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 隅田への凱旋



 【第3回】小林大河×望月みづほ/男子対校エイト、女子舵手付きクォドルプル

 選ばれし者しか出ることの出来ない早慶レガッタという憧れの大舞台。その特別な一戦に望月みづほ(スポ2=埼玉・大宮)、小林大河(国教2=東京・早実)という2人の2年生が対校クルーとして初選出された。選ばれた喜び、驚き、プレッシャー――。様々な思いが交錯する中で、迫り来る早慶レガッタへの思いを率直に語ってもらった。


「今思えば良かったなって思えます」


初の大舞台へ、率直な思いを語った小林(右)と望月
――早大に入学して初めて出場した大きな試合は何でしたか
望月  去年の秋、全日本新人選手権で花形種目である女子舵手付きクォドルプルに出させてもらいました。2年生(現3年)の先輩と一緒に漕いだんですけど、その先輩方はU23日本代表として試合に出たこともあって力の差を感じたというか2人に運んでもらっているなって感じでした。結果的には優勝して9連覇達成したんですけど、いつかはこういう先輩方のように船を引っ張る絶大な存在になりたいなと思ったのは覚えています。
小林  最初の試合は去年の早慶レガッタの第二エイトでした。

――昨季を振り返って
望月  全体的に一年前とは本当に成長できました。入った時に一番伸ばしたいと思ったのが技術だったので、技術に関して言えばこの冬よく伸びたなと感じました。まさか早慶レガッタの選考で選ばれるとは思ってなくてびっくりしているんですが、冬の自主トレの期間に、誰よりも一番下手だから誰よりも一番漕ごうと思ってしんどい時も漕いだのが良かったのかなと思います。
小林  自分は今まで適当にやっていて、大学入ってもやる気は最初そんなになかったんです。けど、練習を積み重ねていくうちに周りも認めてくれて、それが自分のやる気になってっていう自分の気持ちに変化があった一年でした。

――昨季一番辛かったことは
望月  練習ですかね。合宿で毎日川行ってシングルスカルで漕いで男子のエイトと同じメニューをやって…。あれは本当に辛かったです。ぶっちゃけサングラス掛けてれば見えないからいいやと思って漕ぎながら泣いていました(笑)。でも早慶レガッタのメンバーにこうして選ばれて、今思えばあの辛い練習をやってきてよかったなって思えます。だからこれからもいっぱい泣きます(笑)。いっぱい泣いて強くなります。
小林  今言っていたことがすごい分かって。調子悪い時とか練習がすごく辛く感じるし、でも今思えば良かったなって思えます。



「嬉しくて興奮して寝られなかった」


留学前の数少ないチャンスを活かし、対校エイト最後のシートを勝ち取った小林
――早慶レガッタのメンバーに選ばれて
小林  いやそりゃあ嬉しいですよ。たまらないです。レガッタに出るのが夢で入って、今年の夏留学してしまうのでこれが最後の早慶レガッタなんですよ。ここで選ばれなかったらやばいと思って、正直冬前まであんまり評価良くなかったんですけど、冬が明けてだんだん評価が良くなっていて。他の漕手7人は既に決まってて、一か月くらい最後の一人の座を争って辛かったんですけど、選ばれたときは涙は出なかったんですけど嬉しかったです。
望月  女子の場合は2日間シングルスカルで3000メートルのレースを一本漕ぐっていう選考の仕方でした。まさか選ばれるとは思っていなくて、先輩とのタイム差はどれくらいあって、あとどれくらい詰めたら軽量級(全日本軽量級選手権)やインカレ(全日本大学選手権)で活躍できるかなっていう、今自分の位置がどこなのか確認する大会だなと思っていたのでまさかという感じです。だから選考の時は緊張とかなくて、先輩方との差がどれくらい縮まったんだろう、楽しみだなってわくわくして艇に乗れました。むしろ選考の前の日より、選考の後の方が選ばれて嬉しくて興奮して寝られないくらいでした。

――どんな状況で早慶レガッタのメンバーに選出されたことを伝えられましたか
望月  選考の発表自体はヘッドコーチの水谷さん(達也、平4スポ卒=岐阜・恵那)から名前を呼ばれました。でもその前に水谷さんから早慶レガッタのことで相談したいことがあるって呼ばれて、そこに呼ばれていたのが山根さん(由絹、スポ3=岩手・宮古)など早慶レガッタのクルーに確定している人だったので、自分も早慶レガッタのクルーに選ばれたのかなって思いました。あと選考会の一日目の結果が良い人から二日目のスタート順が決まるんですが、それで3番目だったのでこれは一日目の結果が良かったんだなって思いました。
小林  最後まで本当に混戦すぎて決まらなくて、最後に1500メートルを(杉山)史門さん(スポ3=静岡・沼津東)と一緒に漕いだ時も結果はまだ分からなかったんです。そのあと水谷さんに二人が呼ばれて、史門さんはすごい褒められて自分は漕ぎもまだまだだって言われたんですが、水谷さんはあまのじゃくなところがあってこれは何かあるなと(笑)。そしたらタイムは自分の方が良くて、「大河を乗せる」と言われたので選ばれたんだなって分かりました。

――早慶レガッタのイメージは
望月  正直隅田川での早慶戦を見たことがなくて、隅田川での練習も女子はまだしていないので本当にイメージが湧かないんですよね。ただ81回も続いている伝統のレガッタに自分が出られるっていうことはすごく嬉しいことですし、他の大会とは違って種目が女子舵手付きクォドルプルしかなくて、上から4人の漕手しか出られないので、シーズンの始めでありながら結構重要なウエイトを占める大会だなって思っています。
小林  3大早慶戦の一つということもあって、たくさん人が来るイメージがあります。最後に桜橋を通るときに、応援のマーチとか聞こえてきてそこの興奮は隅田川でしか味わえないなと思います。

――初出場のプレッシャーは
小林  すごくあります。新人戦も第二エイトだったので、対校エイトで出るのが初めてなんですよね。しかも他の7人の漕手はいつも対校で出てるメンバーで、自分だけが初めてで、漕ぎとかも対校(エイト)で出てる人とは違う漕ぎをしているなと感じました。ずっと一か月練習してきて、個人的にはまだ対校エイトの中に第二エイト出身の自分が乗っているという感じで、それがプレッシャーといえばプレッシャーですね。レガッタまでに対校の一員としてプライドを持って漕ぎたいなと思っています。
望月  私はまだそんなに無いですね。去年の新人戦で勝てたっていうのと、選考で良い意味で自信が付いて自分もこんなに出来るんだなって思えたので、選考で勝って乗れたんだから自分を信じて漕ぐしかないなと。周りに実力のある先輩方が乗っているので、甘えすぎず、付いていくだけだと思っています。もちろん自分も艇を進める力にはなりたいけど、でも精神的な面とかは先輩方がカバーしてくれるだろうなと思っていてそこまでプレッシャーは感じていないです。



「私が漕いで勝ったんですって胸を張って言いたい」


初選出に対する素直な喜びを語った望月
――今の練習で意識していることはありますか
小林  隅田川は波が強いので波対策をしています。(波に対して)直角になると波に持っていかれて腹切り(オールが波に突っ込んでしまうミスの意)しちゃうので、なるべく丸く丸くやって波にひっかからないようにっていうのを意識しています。
望月  とにかく4人で同じ水をつかんで、見た目の部分というかとにかく全員で同じように漕ぐっていうのを意識して練習しています。

――慶大への意識は
小林  そうですね、モチベーションになりますね。男子は2月くらいから練習始まって早慶レガッタまで60日もあって途中目標を見失いそうになっても、辛くても慶大には負けたくない、勝ちたいっていう思いはありますね。
望月  女子はそんなに意識してないかなって感じですね。クルー組んだばっかりで自分たちのことしか見えていないっていうのはあると思うんですけど、勝つために自分たちの出来ることをやるだけかなと思います。もちろん絶対勝ちたいんですけど、そんなに相手に惑わされずやるべきことをやって勝とうという感じです。

――話は戻りますが、今回のクルーの特徴は
望月  本当は大石さん(綾美、スポ3=愛知・猿投農林)が乗る予定だったんですが乗れなくなってしまって。ワセダの中で一番大石さんが速くてその大石さんが抜けた穴は大きいかなと思ったんです。それでも大石さんは乗れないけど一緒に戦ってくれるし、それこそ今回乗ることのできなかった他の同期や先輩も全員で早慶レガッタに勝ちに行くって思っているので『組織力』が今回のクルーの特徴なのかなと思います。
小林  まだ良く分からないんですけどタイムが速いのかなと思います。

――逆に課題は
望月  まだ今漕ぎが合っていないので、ストロークの山根さんのリズムだとか、一人一人同じように漕いでいるように見えても自分はどこで水を押しているっていうポイントがあったりして、それを探っている状態って感じですね。自分がどういう風に動いて貢献するかとかそういうことを考えているので、クルーの課題は『統一感』って感じかなとと。それから細かい技術と隅田川で波が高いなかでどうやって自分たちのパフォーマンスを出すかっていう課題にゆくゆくは直面することになっていくのかなと思います。
小林  チーム内の差かなと思います。U―23日本代表クラスの人とか、高校の時にすごい良い成績を残している人がいる一方で、逆に今まで成績を残していない人もいて、差はあると思うんです。けど逆にそれは上の人がいることで下のクルーの成長に繋がると思うので、もっと差が縮まればクルーが全体的に良くなるのではないかなと考えています。

――今季の大会の中で早慶レガッタの位置付けはどのように考えていますか
小林  自分にとっては夢の舞台です。
望月  私もやっぱりさっきも言ったように4人しか出られない貴重な貴重な大きい大会だなと思っています。

――最後に早慶レガッタに対する抱負をお願いします
望月 去年の全日本新人選手権では先輩に漕いでもらって勝てたと思っているので、今回は自分が漕いでちゃんと力になって、胸を張って「私が漕いで勝ったんです」って言えるようにしたいですね。
小林  小林大河のこれからの一生が懸かっていると思ってくれていい一戦です。必ず勝ちます。

――ありがとうございました!!


(取材・編集 中村俊介、栗坂美祐、写真 菅沼龍太郎) 




◆小林大河(こばやし・たいが)(※写真右)
 1992年(平4)9月29日生まれ。179センチ、66キロ。国際教養学部2年。東京・早実高出身。ポジションは対校エイトの3番。「漕艇を始めたきっかけは?」との質問に「ドラマ『レガッタ』を速水もこみちを見て憧れを抱いたから。」と答えた小林選手。実力も顔もナンバーワンの漕手を目指すのでしょうか!?

◆望月みづほ(もちづき・みづほ)(※写真左)
 1992年(平4)7月4日生まれ。163センチ。スポーツ科学部2年。埼玉・大宮高出身。ポジションは女子舵手付きクォドルプルの2番。普段は明るく温厚な望月選手ですが一つだけ許せないことがあるそうです。それは名前であるみづほの『づ』を『ず』と間違えられること。みなさんも十分気を付けてください(笑)







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