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 明治神宮大会 決勝 11月14日 神宮球場



 届かなかった日本一…悔いなきラストゲーム
決勝
東洋大
早 大
(早)斎藤佑、●松下、大石−細山田


涙をこらえる田中幸  連覇の夢は散った。六大学野球史上初となる、春秋日本一連覇を目指した明治神宮大会。その偉業は、プロ注目の右腕・大場によって阻まれた。あと一歩で届かなかった悲願の頂点。試合後、一年間チームを引っ張った田中幸長主将(スポ4)は、「1年間すごい…支えてもらったので本当にありがとうという…それだけです。悔いはありません」。そう言って、言葉を詰まらせた。

 斎藤佑樹(教1)というスーパールーキーの入部によって、激動の一年を過ごした早大野球部。その中でも世間からの注目を浴びることで、「チームを背負っている」という重圧を誰よりも感じていたのは、田中幸主将だっただろう。

 その集大成となる東洋大との大一番。相手投手は、日米大学野球選手権でともに戦った大場。主将として、大学生活最後となるきょうの試合は、「勝ち負けどちらにしても最後なのですごく楽しみで、楽しみたいです」と、試合前に語っていた。

 先発はきょうで3連投となる斎藤佑。「昨日の段階で本人には告げた」という応武監督の期待を受け、堂々と決勝の舞台に立った。 初回、斎藤佑、大場とも簡単に3人で片付けると、試合はその後ハイペースな投手戦で進んでいく。立ち上がりから斎藤佑は内野ゴロの山を築き、東洋大に隙すらも与えない完ぺきな投球。3回に初安打を許すものの、続く打者を併殺打に打ち取ると、それ以降は4連続三振を奪うなど球を低めに集め、東洋大打線を打ち取っていく。

 一方の早大打線も、大場の前に手も足も出ない。2試合連続完投から疲れは感じるものの、「真っ直ぐを狙っていけと言ったが、変化球でうまくかわされた」(応武監督)と言うように、大場の巧みな投球術にはまり、スコアボードには「0」が刻まれていく。

決勝本塁打を打たれた松下  試合が動いたのは7回。この回から、好投の斎藤佑に代わり松下建太(スポ2)がマウンドに上がった。その先頭打者、藤田への3球目。甘く入ったスライダーが、フルスイングされたバットに捕らえられ、打球は左翼席へと吸い込まれていく。これが均衡を破るソロ本塁打となり、貴重な先制点を許してしまう。また、9回表にも大石達也(スポ1)が1点を奪われ、早大は2点ビハインドでついに最終回を迎えてしまう。

 最終回、先頭の上本博紀(スポ3)は見逃し三振に倒れた。続く細山田武史(スポ3)の打球も三塁前への平凡なゴロで2死かと思われたが、このゴロを三塁・藤田がまさかの悪送球。一発が出れば同点という場面を作る。3番・松本が中飛に倒れ、9回2死…。

 そして打席には、4番・田中幸主将が入った。「みんなが良い場面で回してくれて、悔いはないです」。後輩たちがつないでくれた、4年間で最後の打席。最高の相手に対して、この一打席を楽しもう。「勝ち負けどちらにしても楽しみたい」(田中幸主将)。その渾身のフルスイング。しかしバットは空を切り、神宮のマウンドには東洋大の歓喜の輪が広がった―。

 「大場!」「幸長!」。試合後の整列、田中幸主将と東洋大・大場は互いに握手を求めた。もう、悔いはない。日本一を決めるにふさわしい、白熱したドラマは、二人の満足げな笑顔とともに、終わりを告げた。

 明治神宮大会、2年連続準優勝。この借りは来年、悔し涙を呑んだ後輩たちが必ず返す。

(水上大輔) 

★東都が神宮大会優勝回数トップタイに

 決勝で東都リーグの覇者に敗れたのは1993年(平5)の駒大、2006年(平18)の亜大に続き3度目のこと。これで東都の優勝回数は10回となり、東京六大学リーグと並んでトップタイとなった。もっとも長い歴史を持つ東京六大学が名実ともに大学野球の盟主であることを知らしめるためにも、そしてワセダが神宮大会初制覇を達成するためにも、来年こそ大会を制したい。


★蘇った背番号「11」

 一度翼の折れた「11」が最後に再び羽ばたいた。松下が一発を浴び、なお無死一、二塁のピンチを招く。もう1点もやれない場面でマウンドに上がったのは須田幸太(スポ3)だ。早慶1回戦に延長12回でマウンドへ上がるも、青池にサヨナラ打を浴びて敗戦投手となってしまった須田。それ以降はベンチから外されるなど屈辱を味わった。だが、リベンジの舞台が神宮大会決勝で突如訪れる。続く4、5番を三振と邪飛に打ち取り2死とした。だが、続く打者の打ち取った当たりを味方の失策で2死満塁とピンチを広げられてしまう。だが、日米大学野球選手権にも出場した7番・大野にすべて直球勝負を挑むと、一邪飛と力で抑えこみ、一本出れば流れが一気に相手に傾きそうなところでエースの意地をみせた。苦しみ続けた秋。今回の投球をきっかけにエースとしての更なる飛躍を目指してほしい。




早大出場メンバー
打順守備名前学部・学年
(二)上本 博紀スポ3
(捕)細山田武史スポ3
 川畑 依啓スポ3
(右)松本啓二朗スポ3
(左)田中 幸長スポ4
(三)小野塚 誠社4
(遊)本田 将章スポ4
(一)泉  尚徳スポ3
 生島 大輔スポ3
 大石 達也スポ1
(中)小島 宏輝社2
(投)斎藤 佑樹教1
 大島 吉雄スポ4
 片岡 優帆一文4
 松下 建太スポ2
 須田 幸太スポ3
 打一原  寛信文1


◆コメント
応武監督
(去年と同じ結果に終わってしまったが)去年も最終日まで戦いましたし、勝敗は別にして学生たちは本当に良く戦ってくれた。(斎藤佑が先発)昨日の段階で本人には告げました。(大場が3連投したことについては)いつもの球威はなかったが、気迫で投げていた。完敗ですね。(斎藤佑の交代については)本来5回のつもりだった。1安打で抑えてたので、もう1回と言いました。多少悩んだが、松下が調子がいいということで満を持して送り出しました。打たれたことはしょうがないです。相手が上でした。悔いはありません。(大場対策は)ストレートを思い切り振っていけと指示しました。しかし意外に変化球が多く、うまくかわされました。予定外でした。(いろいろな意味で大きな一年だった)一人の若者の素晴らしい活躍によってこれだけ六大学野球が取り上げられて、ありがたい限りです。(斎藤佑の今後については)昨日そのことについて少し話したんですが、六大には加藤という目標とする選手がいる。そしてきょう大場とも投げ合えた。今の自分がどれくらい力があるのか、一年生だし胸を借りるつもりで考えてみてほしい。来年は彼を中心にチーム力を上げなきゃいけないと思っている。一緒に成長して、楽しんでいきたい。とりあえず今は肩をしっかり休めて、来年に向けてどう体を鍛えていくのか、一緒に考えていきたい。

田中幸主将
(試合を終えて)悔いはないです。大場とやることが出来て、最後いい場面で回してくれて悔いはないです。(大場選手に関しては)公式戦でやりたいなと思っていました。(最後は大場選手と手を取り合っていたが)「大場!」「幸長!」といって握手をしただけです。(大場選手の投球に関しては)真っ直ぐはなんとかなりそうでしたが、スライダーがすごく良かった。大場は三連投でしたが良かったです。(対策は)大体外の真っ直ぐ、7割の真っ直ぐを打っていこうと。(今したいことは)普通の生活がしたいです。(後輩たちにどんな言葉をかけたいですか)1年間すごい・・・支えてもらったので本当にありがとうという・・・それだけです。







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