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wasedasports.com >  野球 >  十六人の志士に訊く >  第16回・二本松辰哉学生コーチ


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 十六人の志士に訊く・二本松辰哉学生コーチ 



 二本松辰哉学生コーチインタビュー


 斎藤佑樹(教1)は法大2回戦で、マウンドでのクセを相手打線に見抜かれ、リーグ戦初黒星を喫した。だが、法大4回戦ではそのクセを修正し、見事リベンジを果たす。そのクセを修正させ、早大を勝利に導いた陰の立役者こそ「科学研究班」である。「十六人の志士に訊く」のラストを飾るのは、その科学研究班のチーフを務める二本松辰哉学生コーチ(スポ4)だ。データの解析を駆使し、チームの勝利を導く二本松学生コーチの話からは早大野球部の強さの秘訣の一端を知ることができるであろう。

集大成を黄金色に染められるか
 ―二本松学生コーチの学生コーチとしての役割とは
普段は、バッターとピッチャーを見ていて、守備は中村(達也学生コーチ=商4)に任せていて、メインはバッターでピッチャーも見ています。リーグ戦中は相手のデータをやったりだとか、自分のチームのクセをみたりなどの映像を見ることによって対策的なことをしていますね。

 ―國府潤士学生コーチ(教4)との役割分担は
自分はデータやフォーム解析を中心にやっていますね。

 ―國府学生コーチに学生コーチをやらないかと誘われたとお聞きしたのですが
そうですね。國府も場合は各学年必ず出さなきゃいけない新人監督の候補なので。みんなで話し合って出したんですけれど、自分の場合は自主的に。上の学年が5人の学生コーチがいたので。それで上が抜けたときに、國府一人では回らないということになって、國府の方から「やってくれないか」といわれて。そのとき自分はそんなことは全然考えてなかったんですが、選手を考えていてオフをはさんで1ヶ月くらい考えて、そういうポジションというのも悪くないかもということになって、学生コーチになりました。

 ―選手を断念し、学生コーチになることへの葛藤はなかったのですか
ありましたね。それは最初は選手として入ってきていたので。メンバー争いをするレベルではなかったんですけれど、入ってきた以上は上を目指していたので。最初は裏方に回るのは嫌だったんですけれどね。でも、3年になるときにどうしても考えなきゃいけないなと。それで納得しました。

 ―科学研究班のチーフということですか、科学研究班というのはいつからあったんですか
去年からですね。じつは学生スタッフでトレーナーというのが和田(毅=平15人卒、現プロ野球・ソフトバンク)さんのときからそういう制度が出来て。そのときまでは新人監督しかいなかったのですが。それからスポーツ科学部なんかと連携して、科学的なことをしていきました。正式にトレーナーが科学研究班になったのは、先輩が始めて。最初は科学研究班と呼ばれていたんですが、応武篤良監督(昭56教卒)が学生コーチにしようということになったので今の立場は学生コーチということになっています。

丁寧にインタビューに応対してくれた
 ―科学研究班の活動は皆でやるんですか
手伝いは控え部員にもやらせますけれど、解析などは知識がないと出来ないので、実際やっているのは自分と3年の寺田(祐樹学生コーチ=政経3)が研究班として活動していますね。

 ―科学研究班のチーフとしての役割は
チームから特別やれといわれていることは特になくて、自分たちで考えてやっているという感じですね。監督からはある程度は対戦校のデータというのはいろいろ言われているんですけれど、内容は自分たちで考えてやっています。

 ―科学研究班は仕事の量が膨大だと聞きましたが
やっぱり2人というのがキツイといえばキツイですね。集めるだけなら控え部員に手伝ってもらえば集まるんですが、処理するとなるとかなりの作業量になりますね。

 ―さらにその解析したものを選手に伝えるのも難しいのでは
そうですね。自分たちが完ぺきにわかっていても、選手にどれだけ伝わるかというのはデータの面でも指導の面でも難しい。そういうときは自分が「10」知識があったら、「3」を選手に伝えるようにと思っています。そして選手に聞かれたときは「5」から「6」は答えられるようにしています。そして根拠をもいろいろ。そこで選手が納得できるようにかみ砕いて説明して、質問されたときは絶対に答えられるようにという感じですね。

 ―具体的にはどのような形で伝えるのですか
学生コーチの良さというのは大人の指導者のように上からではなく、同じ目線で強制力を持たないというのが重要です。自分も選手と一緒に考えるようにしています。さっきいったように伝えたいことが全部選手に伝わるわけではないので、選手が考えてたどり着いたものの方が身につきやすいというか。そこに導いてあげるというか補助するという意識でやっていますね。

 ―スポーツ科学部の授業は役に立っているのですか
そうですね。少しは役に立っているのではないかと(笑)。野球に関する研究は自分で見て、1個上の先輩に基本的なことは教わったりしたんですが、あとは大体自分でですね。

陰からチームを支えている ―早大の選手のフォームをみるということもしていると伺ったのですが
試合期間でしたら、クセとかを。試合以外でしたらフォームを良くしていくと。

 ―斎藤佑選手が法大に敗戦。クセを見抜かれたことが話題になりましたが
そうですね。あれは正直自分のせいですね(苦笑)。実際クセを見るときに、オープン戦が終わったあとも見ているんですけれど。大きいクセというのは東大戦の1回戦が終わった後に見てるんですけれど、その撮影したビデオが壊れて、斎藤と松下(建太=スポ2)の2人をやってなくて後回しにしておこうとなりまして。2週間の間にやればいいやと思っていたら、忘れていて。あとの3人は見ていたんですけれど、法政戦でああいう結果になって…。王子に黒星をつけてしまったなと(笑)。かなり失敗したと思いました。

 ―法大2回戦の試合中に相手にクセを見抜かれていると思いましたか
いや、それそんなに思わなかったですね。基本的には、(斎藤佑が)飛び抜けているイメージはないので、打たれるときもあるなと。でも、春あれだけ抑えていたのにおかしいなという話は出ていて。実際クセを見つけたのは寺田で。寺田が見つけて、(斎藤佑に)伝えて。その件に関しては足を引っ張ってしまいました(苦笑)。

 ―法大4回戦では修正し、勝利を収めました。クセはすぐに斎藤佑選手に伝えたのですか
その日うちにですね。簡単なクセだったので。

 ―逆に初めて対戦する選手が怖いとかはありますか
大体、全日本大学選手権などは大体初当たりなんで。その面では対策が取りづらいというのがあります。逆に自分たちがテレビでやったり、インターネット中継があったりして、見られるというのが多いので、相手に見られてしまうので不利かなとは思っているんですが。選手は逆に何も考えずに自由にやれて、やりやすいという選手もいます。それはワセダだけではなくて六大学はそうなりますね。

 ―他大の選手で自分のクセを利用して投げるということはありますよね
あります。とくに慶応の加藤(幹)選手にやられますね。自分がなっていないときですがけん制で代走で出た選手が刺されたりとかあったので。やはり経験が豊富になってくるとそういうことができるようになりますね。1年生でいきなりそういうことは滅多にないですね。だから斎藤なんかはいい投手だなと思いますね。

 ―情報戦というわけですね。慶大はかなり研究面でも早大を意識しているらしいですが、そういうのを感じたりはしますか
自分にも慶応の知り合いがいて、ワセダを意識しているといわれていますが。でも自分としてはメイジの知り合いに聞いても、東大の知り合いに聞いても意識しているといわれるのでそこは慶応だけではないんだなと。

 ―ここまでのリーグ戦を振り返っていかがですか
やっぱり春あれだけの結果を残して力はあると思うんですが、油断というか心の甘さが法政戦出たのかなと。目標は全勝優勝ではなく、一つ一つ戦うことなので。ここまで勝ち点を落とさずこれたというのは大きいことだなと思っています。ここから法政戦のように苦しい状況になることもあると思うんですが、一戦一戦戦っていければといいと思っています。

ラストシーズンへと懸ける意気込みを書いてもらった  ―法大は予想していたものとは違っていましたか
平野(貴)にはうちは結構苦しめられているので、対策をとっているのですか。昨秋から春にかけて故障していて、秋の立教戦では調子悪かったんですが、ワセダ相手に調子を上げてきたのはビックリしましたが。小松も悪かったですし。

 ―次は明大戦ですが特別な取り組みはしていますか
特別なことはしていないですね。細かいところはいえないですが(笑)。それでもピッチャー一人一人の対策はいつも通りとっていて、かといって特別なことはせずに普段どおりって感じですね。

 ―学生コーチとなって選手との関係などは変わりましたか
國府は新人監督なのでかなり監督に近い立場にいますので。その後コーチになった自分はあくまでも学生。学生スタッフとして選手と溝を作ってはいけないなと。だから学生に近い立場で溝をいようと思っていますね。

 ―学生コーチをやってきてよかったことは
やはり勝つことが一番ですね。コーチになったときに自分たちの代で優勝したい、日本一になりたいというのがあって、春に達成されて少し拍子抜けした部分はあるんですがやっぱり勝つと嬉しいですね。それで選手にたまに「いつもありがとう」だとか「お前のおかげだよ」といわれたときはやはり嬉しいですね。そしてチームが勝ったときは嬉しいですね。

 ―データを活用して勝てたときにはさらに嬉しいと感じたりするのですか
いや、自分はあまり自分が何かをしたとかは思わないようにはしていますね。やっぱりやるのは選手なので。勝つのも負けるのも100パーセント選手の力だと思っているので、自分は環境を整えるだけなので、自分がやったから育てたから勝てたとかというのはないですね。

 ―つらかったことは
やっぱり体を動かしたくなりますよね。野球が好きで野球部入って、野球をやりたくて入ったので。それにコーチとして知識がついてくると、それを自分に実践したいという気持ちになってくるので。選手としてやりたいという気持ちが出てきますね。

 ―東大の井尻選手とは同じ高校ですよね
そうですね。井尻さんはひとつ上で2浪して東大入って、自分らの代では増田が東大に入ってライトでたまに試合出ていたりしていますね。

 ―高校時代はどこまでいったのですか
最後の夏はベスト8、準々決勝で須田(幸太=スポ3)のいる土浦湖北にコールド負けしまして。須田は一応覚えているみたいですが。ボロ負けでしたので(苦笑)。

 ―野球をやりたくて一般入試で早大に入ったのですか
そうですね。自分は高校時代に不完全燃焼な感じがあったんで、大学で出し切りたいと思っていて。それで六大学でやりたいと思っていて、秋に早慶戦をみたときにワセダいいなーと思いまして、ワセダ一本で。

決意を記してくれた色紙  ―残すところリーグ戦は2カードですが、ラストシーズンということで期するものとかはありますか
去年の4年生が秋優勝して、かなりいい雰囲気で終われていたのをみたので。その前の武内(晋一=平18人卒、現プロ野球・ヤクルト)さんの代が春に優勝したのですが、秋に優勝できなくてちょっと寂しい感じで終わってしまったので。やはり4年の秋の優勝は特別だということを自分は意識していますね。秋に優勝したいというのが選手にもスタッフにも共通して期するものがあると思いますね。

 ―では、最後に明大戦、慶大戦に向けてお願いいたします
選手が最高の環境で戦えるように。悔いのない戦いができるように環境を作るだけです。

(取材・編集 千田幸平、峰村晴香、山田豊) 


◆二本松辰哉(にほんまつ・たつや)
 1985年(昭和60年)11月11日生まれのB型。174センチ62キロ。茨城・土浦一高出身。スポーツ科学部4年。学生コーチ。






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