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  野球取材   (11月1日 神宮球場)

 ノムさんのラストコメント〜監督人生最後の日〜

 2004年11月1日、早慶戦で勝ち点を落とし、野村徹監督(昭36政経卒)の指導者人生は幕を閉じた。6年間の監督就任中、早大史上初の4連覇を含む5度のリーグ戦優勝、10戦全勝(同じく早大史上初)を成し遂げた野村監督。球史に残る名将の「監督引退試合」となった試合後の取材模様を紹介する。 


――大谷不在の投手陣、打たれはしましたが良く投げましたね?
齋藤がねよう放ってくれた。もう少し引き伸ばして、最終的には宮本につなげたかったんだけど、あの(中村の)一発だけだったなぁ。慶応の4年生の力の前に屈した感じだな。

――佐竹も良かったですね?
佐竹ははまった時はいいんだよ。ただ、競った時の経験がまだないなぁ。でもまぁ来年は十分戦力になると思うよ。

――試合展開ですが、3回裏、先制した後の満塁機を生かせなかったのが響きましたね?田中は打席に立てるだけでも奇跡。相手にしたら、(武内)晋一のあとのほうがイヤだろうから打順を上げた。この早慶戦の舞台まで持ってこれただけでもよかったんじゃないかな。

――1年間主将としてやってきた田中浩に一言
彼1人でやってきた感じだな。今季あれだけのケガをしながら、グラウンドに立ちつづけた精神力がすごい。これから上でやっていくわけだけど、この4年間は大きな財産になったと思うよ。

――今日(11月1日)が大学最後の試合となった4年生に一言
早慶戦を目指して戦ってきた4年間を財産にしてほしい。世の中はそんなに甘いもんじゃないんでね、辛い時は東伏見での練習を思い出してほしいな。

――監督最後の試合、思うとおりの采配はできましたか?
慶応をひっ捕まえてく展開にしたかったんだけどねぇ。勝つとしたら接戦だと思ってたから。まぁ選手はベストを尽くしてくれた。

――今年のチームを振り返って、また、来年のチームに期待することは?
打線が形成されてない中、手探りの状態で始まって、まぁ夏からすこしずつ若手が伸びてきた。投手陣では越智がもう1つだったけど、大谷、宮本という柱が出来た。来年はまず投手陣を立て直すこと。投手力があれば優勝を狙える。2年生の二人と越智を中心にさらに競争して刺激しあって、成長してほしい。まぁ山岡もだいぶキャッチャーらしくなってきたからなぁ、経験積んで。ほかの選手もおるけどね。それに若い人もスタンドにいる選手も。また1から競争だ。やっぱり負けてから成長するもんだよ。今年優勝逃した悔しさを忘れないでほしい。

――6年間の監督生活を振り返ってどうですか?
選手たちに恵まれたな。4連覇、10戦全勝と今までにないことができたのはいい思い出。幸せな時間だった。

――今後は1ファンとして野球部を見ていきますか?
そりゃそうですよ。1OBだから(笑)

――唐突ですが、早大野球部とは?
学校が所沢で練習場所が東伏見、分かれてて環境は厳しいし、両立してやっていくのは大変。その中で常に早慶戦を意識した、早慶戦で活躍できるような練習をやってほしい。僕もこれまで、早慶戦で戦える男を育てることを目的としてやってきたから。早慶戦を制して優勝するのがワセダの宿命なんだよ。伝統を引き継ぎ、「一球を大切にする」ことを忘れずに。ぜひ5連覇してほしいな。

――最後に、野村さんにとって野球とは?
野球しか知らないからなあ(笑)人生そのものだよ。ワセダで育てた自分のベースかな。ほかのことをできない。野球ができる環境に恵まれていた。


 永遠のライバル慶大の6季ぶり優勝が決まった瞬間、野村監督は晴れやかな表情だった「自分のできることはすべてやってきた。監督生活に悔いはなし。」そう物語っているように見えた。野村監督が「名将」と呼ばれる由縁。それは、数々の輝かしい実績だけではなく、その人間性にもある。指導者という観点に加え、選手の親代わりの気持ちで常に気を配っていた。「目的のないものは、ここにいる必要はない。大学生活を楽しむものはほかにいくらでもある。中途半端に続けてたんでは親御さんに迷惑だろう。」そういった一見厳しそうな言葉も、すべて選手を思ってのこと。「グラウンドを離れると普通のおじいちゃん」と選手たちは話すとおり、実に親しみやすい監督であった。
 毎試合後、野村監督は嫌な顔もせずに取材に答えてくれた。楽しそうに相手を見つめる目からは野球への情熱を、関西弁を発する口からは、野球の奥深さ、早慶戦の意義、早大野球部の宿命など、数え切れないほど多くのことを学んだ。1年間、この人の番記者ができて本当に良かったと、今思える。
 最後に月並みな表現ながら一言。「6年間の激務、本当にお疲れ様でした。」

(取材・構成=村田利文) 


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