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wasedasports.com >  陸上競技 >  譲れぬ想い〜ALL FOR HAKONE〜


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 陸上競技特集 第6回 佐々木寛文



 【特集】譲れぬ想い〜ALL FOR HAKONE〜 第6回 佐々木寛文

 昨季の出雲、全日本共に区間賞を獲得し、『三冠』の原動力となった佐々木寛文(長野・佐久長聖)。しかし大一番である箱根はケガの影響により、1年時に続きまたしても出走は叶わなかった。2度の挫折など度重なるアクシデントを経て、佐々木にどのような心境の変化があったのか。そして3度目の挑戦となる箱根路への思いとは――。  

※この取材は11月26日に行ったものです

「みんなが優勝してくれたことで次に歩みを進めることができた」


昨季の心境を振り返る佐々木
――まずは去年の箱根から、今季を振り返っていただきます。昨季の箱根で優勝し、 チームは大学駅伝三冠を成し遂げましたが、佐々木選手は故障で欠場というかたちになってしまいました。当時の心境は
あの時期は自分の殻にこもっていた時期でもあって、本当に気持ちは複雑でした。故障をして苦しいという気持ちもありましたけど、それ以上に自分が走れていなかったということが悔しいということの方が大きくて…。でもあの大会があったからこそ、また次を始めることができたというのはあります。そういった意味でもいろいろな経験をさせていただきました。

――かなりふさぎ込んでしまった
 そうですね。あの時期は自分の部屋にこもっていたりもしてましたし、練習に行っても特に何をするでもなく、チームには迷惑をかけてしまったというか。

――いままでの競技人生で一番つらい出来事でしたか
 まあいろいろなつらいこともありますけど、やっぱり1年生の時もインフルエンザで走れなかったりとその分もあったので、尚更出れなかったというのがショックで、大分大きなことだったと思います。

――しかしチームが優勝したことにホッとした面もあると思います
 そうですね…本来であれば僕が5区を走って、もっと違ったかたちで優勝することができたと思うんですけど…。でもみんなが優勝してくれたことで僕も安心できましたし、また次に歩みを進めることができたと思います。

――昨季、5区を務めた猪俣英希選手(平23スポ卒)が、「前日に佐々木からメールが来た」とおっしゃっていましたが激励のメッセージを送ったのですか
 そうですね。その前まで殻にこもっていたともさっきも言ったんですけど、大会の付き添いになって、そこまでで結構いろいろな人に迷惑を掛けて心配させてしまった面もあったので。直接というのはあの時期ではできなくて、メールという間接的ではあるんですけど、迷惑を掛けてしまった分、少しでも頑張って走ってほしかったのでメールしました。


我慢のシーズン


――箱根が終わってからも座骨神経痛は治らず、我慢の時期が続いたと思います。チームに合流できたのはいつでしたか
 そうですね…。ポイント練習自体は箱根が終わってからもやったりして、大会にも出ていたんですけど、故障がしっかり治る前にそういうことをやってしまって、また故障をぶり返してという時期が結構長く続いて。本当にしっかり走れるようになったというのは6月くらいからです。6月からはケガというケガはしていません。多少の痛みが出たりというのはありましたけど、いままでのように座骨神経痛で走れなくなるというのはなかったです。

――春は、通してもどかしい時期だったと思います
 1月、2月ぐらいから徐々に走れるようになっていた中で、また春がケガで痛くて走れなくなるような状態だったので。春に出遅れてしまって、関東学生対校選手権(関カレ)は棒に振ってしまいましたし。そういった意味でまたそこで走れない悔しさというのが出てきました。

――関カレにおいて、たくさんの3年生が出場していたのを見ていて悔しい思いもあったのでは
 仲間が走っている姿を見ることしかできないというのは大学に来て非常に多いです…。やはり本来であれば自分が走るべき存在というか、そのために推薦で取っていただいて、この部に貢献するために来ているのに、何をしているのかも分からず、ケガで走れないというのは本当に悔しくて仕方がないです。

――ケガ中の練習内容は
 ジョグもそうですし、ジョグができなければ補強であったり、基礎的な歩きからやったりもしましたし、あとはエアロバイクとかで心肺機能を落とさないようになんかもやりました。

――地味なルーティーン
 そうですね。本当にやることも限られてきますし。

――7月のトライアルいせさきが復帰レースとなりました
 あれがちょうど6月から走り始めて1カ月経って、ちょっと調子が出てきた中で練習の一環として出た大会でした。これだけ動けるんだと確認した中で夏合宿に入れたというのは大きかったと思います。

――夏にお話を移します。夏合宿を振り返って、ご自身の満足度としてはいかがですか
 夏合宿もみんなと同じ練習を完璧にこなすということは本当はできなかったんですけど、チームの合宿前に母校の高校の合宿に参加したりもして、そういった意味で練習を継続した中で夏合宿をケガせずにこなせたという部分では非常に良かったとは思います。

――では夏合宿でケガが悪化することはなかった
 そうですね…。他のところがちょっと痛くなったりして調整する部分はあったんですけど、そこで完璧に走れなくなるということではなく、しっかり継続していく中で練習を消化できました。

――何か印象に残っていることはありますか
 やはりどうしても去年と比べてしまう部分がありました。去年と比べてしまうとどうしても満足度が高いという風には思えなくて…もう少しという部分はあったかなと思います。

――北海道合宿後の日本学生対校選手権(全カレ)では再びチームの代表として5000メートルに出場されましたが、あのレースは駅伝シーズンに入る前の状態の確認という意図もあったのでしょうか
 それもありますし、チームの状況としても走れる選手も限られていた中で僕もそういうチャンスをいただいて。結果9位で得点を取ることができませんでしたけど、トラックレースを走って、ある程度夏を通してこのくらいで走れるということが分かったので良かったです。

――チームは全カレ総合優勝。共に喜びを味わってみていかがでしたか
 自分が参加して優勝というのは初めてだったので、うれしかったですね。

――全カレ当時は「脚づくりが課題」とおっしゃっていました
 全カレが終わったぐらいからいままでやってなかった分、夏合宿から積み重ねた疲労というか疲れというのが非常に出てしまって。出雲の時もそうでしたが、疲労が抜けないままずーっとずっと練習をやっている状態で、あまり調子が上向きでない時期がありました。最近もそうなんですけど、それがちょっと長い間続いていて、それがあって上尾ハーフも見送ったんですけど、その悪い流れのままごまかしごまかしで出雲、全日本と来てしまいました。出雲も走れませんでしたし、全日本も僕の力としてはあまり良い結果とは言えない状態になってしまいました。

――今季の出雲は昨季の箱根と同様、サポートという立場になりましたが
 その当時は「調子の良い人を走らせてほしい」と監督に言ったんですけど、でもよくよく考えるとやはり僕がそういうことを言ってはいけないなと思いました。僕はチームの主力としてしっかり調整して試合で結果を出すということが大事なので。でも去年の箱根を経験して付き添いに回った中でも、選手をしっかりサポートしていくという気持ちの切り替えというか、そういうことはしっかりできるようになったと思います。

――全日本は疲労を引きずってしまったことが影響し、区間4位という結果になってしまいました
 言い訳にはなってしまうんですけど、決して状態が良い中で走れていたわけではありませんし、ああいった結果になってしまったのはまだ自分の力不足です。

――出雲、全日本でワセダは3位。渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)と相楽豊コーチ(平15人卒=福島・安積)は東洋大、駒大に「完全に力負け」とおっしゃっていました
 やはりその二校というのはしっかりとメンバーをそろえていますし、それに増してワセダは去年走ったメンバーが全員走れているわけではないので。ベストメンバーで戦えてはいないので、そういうところが二校と差がついてしまっている部分だなという感じはします。


「スタートラインに立つことが大事です」


全日本は区間4位と振るわなかった
――箱根まで残り1カ月となりましたが、現在のチームの状況はいかがですか
 出雲、全日本と目標の順位には届かなかったんですけど、そこでやっぱり危機感を持たなければいけないということを再確認しました。いまも、きょう(11月26日)から集中練習に入るんですけど非常にみんなギリギリの中でやっています。でも故障者は少なくなってきていて、そういう良いところもあると思うので、あと1カ月間本当に良い方向に向かっていければなと思います。

――八木勇樹主将(スポ4=兵庫・西脇工)と志方文典(スポ2=兵庫・西脇工)選手が復帰したと伺いました
 そうですね。志方は一緒に集中練習をやっていますし、八木さんも徐々にポイント練習を始めているので、徐々に戻って来ていると思います。

――八木主将のチームの合流はかなり良い刺激になるのではないでしょうか
 八木さんがいるといないとではチームの雰囲気は当然違ってくると思いますし、現に八木さんがチームを離れることもあって、そういったところではまだチームの士気が上がっていないという印象を受けました。いま帰って来てチームにいることで、そういう人がいるだけでチームがこれだけ変わるんだなと感じています。

――八木主将に替わり、これまで練習などを引っ張っていたのは
 八木さんは全体主将なので、長距離はまた三田(裕介、スポ4=愛知・豊川工)さんが長距離ブロック長として三田さんが八木さんのいない分をすごい頑張ってチームを引っ張っていてくれていました。

――出雲、全日本を経てワセダは『前回王者』と言うよりも『挑戦者』という意識で練習に取り組んでいる印象です
 本当に出雲、全日本はことごとく力負けしているので、去年のことはみんな忘れていると思います。やはりいつも挑戦者としていなければいけないと思いますし、仮に(出雲、全日本と)優勝していたとしても、そこで守りに入ると、追われる立場からどこかで足元をすくわれることがあると思うので、常に攻めるという挑戦者の気持ちが重要だと思います。

――主力メンバーがケガや不調などで全体的に試練の時を迎えている印象を受けますが
 去年の結果を踏まえればもっともっとことしは全体的に走れて良かったとは思いました。本当に順調に来ているのが大迫(傑、スポ2=長野・佐久長聖)ぐらいしかいないので。そう考えると、Bチームの底上げという課題もそうですけど、それ以上に走れる人がしっかりと走るということが、いまはチームの課題なのかなと思います。

――「ギリギリの中でみんなやっている」と先程おっしゃっていましたが、その中で佐々木選手のチームの役割は
 3年生とチームの上級生になったので走りで引っ張っていくというのは当然のことなんですけど、その他の面でも引っ張っていかなければならないと思います。一番はやはり走るべきところでしっかり走るということが役割ですかね。

――その他の面とは
 生活の面もそうですし、いろいろな部分です。スポーツだけが優れているというだけでは駄目だと思うので、人として何か示しがつけれることがあれば。

――集中練習の1カ月で大きく変われると監督とコーチはおっしゃっていました。集中練習に臨むにあたって意識したいことは
 ワセダというのは毎年同じような練習をして、違う年と比較してどうかというスタイルを取っているので、そういった意味でも集中練習の消化具合が箱根でどうなるかに非常に大きなウェイトを占めていると思うので、箱根へ向けてピリピリでもないですけど、気を切らさずにこの期間をこのまま過ごすしかないと思います。

――故障者も出てくる厳しい練習と伺いました
 そうですね。練習量も多くなりますし、それにいまの集中練習というのは練習の質も上げてくるので、その中で故障者というのは毎年出てきますけど、本当にそれを乗り越えた選手が箱根を走れるので、あとは気合いを入れてやっていくしかないです。

――いまチームで好調な選手は
 一番は大迫ですね。好調だと思います。あいつは試合になればしっかり走る選手なので全く心配してないです。

――ワセダを含め『三強』と評される東洋大、駒大でそれぞれ気になる選手を挙げるとすれば
 駒大の場合は同年代の3年生の選手です。彼らがチームの主体になって、チームが建設されているので。駒大の場合はその3年生がどのように走るかによって試合の流れが変わってくるかなと思います。東洋大の場合はやはり柏原さんがチームのエースとしてあのチームを支えています。駒大は3年生、東洋大は柏原さんが気になりますね。

――駒大の3年生とは具体的に、持ちタイムの優れている撹上選手などでしょうか
 そうですね。撹上もそうですし、上野、あとは久我であったり。あと今季は試合には出ていないですけど箱根の6区で区間賞を獲った千葉もまだいるので。そこを考えるとやはり、あの3年生の代がどう出来上がっているかが駒大の順位に関わってくるのではないかと思います。

――駒大と東洋大はどちらを強く意識しますか
 やはり駒大の方が怖いですね。東洋大も強いんですけど、力からすると駒大の方が上かなとは思います。駒大が出雲のように最初でつまづかなければ、全日本のようにそのまま行ってしまうというパターンになると思うので。東洋大も柏原さんがいて箱根であれば5区で巻き返しができるという部分もあるので、どちらも1位で逃げ切るというかたちであれば強い大学だと思いますし、僕たちもそういうパターンでは強いと思うんですけど、チームの総合的な力を見るとやはり駒大なのかな、と。

――主力が2、3年生でつくられている駒大は来季を見据えても強いですね
 そうですね。同年代のメンバーがまだ来年も残りますので、そう考えるとやはり僕ら3年生が少しでも対応できるようにしていかないと、どんどん離されていくばかりになってしまうと思います。

――他に気になる大学はありますか
 ことしはどうなのかは分からないですけど、やはり高校の先生が就任した東海大です。まだまだ1年目ですけど、これから来年以降は怖い存在になるのかなという感じはありますし、いまのワセダのチーム状況を見ると下手をすればいままで勝っていたチームに足元をすくわれるというのは当然あると思います。そういう意味ではどの大学も怖いと言えば怖いですね。

――区間について。昨季は5区として練習をしてきましたが、今季の5区へのこだわりは
 そうですね。去年の勝ち方もありますし、あんまり意識してないですね。逆にいままで意識しすぎたせいで自分を自分で追い込んでしまった部分もあるので…。いまは流れに任せるではないですけど、まずはしっかり走れる状態になるというのが一番ですし、スタートラインに立つことが大事です。それで5区を任されれば5区をしっかり走るということが僕の役目にもなりますし、他の区間であれば他の区間を走ることも大切かなというのをいまは感じています。5区に固執することはないですし、いまはしっかり走れるようになることが重要ですね。

――それほど気負いはないということでしょうか
 ここ2年のこともありますし、当然箱根がすごい注目されて大きな大会ではありますけど、それが全てではないので。いまはとりあえずしっかり走れる状態になるというのが一番だと思います。

――では最後に箱根への意気込みをお願いします
 最後の締めの大会になるのでしっかりと準備をして良い結果を残せるよう、そして自分もそこに加われるように頑張っていきたいと思います。

――ありがとうございました!


(取材・編集 杉山幸美) 


待望の出走なるか
◆佐々木寛文(ささき・ひろゆき)
 1990年(平2)11月13日生まれのO型。162センチ、50キロ。長野・佐久長聖高出身。スポーツ科学部スポーツ文化学科3年。自己記録:5000メートル14分04秒44。1万メートル28分58秒47









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