきことはみんな分かっていたので、その点はすごく良かったんじゃないかなと思います。
「去年以上に収穫があった」
――「緊張しないタイプ」と仰っていましたが、スタート前緊張はありませんでしたか
去年よりも落ち着いていて、緊張はありましたけど自分のすることを見失わずに走ろうと思っていました。
――レース前に渡辺康幸監督(平8人卒=千葉・市船橋)から何か指示はありましたか
去年と同じようにいけばいいからということで、そんなに記録のタイム差もないということを言われていたので、気楽にいけました。
――1キロ2分50秒で前回より3秒早いペースでしたがスタートの感触はいかがでしたか
去年よりは力がついていますので、いつも通り走ったらタイムが早くなったということで、ペースはそんなに速いとは思っていませんでした。自分としてもそんなに速く入っているつもりはなかったです。
――3キロの通過は8分34秒、1キロ2分50秒切るペースでした。ここでも特にタイムは意識せず自分の走りをしたということでしょうか
ちょっと後ろも気になりましたけど、自分のペースで行けばいずれ離せるかなとは思っていたので、そのまま自分で行きました。
――去年は結構早い段階で集団がついて来られないというかたちになっていましたが、ことしはついてきました
日体大の服部がついていたんですけど、それは去年と同じで、後ろは離れていたので、差は違えど去年と同じような感じだったんじゃないかなと思います。
――5キロの通過タイムが14分17秒で、5キロを過ぎてからペースを上げたように見えましたが、それまでは我慢していたのですか
意識して上げたというのはなかったですね。でもちょっと後ろが気になってはいたので、自然と上がっちゃったのかなと思います。
――7キロの通過が19分59秒、1キロ2分47秒ペースで区間記録を上回っていたようですが、区間新記録は狙っていましたか
いや、狙ってなかったです。放送ではそう言ってましたけど、多分区間新記録ペースではなかったんじゃないかなと思います。自分のペースで走って、それで区間賞が取れればいいなと思っていたので、記録自体にそんなにこだわりはなかったです。
――レース中に渡辺監督から声が掛かると思いますが、どういった言葉が印象に残っていますか
「ラスト5キロで切り替えていかないと、後ろとの差が詰まっちゃうよ」と。でもラストで粘れなくて、あそこでもっと粘れれば、チームのことを考えるともうちょっと良い状態でつなげたんじゃないかなと思うんですけど。
――11キロ過ぎから一人旅になりましたが、気は楽になりましたか
そうですね、気持ち的には楽でしたけど、結構近くにいることは分かっていたので気を抜けないなと思っていました。
――これまでの大会では走りの中盤から苦しそうな表情をされていましたが、今回表情はずっと苦しくないように見えました。実際はどうでしたか
途中から体が動かないような感じでした。でも呼吸自体はそんなにきつくはなかったんですけど、後半から下半身にダメージがきたなと。
――そのダメージはいままで経験したことのあるものでしたか
もうちょっと上が心肺的にきつくなると思っていたので、ちょっといつもとは違う追い込み方だったかなと思います。
――走っている時にそういう変化が起きた場合は、どうやって乗り切るのでしょうか
走り続けるしかないですし、「違うな」とは思ったんですけど動かないものは動かないので、ここからいかに粘れるかというのを考えていました。
――きつくなったのはラスト5キロを切ったあたりですか
六郷橋を渡る直前くらいから…ラスト5キロくらいですね。
――1区は他の区間に比べて平坦な道で、唯一六郷橋が最後にある坂でポイントとされていますが、2年間走って印象はいかがですか
そうですね、それまで少しアップダウンがあれば違うと思うんですけど、1区はずっと平坦なところを走ってきていて急に六郷橋が来るので、難しくはないですけど集団で走っていたら勝負どころになると思います。
――去年の経験というのは六郷橋に限らずどこか生かそうと思ったところ、生かせたところはありましたか
ラスト5キロで上げたいなとは思っていましたけど、去年とは違うんでそれにとらわれずにいきました。
――走り終えて記録は1時間2分03秒、昨年の1時間2分22秒から19秒早いタイムでしたが記録についていかがですか
タイムとしてはもっと上げたかったなと思いました。欲を言えば1時間1分台はいけたんじゃないかと。ただ、去年に比べて走り方も自分の思い通りのフォームで去年よりも走れたんじゃないかなというところで、去年以上に収穫があったんじゃないかなと思います。
――収穫といいますと、特に良かったところ、悪かったところは
去年はフォームが潰れてしまったので、それがなく走れたというのが良かったです。後半5キロはもう少し粘りたかったですけど、10キロ過ぎで上げた影響とも言えますし、15キロ以上走ることはそんなにないのであまり気にしていないです。
――フォームはかなりきれいだと評されていますか、どういうフォームを意識していますか
特別に意識していることはないんですけど、漠然としたイメージがあるのでそれを追っているという感じですね。
ワセダらしさ貫き、リベンジ果たす
――昨年は2分の差をつけたのに対し、駒大とは24秒差、東洋大とは31秒差でした。この差についてはいかがですか
もっとつけられれば良かったんですけど、力のある選手がそろってましたし、後ろの集団も普通にけん制せずに走ったらあれくらいになるんじゃないかなと思います。仕方ないかなと。
――1区から3区まで昨年と同じ布陣ということで、前半、特に1区が重要視されていました。逆に言えば、大迫選手で離せないと厳しいチーム状況。プレッシャーはありませんでしたか
やらなきゃいけないという思いがありました。ただ、自分の力を出し切ればいけると思ったので、緊張感はありましたけど、プレッシャーはそんなになかったです。
――チームの中でご自身の役割は果たせましたか
期待されていた以上のものは出せなかったかもしれませんが、最低限のものは果たせたんじゃないかなと思います。
――結果として4位に終わりましたが、ゴールの大手町ではどんな思いでしたか
明大に負けてしまったのが悔しかったんですけど、ことしの力で見たら妥当な結果というか、冷静に考えたら3番が妥当だったのかなと。悔しい思いはありましたけど、それ以上に来年に向けてみんなでしっかりやっていかないとなという思いになりました。
――東洋大の驚異的強さを見て学ぶことはありましたか
東洋大とワセダはやり方が違って、東洋大は駅伝をやれば良いというやり方でも、ワセダはトラックも頑張るチームなので。あれはあれで良いやり方でしょうけど、僕らがあれをやってしまってはワセダらしさがなくなってしまうと思います。トラックを頑張り、トラックの記録を出す。その上で駅伝も、というスタンスでやっていって東洋大の上を行けるか、というのが僕らの取り組まなくてはいけないやり方だと思っています。
――昨年は「わくわくしていて楽しかった」とおっしゃっていましたが、ことしの箱根路はいかがでしたか
ことしも沿道の声援が力になりましたし、ことしは去年以上に落ち着いてレースをすることができたので、応援の良い部分を吸収できたかなと思います。
――沿道に知り合いがいると気が付くものですか
それはちょっと気が付かないことが多いですね。たまに気付くこともありますし、気付いたらすごく力になるのでうれしいですね。
――昨年箱根に出場し、夏季ユニバーシアード(ユニバ)で優勝もされて知名度が上がったと思いますが、去年に比べ名前を呼んでくれる人は多かったですか
名前で呼んでくれた人も多かったとは思うんですけど、漠然とした感じで聞いているので去年との差とかは分からなかったですね。でも名前を呼ばれるとやはり力になります。
――今回ご家族はいらっしゃってましたか
はい。どこかに来ていたと思います。気が付けなかったんですけど。
――大会前には「存在でチームを引っ張っていけるエースになりたいという思いがある」と仰っていましたが、現在はどういう思いですか
前に言った通りですね。3年生になりますし、存在自体で引っ張っていける選手になりたいです。
――今回で駅伝は6度目でしたが、タスキの重みは感じていますか
駅伝という競技は独特なので緊張感もありますし、ワセダですので伝統もあり、ずっしり来るような感じがありますね。
――今季は駅伝では悔しい結果になりましたが、ユニバでの優勝をはじめ、関東大学対校選手権、全日本大学対校選手権でも好成績を残したシーズンでした。どんな1年でしたか
本当に非常に良い流れで来られていて、個人として考えればことしが勝負の年ですので、それに向けては非常に良いかたちで下積みが詰めたかなと思います。
――ことしはロンドン五輪がありますが、それに向けてこの1年で一番得られたものは何でしょうか
そうですね…、大会前だからといって特別なことはせずに平常心で普段と同じことをする、同じ食事だとか、同じ練習をする。そういうことが大事なんだということを学びました。
――ことしの具体的な目標は
しっかりまずは標準記録を突破しなくてはいけませんし、日本選手権で勝たなくてはならないので、記録を出すことと日本選手権で優勝してロンドンオリンピックに出られたらいいなと思います。
――2011年のシーズンはスピード強化を意識して始まったシーズンでした。これからのシーズンで特に強化したいポイントやプランは、現時点でありますか
昨年と同様に走りのスピードを上げたいですけど、昨年は大会が多かったので、ことしは走りたい大会に絞っていければいいなと思います。
――最後に、ファンの皆さんへ一言お願いします
ことしの箱根駅伝は非常に悔しい結果に終わりましたが、来年必ずリベンジしたいと思います。また、ことしの目標であるオリンピック出場も実現したいと思いますので、応援よろしくお願いします。
――ありがとうございました!
(取材・編集 片貝早輝子)
◆大迫傑(おおさこ・すぐる)
1991年(平3)5月23日生まれのA型。170センチ、53キロ。長野・佐久長聖高出身。スポーツ科学部スポーツ科学科2年。自己記録:五千メートル13分31秒17。一万メートル28分35秒75。ハーフマラソン1時間1分47秒。2011年箱根駅伝1区1時間02分22秒(区間賞)、12年箱根駅伝1区1時間02分03秒(区間賞)。

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